NAKAHARA-LAB.net

2008.12.8 10:37/ Jun

Someoneが多くなったら要注意!?

 人生いろいろ、会議もいろいろです。
 ほんの少しだけ参加するだけで、「その日一日のクリエィティビティとエネルギー」をすべて失ってしまうような、ペンペン草もはえない会議があります。
 僕だけではない、皆さんにも経験があるのではないでしょうか。誰もが下を向き、内職をしていて、グレーな雰囲気の漂う、あの会議です。
 この会議がもしなくなったとしても、この世は何も変わらない。誰も困る人はいない。
 だとすれば、今、目の前で展開している事柄は何なのか。「何」を決めているのか、はたまた何を決めていないのか、が、全くよくわからない会議です。
 ▼
 こういう「ぺんぺん草も生えないような会議」には特徴があります。各人からなされる提案や主張の中に「主語と宛先と期限と理由がないこと」です。
 会議の中で、
 かくかくしかじかのことをやればいい
 とは提案されますが、
 「誰がやるのか」(Who)
 「なぜやるのか」(Why)
 「誰のためにやるのか」(Why)
 「もしやるのだとすれば、いつやるのか」(When)
 
 は決して語られることはありません。
 特に問題なのは「誰がやるのか(Who)」の部分です。議事録を英訳すればすぐにわかるはずです。すべての主張の主語が「Someone」になってしまうはずです。
 I think that someone should…
 I think that someone will…
 I think that someone can…
 そんな都合のよい「Someoneさん」なんて、この世には、申し訳ないけどいません。そんな暇人いねーよ。巧妙に、かつ、狡猾に「I(わたし)」が「Someoneの場所」に入ることを、全員で避けます。
 かくして「新春大放談」、そして時間が迫ります。その後は、お得意の台詞が待っています。
「そろそろ時間のようですので、あとはメーリングリスト上で議論して・・・」
 でてきたね、メーリングリスト。でも、悲しいかな、この後、メーリングリストで本質的な議論がなされたことを、僕は寡黙にして知りません。せいぜい、議事録が送られてくるくらいが関の山です。
 誰もが会議の不毛さに気づいています。しかし、「辞めよう」とは誰も決していいません。
「辞める」ためにはロジックが必要です。「辞めよう」と自分から言い出すことは、その会議に「何か問題があること」「自分が不満を抱いていること」を表出してしまうからです。かくして「新春大放談」は、続くのです。
 ▼
 自分の会社・組織の会議を英訳してみて、Someoneが多くなってきたら、要注意です。その会議の意義を問い直すよい機会かもしれません。

追伸.
 日曜日は、ママが仕事でしたので、TAKUZOと二人で過ごしました。だっこをしているとき、僕が北島三郎の「与作」を「ヘイヘイホー」と歌っていたら、TAKUZOは、このフレーズをすっかり覚えてしまいました。
 今朝、保育園に送っていくとき、駅のど真ん中で、
「パパ、ヘイヘイホー」
 と叫ばれてしまいました。かなり恥ずかしい。

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