2008.5.25 06:53/ Jun
先日、リクルートワークス研究所主催のイベント「Works Symposium 2008」のセッションのひとつで、パネラーを仰せつかりました。
リクルートワークス研究所
http://www.works-i.com/
リクルートワークス研究所は、「人と組織」に関する研究を行っており、おそらく日本では、この分野のもっとも大きな研究機関だと思います。
僕が参加させていただいたパネルは、大学入試センターの濱中淳子先生のセッション「自己学習:社員自身による能力開発:アフター5の活用可能性を考える」です。
濱中先生は、20人のビジネスパーソン(ミドル)を対象にしたインタビューを行い、彼らの語りから「社員自身による、社外での能力開発=自己学習」がいったいどのように行われているのか、を明らかになさいました。
研究の結果、調査した20名のミドルのうち、14人、すなわち、4分の3は、何らかのかたちで、自己学習をしていました。今、組織の重要な仕事の多くがミドルに集中し、彼らの忙しさは尋常ではないことを考えると、予想よりも多い数字ですね。
ミドルが行っていた学習には、2つのタイプがあることがわかりました。僕の言葉で説明するならば「今の仕事にすぐに役立てることのできる体系化された知識を獲得する学習」と「会社のアタリマエや自分の日常のアタリマエを問うような学習」です。
前者はいわゆる「お勉強」。後者は、自分の専門領域や仕事とは全く異なる場 – 自主的な勉強会やネットワーキングの場に「参加」したり、自分の専門とは違う「本」を読んだりしているイメージでしょうか。
ネットワーキングといっても、いわゆる「参加者全員に名刺」を配って満足する、いわゆる異業種交流会」とは違いますよ。
また、全く自己学習を行わないミドルは、比較的「楽な新人時代を過ごしていたこと」もわかったそうです。「三つ子の魂百まで」といいますが、やはり新人時代に苦労することは重要なのかもしれませんね。
(ご研究の詳細は、おそらくワークスのHPでダウンロードできるようになるものと予想します)
—
濱中先生のご発表を受け、僕の方からは、
1.人材育成の議論は、主に、いわゆる「研修」と「OJT」に集中していること。それらをどのように構成するか、ということにしか関心が集まらない傾向があること。
2.近年、実践としても、研究としても、ミドルの「社外での自己学習」が、注目されるようになっていること。
3.ミドルの「社外での自己学習」は、「自分が何者であるか」ということを問い直すよい機会になるという研究があること(東京大学・荒木先生の研究)。つまりは、社外の勉強会などで、異質な他者に出会うことは、自己を説明する機会やリフレクションをうながし、「キャリアの確立」に寄与する可能性があること。
4.ミドルの「社外での自己学習」は、会社の「アタリマエ」 – 会社で支配的なものの考え方や、ものの見方などを問い直す、「イノベィティブな学び」を引き起こす可能性があること
5. 会社を出て、自分の専門領域を深めたり、相対化したりして、学びたいと思っているミドルは多いのに、それを阻害する様々な「要因」があること。特に、社外に出ることに関して嫌な顔をする上司や、忙しすぎる職場や、様々な要因がミドルを社内に閉じこめていること。
などについて、10分程度、コメントしました。
「学び」とは、一般に、知識をアタマの中にTransmit(伝達)するものとして考えられていますね。
しかし、本当のことをいうと、「学び」とは「変容」であり、場合によっては、「破壊」でもあるのです。
その後は、フロアを完全にオープンにして、ペアディスカッションです。
1.なぜ自己学習のセッションに興味をもったのか?
2.自社のミドルは自己学習しているか? もししているのならどんな効果が生じているか。もししていないのなら、何がそれを阻害しているか?
について話し合っていただきました。会場は、かなり盛り上がりました。その後は、話し合った内容を、全体に共有します。参加者の方々からご意見をお聞きし、それに濱中先生、中原でコメントをしていきました。
「前代未聞の課題が増えている。社内の常識、社内にある知識だけでは、もはや対応できない」
「自己学習するというのは、常に新しいランチの場所を開発しているような人なのかな」
といったようなご意見がでてきました。あっという間の70分でした。
ちなみに、最後に調査データをひとつ。
濱中先生によりますと、WP調査2004という調査の結果、「自己学習する人は、しない人に比べて、所得が3.6%がアップする」ということがわかっているそうです。
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最後に、このような機会を与えてくださった、濱中淳子先生、会場の皆さんに感謝いたします。どうもありがとうございました。
そして人生は続く。
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昨日は、TAKUZOを連れて羽田空港に行ってきました。飛行機に大喜びでした。あと、アメリカから輸入したお揃いのラルフローレンが届いた。「イタイ親子」、もとい、「イタイ親」に見えたかもしれない。ちょっぴり恥ずかしかった。
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