2024.10.31 08:30/ Jun
経営学部で教鞭をとるようになって、はや7年。なんちゃって経営学部教員のわたくしですが、経営教育について考えることも、たまにあります。
会社に入ったこともなく
仕事をしたこともなく
職場の空気感すら知らない
18歳から22歳の学生に
経営を教えることは
個人的には、なかなかの「無理ゲー」に感じられます。そこには「ひとさじの工夫」が必要なように思うのです。
(他の方が、どう考えるかは、ご自由です)
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もちろん「講義をすればいい、それが経営教育なのぢゃい」というのなら、わたし、やれます。黙りこくる学生を前に熱弁を振るえばいいのなら、そんなことは、わたしにはできます。
しかし、わたしにとって、それは自分のやりたいことではありません。
わたしは、学部教育とは「学問の入口」に学生を立たせてみることだと思っています。
「ほら、こんなに面白い世界があるよ。ちょっとのぞいてみない?」
「ほら、こんな研究もあるよ。ダマされたとおもって、みていかない?」
あの手この手を尽くして、学生を「学問の入口」に立たせる。そのためには、どうすればいいのか、を考えます。そのためには、ひとさじの工夫が必要です。
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辿り着いたひとつの結論は、
Early Exposure
ことです。
Eary(アーリー)は「はやい」ですね。「Exposure(エクスポージャー)」は「露出」です。
ですので、
Early Exposure(アーリーエクスポージャー)とは、「はやいうちに、社会に、学生を露出してしまう!=社会にDiveさせる)こと
を意味します。
(経営学のなかでも、わたしの研究領域は、比較的、Early Exposureをしやすい領域だと思います。分野には、分野にあった教育手法がございますので、それは各自ご判断ください)
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これに対して、通常、教育現場ではでは「基礎から応用へ」という具合に、
1.最初に「基礎」的な概念・知識をたたき込んで
2.そのうえで「応用」させることが試みられます。
しかし、わたしはあえて、これを「真逆」にします。「応用ー基礎」の順番、すなわち、Early Exposureを通じて、社会に学生をDiveさせることを先にします。
具体的には、企業の皆さんと一緒に、いろいろなプロジェクトに取り組みます。ワークショップを開発したり、中途採用者の定着施策を考えたり。様々な企業の皆さんにご協力をいただきながら、社会のなかで行われている真正の活動(Authentic Activity)に学生の皆さんにはDiveしていただきます。さして知識がないまま、手足をとにかくばたつかせて、社会のなかで活動をしてもらいます。
そうすると、非常に面白いことが起こります。
学生のなかには、企業のひとからフィードバックをもらい「自分が何も知らなかったこと」を知るひとがでてきます。
社会人「君たち、人材開発・組織開発を学んでるんだよね。こういうとき、どんな理論があるの?」
学 生「すみません。調べてきます」
また、「これから学ぶことの全体像がみえてくるので、学問を学ぶ動機も高まること」があります。
学 生「OJTって、社会化に関係するんだ。組織社会化の理論って、どんなんだっけ?」
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もちろん、全員が全員、魔法の粉がかかったように、そうなるわけではありません。
ただ、わたしの経験上、Early Exposure(早期に社会に触れる)すると、Late Specialization(あとになって専門を学ぶこと)にしっかり取り組む学生の割合は高くなる気がいたします。
Lateは「遅い」です。Specialization(スペシャリゼーション)は「専門」ですので、「あとになって専門的な内容・専門性にふれること」を「Late Specialization」といいます。
もうお気づきだとは思いますが、Early ExposureとLate Specializationは、セットです。どちらが一方が大事というわけではない。そういう二律背反思考は、頭を悪くするので、やめましょう
Early Exposureするからこそ、Late Specializationの意義があがるのです。そして、Specializationがあるから、Exposureの精度が高まります。
学生からは、ときに、面白いことを言われます。あれだけ手足をばたつかせてプロジェクトに取り組んでいた学生のなかには、
「先生、体系的に学びたいので、講義をしてください」
「先生、ここのプロジェクトで、これが必要なので、講義をお願いします」
といってくるひともでてきます。
あれだけ講義に飽き飽きしていた学生が「講義をしてください」と言ってきたりします。もちろん、わたしは講義をさせていただきます。だてに四半世紀、教員はやっていません。どんな球でもひろいます。
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今日は、学生を社会に早期にDiveさせるEarly Exposureについて書きました。
先般、立教大学経営学部のホームページに、中原ゼミの活動紹介がのったようです。ぜひご覧いただけますと幸いです。経営学部では、中原ゼミ以外にも、社会で学ぶゼミがたくさんあります。
なお、この場を借りて、ダイヤモンド社様ならびにダイヤモンド・ヒューマンリソース様、EYストラテジー・アンド・コンサルティング様には、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
ダイヤモンド社様ならびにダイヤモンド・ヒューマンリソース様と立教大学経営学部中原ゼミのコラボレーションプロジェクト
https://cob.rikkyo.ac.jp/news/2024/usirlo000000254o.html
EYストラテジー・アンド・コンサルティング様と立教大学経営学部中原ゼミのコラボレーションプロジェクト:
https://cob.rikkyo.ac.jp/news/2024/usirlo00000025br.html
ダイヤモンド社様と立教大学経営学部中原ゼミナール7期のコラボレーションプロジェクト:
https://cob.rikkyo.ac.jp/news/2024/usirlo00000025rp.html
そして人生はつづく
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同書の内容をサクっと学べる動画も公開されています。どうぞご笑覧くださいませ!
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立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース(以下、LDC)では、経営学を基盤にしながら、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進することのできる高度プロフェッショナル人材を育成しています。
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在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
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■アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のWebページはこちら!■
https://jinzai.diamond.ne.jp/ub/unconscious-bias/
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新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
「チームワーキング研修版」リリースされました!
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
「チームワーキング」が「アセスメントを絡めた管理職研修」として利用されております。モニター利用各社の人事担当者の皆様、開発担当者の堀尾さんと、座談会をさせていただきました。ぜひご覧くださいませ!
チームワーキング座談会
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書籍「チームワーキング」の方も、おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
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すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
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職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発)
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
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上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
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経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
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【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
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「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
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Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
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短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
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新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」発売中です。AMAZON「企業再生」カテゴリー1位を記録しました(感謝です!)。
これまで税務・法律の観点からしか語られなかった「企業合併(M&A)」の問題に対して、ひとと組織(人材開発・組織開発)の観点からアプローチし、シナジーを生み出す可能性を考えます。
M&Aという「巻き込まれ事故」に関わってしまった経営企画・人事・現場の管理者・リーダーの皆様にぜひお読み意いただきたい一冊です!
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「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
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【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約42000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
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