NAKAHARA-LAB.net

2009.3.22 07:40/ Jun

ワークプレイスラーニング2009 企画ワークショップが開催された!

 この連休中、ワークプレイスラーニング2009企画委員会のワークショップが、前回に引き続き開催されました。会場は、本間さんのご厚意で、らーのろじー株式会社の研修室をお借りいたしました。この場を借りて、本間さんに御礼申し上げます。
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 前回のブログでお伝えしたように、ワークプレイスラーニング2009では、その企画のプロセスを、すべてこのブログで公開いたします。
ワークプレイスラーニング2009 前回の企画会議
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/02/post_1446.html
 プロセスを公開することで、企画者である我々自身が、様々なご指摘を受けることが可能になりますし、また、ワークプレイスラーニング2009を実施する目的でもある「社会的認知の向上」に資するものと思います。
 年に一度、安田講堂で華々しく開催しているワークプレイスラーニング2009のBackstage(楽屋)では、実は、こんな議論が行われているのです。
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 まず、中原の方から、本日の趣旨説明を行いました。下記の資料を配付して、これに従ってアジェンダ設定をいたしました。
 
3月21日ワークショップでの中原の配付資料
http://www.nakahara-lab.net/blog/workplace_dainikai_workshop.pdf
 こちらの資料は、前回のワークショップの結果を踏まえて、中原と長岡先生で話し合って、つくった「たたき台」です。これを踏まえて、さらに企画をブラッシュアップしていくことをめざします。
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 今日、半日をかけて取り組むのは、下記の課題です。
1)今年のワークプレイスラーニング2009で、私たちは、どのような「新しいメッセージ」を発信するか?
2)ワークプレイスラーニング2009を運営するにあたり、新しい「仕掛け」「演出」は何か?
3)今後のスケジューリングと役割分担
  ▼
 まず1)から。
 前回のワークショップで出ていたテーマ候補は、
 1)育つ責任、育てる責任
  (いわゆる、Learning responsibility)
 2)学習とは変革である
  (いわゆる、Learning is Change)
 でした。
 まずは、それぞれのテーマを採用した場合、ワークプレイスラーニング2009が、どのような場になるのかを予想し、それぞれのメリット、デメリットを、グループで話し合ってもらいました。
workplace2009_02_01.jpg
workplace2009_02_02.jpg
 その後、「それぞれのメンバーが、何をやりたいのか」について意見表明してもらいました。僕もメンバーのひとりとして意見表明をしました。
 投票の結果、僅差でしたが、結局、1)がテーマとして採用されることになりました。
 今年のワークプレイスラーニング2009は、
「これからの人材育成のあり方と、企業と個人の緊張関係」
 を問いかける場になりそうです。
 僕の感覚では、2)もかなりラディカルですが、1)はそれ以上に激烈にラディカルです。
 先ほどのレジュメにも書きましたが、この問いは、企業と個人のあいだに潜む様々な問題を覆い隠している「蓋」 – パンドラの箱 – をあけてしまうからです。
 正直にいうと、一瞬ひるみましたが(笑)、性格が楽観的なせいか、だんだんと「やってみるか、挑戦しがいがあるな」と思うようになってきました。
 とにかく、今年はこれでやります。
  ▼
 その後は、副題や事例企業の選択基準について、1時間ほどディスカッションしました。
workplace2009_02_03.jpg
workplace2009_02_04.jpg
 時間が足りず、なかなか副題も事例企業の選択基準も煮詰めることはできませんでしたが、いくつかの案とともに懸念もでてきました。
 以下は完全に僕のメモです。
 —
■テーマ
 2007 – Out of classroom
 2008 – Out of Division
 2009 – Out of Company ?
■副題案
 あなたは、自分で育ちますか?
   それとも、会社に育てられますか?
 あなたは、自分で育ちたいですか?
   それとも、会社に育てられたいですか?
 あなたは、自分の会社と一緒に
   成長したいですか?
 あなたの会社は、人を育てる会社ですか?
   それとも、人が育つ会社ですか?
 うーん・・・
■時代背景
 ・個が自らの専門性・能力を高めることが
  求められる
    ↓
 ・潜む問題
  (≠会社のご都合にあわせたキャリア
    開発論に回収されない)
  (ネオリベ論に回収されないようにする)
    ↓
 ・個と会社の「緊張関係」の中で、どのような
  内容の学習を、誰が、どのように担うべきなのか?
 ・雇用形態の問題
■事例企業は?
 ・事例は3企業
 ・プログラムの骨子は変えない
 ・人材輩出企業
  (個が育っている企業)
 ・企業の外での学び
 ・人材の品質保証をする企業
 ・企業という枠を超えて学ぶ人
 ・個と会社の関係について、ポリシーが
  はっきりしている企業
■問題点
 ・個と企業というテーマのもと、
  ワークプレイスラーニングとしてのメッセージは
  何か?
 ・人材育成投資の削減理由として、免罪符のように
  使われることだけは避けたい。
 —
 まだまだ課題だらけですね(笑)。
 あとは1週間~2週間、また考えてみますが。なかなか難しい問いですね。
  ▼
 その後は次回のMT日程を決めました。
 次回は4月9日午後6時です。
 ここでは、事例企業の候補を、ひとり1個以上持ち寄ることにしました。
 ワークプレイスラーニング2009、だんだんと輪郭が生まれてきました。まだまだボヤけてはいますが、またブラッシュアップしていきたいと思います。ぜひ、皆さん、ご意見をください。
 あと、10月30日(金曜日)は、ぜひスケジュールをあけておいてくださいね。どうぞお楽しみに。
 最後になりますが、場所を貸していただいた本間さん、事務局の坂本君、そして東京大学大学院の院生諸氏、ありがとうございました。
 また、参加していただいた企画委員会の方々、金子さん@グロービス、坂本さん@富士ゼロックス総合教育研究所、鈴木さん@NRIラーニング、永田さん@ダイヤモンド社、本間さん@らーのろじー、柴田さん@産業医科大学、須藤さん@日本CHO協会、古賀さん@産業能率大学、長岡さん@産業能率大学、
佐々木さん@MIアソシエイツ、石井さん@リクルートMS、福住さん、ありがとうございました。
 そして人生は続く。

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