2023.6.12 14:08/ Jun
「最近の若者は管理職になりたがらない」という言説には「意味がある」のか?
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人材業界には、流行言説というものが存在します。
最近の流行言説のひとつは、
「管理職になりたくない若手ビジネスパーソンが増えている」
でしょうか。
実は、この言説、わたしが、この領域で仕事をしはじめた20年も前から、繰り返し、繰り返し語られている言説です。カビキラーでも、なかなか落ちない「しつこさ」をもっているとも言えるでしょう(なんで、カビキラー?)
新しい問題なんかぢゃないの。
20年前から、ずっと言われてるの(笑)。
今、あなたの目の前にいる管理職が、若い頃にも「管理職になりたくない」と言っていたのです。
閑話休題
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管理職になりたくない若者が増えている・・・。
まぁ、その言説の意味するところ・・・・ニュアンスは、わかります。
中間管理職は、いつの時代も大変です。彼らは、つねに板挟になっていて、長時間労働。さして報われていないように感じるし、その仕事は年々忙しくなっているような気もする。だから、若いビジネスパーソンのなかには「管理職にはなりたくない」というひとが増えている
と・・・。
そういうことですね。
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でも、この言説、一部に「そうだよな」首肯できる部分もあるものの、よくよく考えてみると「若いビジネスパーソンを十把一絡げ」にして「管理職になりたいか、なりたくないか?」を問うこと自体が、「ほんまに、意味があんのかいな」とも思えます。
管理職は、そもそも、誰もがなれるわけぢゃないのです(笑)そもそもにして、管理職とは、
1.管理職になる資質・スキル・能力のあるひと
を見いだして
2.組織側が役割をアサインして、なってもらうもの(受諾してもらうもの)
です。
組織にとって、もし万が一「管理職」についての課題が深刻なのだとしたら、その本質とは、
1.「管理職になる資質・スキル・能力を有している人材」の「うち」
2.「会社が管理職になって欲しい」と思うけれど「管理職になることをためらう人」が「増えている」
だと思います。
つまり
「管理職になってほしい、管理職として活躍できるひとが、なりたがらない」
のなら「一番の問題」です。しかし、先ほどの問いは「質問対象」が「限定されて」いません。すべてのひとびとに「管理職になりたいか、なりたくないか?」を問うています。
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つまり、先ほどの問いを、十把一絡げの「すべてのひと」に問うことに意味はあるのでしょうか?
「十把一絡げにした若いビジネスパーソン」のなかには、
1.管理職に絶対にあげてはいけない人材も、
2.管理職に1ミリも関心がないひとも、
3.管理職になるスキルも能力もないひとも
4.管理職になることはおろか、自分のキャリアなんてほとんど考えたこともないひと
も含まれます。こうしたひとびとに(キャリアは本人の自由なので、それが悪いわけではありません。大人は好きに生きればいいのです)、一様に「あなたは、管理職になりたいですか?なりたくないですか?」とたずねることに、どれほどの意味があるかなと思うのです。
(むしろ、問題の本質は、自分のキャリアをあまりに考えない人が増えている、のではないか、とも思ったりします)
管理職不足が問題が本当に深刻な人材課題ならば、もっとメッシュを細かく、「どういう人材が、管理職になりたがらない」のかを分析しなくてはならないのではないでしょうか。
僕はそう思います。
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今日は「管理職になりたくないひとが増えている」のお話をしました。
ちなみに・・・僕が過去に関わった調査では、「管理職になったひと」に「管理職になってよかったか?」と尋ねると、半数を超えるひとは「管理職になれてよかった」と答えます。
人生、やってみな、わからんものですよ。
そして
やってみたら、案外、想定外の良さも発見するものかもしれませんね。
もちろん、管理職は、いつの時代も、大変だとは思うけれども。
そして人生はつづく
【付記】
「管理職になりたくない」という場合、「その先」に、どういうキャリアが広がっているのかを「わかっていて」言っているのか、そうでないのか、は、まことに香ばしい課題です。もしご興味があれば、ぜひ下記のブログ記事をご覧ください!
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「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
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「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
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