2008.6.4 00:00/ Jun
ビバリー=ケイさんのM201「The Development Dialog」というセッションにでました。
このセッションの要旨を一言でいうと、下記になります。
「働く人々は、皆、自分のタレントをもっています。ここでいうタレントとは、天才のことでも、芸能人のことでもありません。人間であるならば、誰もがもつ”能力”や”才能”のことをさします。
人は、自分のタレントが伸びることを、生きる上で、仕事をしていく上で、重視しています。それに希望が見いだせなくなったとき、離脱をしてしまいます。
組織の中で”対話の場”をシステマティックにつくりだすことで、それをケアできる可能性があります。そうした場における人々の対話は、エンゲージメントの向上や、リテンションの確保につながる可能性があります」
つーか、一言じゃねーじゃん(笑)。
ビバリーさんが実施した2万人の質問紙調査によると、会社へのステイ要因は、下記のとおりだそうです。
1. おもしろい仕事
2. キャリアがのびる
3. 偉大な人がいる
4. フェアな報酬
5. よいボス
6. ベネフィット
7. 社会的意味のある仕事
8. 組織におけるプライド
その中で最も重要なのが最初の2つ。
要するに、「仕事が面白くて、かつ、自分のタレントが伸びるなぁ」と思うような職場環境であるとよいということです。そりゃ、そうですね。僕も、そういう仕事場がいいなぁ。
ちなみに、ビバリーさんの調査によると、下記のような結果がでているようです。
・米国人の52%は「自分の将来の仕事のためのプランをもっている」と回答している
・米国人の50%は「自分のマネジャーは、自分のポジションについて知らない」と回答している
・米国人の77%は「自分は、今、自分の仕事で使っている能力以上の能力をもっている」と回答している
これは日本の調査と比べてどうなんでしょうね。高いんだか、低いんだかわかりません。
—
で、そういう状況を何とかするには、どうするか、ということですが、これへの回答が「システマティックな組織への介入」ということになるのでしょう。
システマティックな介入の方法は、下記のプロセスをとります。
1.diagnose(診断)
2.design(設計)
3.deliver(介入)
4.sustain(維持)
5.track(評価)
要するに、「職場の状況を診断して、どのような人と人を対話させるかのコミュニケーションプランをたてて、それを実施し、それが継続する仕組みをつくりつつ、評価する」ということです。インストラクショナルデザインのADDIEに近いかもしれません。
個人的に面白かったのは、「sustain」の部分に入っている「CAT & DOG」です。CATと「Career Action Team」、DOGとは「Development Opportunity Groups」です。どちらも、どうも、インフォーマルな集団で、タレントやキャリアの伸張を相談しあうようなもののようですね。それがどの程度一般性をもつ集団なのかはわかりませんけど。
—
今日は図らずも、タレントマネジメント関係のセッションばかりに出席することになってしまいました。あまり意図はしていませんが、何となくです。でも、そこで思ったことが、いくつかあります。
まずひとつめ。タレントマネジメントという概念は、相当に広いということです。1)キャリア開発、2)ラーニング、3)サクセション、4)評価、など、人材教育に関係するすべての項目を網羅する一大領域として定義されています。
ふたつめ。今度は現場の話です。タレントマネジメントの話を聞いていると、「上司は部下のタレントを活用すべし」とか「上司は部下のタレントを育成すべし」という「規範」がよく語られるのですが、どうも、これが僕にはピンときません。
というか、もしタレントといわれるものが、「顕在的」であったなら、つまりは「目に見えるもの」であるならば、よほど「しょーもない上司」ではないかぎり、それを育成する方向でサジェスチョンを与えるのではないでしょうか。
問題は「上司がタレントに関して意識が低いこと」ではなく、「上司が部下のタレントを見抜くことができないこと」にあるのだと思います。といいましょうか、上司ならずとも、「短期間の間に、人間が、人間のタレントを見抜くのは容易ではない」ということに起因するのではないか、と思います。
もしかすると、このあたり、ハワード=ガードナーの「文脈の中での評価」という概念がもしかするとリンクするのかなぁ、と思って聞いていました。要するに「人間の能力を顕在化させてしまうような文脈を人工的に設定して、人間の多元的能力を評価する」という考え方です。
そして人生は続く。
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