NAKAHARA-LAB.net

2008.4.12 15:01/ Jun

組織を「変革」するのは「誰」なのか!?ワークショップ:Learning barが終わった!

 昨日は(株)ヒューマンバリュー代表取締役 高間邦男さんをおまねきして、「組織を「変革」するのは「誰」なのか?- 組織変革手法を体験するワークショップ」というLearning barを開催しました。
ヒューマンバリュー
http://www.humanvalue.co.jp/
Learning barへのお誘い
http://www.nakahara-lab.net/learningbar.html
 4月の新入社員研修時期だというのに、30件近い企業から参加申し込みがあり、その中から申し込み順で16の企業・組織が参加しました。教室の関係上、それ以上の参加は難しい状況でした。今回ご参加いただけなかった方々、ご了承ください。
 ちなみに、16の参加企業・組織は大変多岐にわたっています。大手半導体メーカ、生命保険会社、インターネットベンチャー、製薬会社、電力会社、医科系大学、看護専門学校・・・本当に様々です。
 —
 ワークショップは、いわゆるAI(アプリシエイシブ・インクアイアリー)の方法で行われました。
 AIとは、僕の言葉でいえば、「組織のメンバーひとりひとりが、理想と思われる自分の仕事の仕方、組織のあり方を持ち寄り、対話を通じて、それを組織変革へと昇華していく方法」です。
 この手法の背後には、社会構成主義などの哲学が色濃く反映されています。ちなみに、社会構成主義の泰斗ケネス・ガーゲンは、著書「あなたへの社会構成主義」の中で、AIを紹介していますね。

 人々は多様なストーリーをもっていますが、そうしたレパートリーの中には、きっと、価値をもつもの、不思議なもの、面白いものがあるはずです。
 組織にとって、ストーリーは銀行にとってのお金のように大切な資源です。つまり、(人々の)多様なストーリーを引き出してくることは、新たな未来の展望に投資することなのです。
 ストーリーを人々が共有することで、そうした展望が実現可能であるという確信が生まれます。価値を認めるナラティブは、創造的な変化の力を解き放つのです。
(同書 p262)

 以下、昨日のワークショップを、準備から振り返ることにしましょう。
jyunbi.jpg
 上の写真は、開場前の会場です。テーブルに、色とりどりのテーブルクロスがかけらています。これらはヒューマンバリューの方々が準備してくれました。非日常的な感覚を演出することが目的だそうです。
jyunbi_human_value.jpg
 上の写真は、ヒューマンバリューの方々です。手際よく、ワークショップを準備なさっていました。ありがとうございます。
jyunbi_sakamoto.jpg
 上は、東大側の代表、事務局を担当してくれている坂本君@教育学研究科博士課程。課長、お疲れ様。
jyunbi_todai.jpg
 こちらは東大の大学院生たち。このほか、牧村さん@学環M2、坂本君@学環M2がお手伝いしてくれました。いつもありがとう。
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jyunbi_table_ni_tsuku.jpg
 早速参加者がぞくぞくとつめかけます。この日は、1つの会社から4名の参加、ということだったので、いつもと雰囲気が変わりました。
 テーブルのそれぞれには「かめさん」「ぞうさん」とか、名前がついている。序列が生まれるのを防ぐため、番号では呼ばないそうです。上の写真はテーブルレイアウトの様子。かめさんチームとか、ぞうさんチームとか呼ばれています。
before_oryouri.jpg
 お料理はいつものDean and Delucaですね。ワインは20本ほど購入しました。さっそく、早く来た人から取り分けていきます。
Dean and Deluca
http://www.deandeluca.co.jp/
 下記は会場の全景。当日は70名近い方々が、参加しました。
workshop1_checkin.jpg
 高間さんによるワークショップがはじまりました。
 まずはチェックイン(自己紹介)です。
workshop0_takama.jpg
 お互いに見知った中でも、最初は緊張しているものです。場がだんだんと和んできますね。
workshop2_checkin.jpg
 その次は、ハイポイントインタビューです。個人が考える理想 – 理想の働き方、組織のあり方を、相互にインタビューしていくプロセスです。
workshop5_hero.jpg
workshop3_hero.jpg
 最初は、頭と頭の距離が遠かった参加者も、身を乗り出して、個人のストーリーに耳を傾けはじめます。「頭と頭の距離」は、この類のワークショップの活性度をはかる手軽な指標かもしれませんね。
workshop4_hero.jpg
workshop6_hero.jpg
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 今度はに、先ほどのインタビューによって抽出された「個のストーリー」を、持ち寄って、組織のあり方を、対話の中から見つけようとします。
workshop7_soshiki.jpg
workshop8_soshiki.jpg
workshop9_soshiki.jpg
 グループで話し合った内容を、会場全体で共有します。
「M&A後、全く異なった意味体系、文化をもつ組織をどのように学習する組織にするか」
「創業当時の目標を見失っている組織を、どのように、活性化させるか」
「マネージャと技術職でわかれている研修体系を、どのように接合していくか」
 などなど・・・それぞれの組織の課題が共有されていきます。
workshop10_soshiki.jpg
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 ワークショップは、5時からはじまって、8時30分あたりまで。その後は、中原が司会をして、リフレクションとラップアップをしました。
 リフレクションでは、「今日、ワークショップで体験したことの意味」を話し合ってもらいました。中原によるラップアップ(解説)は、ケネス=ガーゲン、カール=ワイク、スターウォーズの台詞なんかをおりまぜながら、お話をしました。言いたかったことは下記の5点です。
1) 専門的知識をもち組織を分析し戦略を立てる「外部の人(コンサルタント)」と、彼のつくった戦略やプランを着実に実行する「内部の人」というダイコトミー(二項対立)のもとでは、なかなか組織は変わらない。
2) 結局、外部からもたらされる戦略やプランとは、組織変革のリソースのひとつに過ぎない。全くなければ「海図なき航海」になる。しかしあっても、安全な航海は保証されない。本当のことをいうと – むしろ、人は何かを夢見て、自らそれにトライし、さらにそれを振り返ったあとで、自分たちがなしえたことを「戦略」と結論することが多い。
3) 組織を変える、組織学習のシステムを構築しうるのは、結局、内部の「人々」による。「人」ではない。「人々」である。
4) まずは個人が夢見ること、そして人々がその夢 – ストーリーを交換することから、可能世界(Possible world : 未来)が広がる。May the force be with your dream
5) 可能世界(Possible world : 未来)は、人々のインタラクションの中にある・・・フォースを感じるのだ。
 終了は予定通りの9時。本当にあっという間の4時間でした。
 最後になりますが、4月の忙しい時期にご出講いただいた高間さん、準備をしてくださったヒューマンバリューの方々に、この場を借りて感謝いたします。素晴らしい学びの機会を本当にありがとうございました。
 次のLearning barは5月30日!
 近く、申し込みが始まる予定です。
 また、本郷キャンパスでお会いしましょう!
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http://www.nakahara-lab.net/learningbar.html

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