2023.3.5 08:39/ Jun
あなたの身体は「饒舌」である!?
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この週末は、立教大学大学院で、組織開発コンサルタントの松本加奈子さん(組織クオリティデザインラボ)による特別講義「グループプロセス入門」が開催されています(松本さん、ご多用中、ご出講をいただきありがとうございます)。この特別講義(対面ワークショップ)では、3日間をかけて、人材開発・組織開発の様々な局面で利用される「プロセスコンサルテーション」の基礎を体感・学習します。
組織クオリティデザインラボ
https://oqdl.jimdofree.com/
ワークショップのなかでは
1.グループで「対話」をおこなったり
2.1の「対話」プロセスを外部から「観察」したり
3.1の「対話」プロセスにファシリテータとして「働きかけたり」
することを交互に体験します。
このプログラムのなか、受講生はもちろん一生懸命・熱心に対話をおこなうのですが、思っていたように、グループでの対話が進まず成果があげられなかったり、意見がまとまらず、一部のメンバーに心残りが残ったりすることが、時に起こります。そうしたとき、ファシリテータとして、どういう「働きかけ」を外部からおこなえば良いかを考え、実践するのが、この特別講義の醍醐味なのかな、と思います。
会場には、大学院LDCコース事務局特製の「360度ZOOM録画・車座サークルシステム」もできあがっていました(素晴らしい!ありがとうございます!)。どういう画角で、どのように設定をおこなえば、もっともミスとロスがなく対話過程を録画できるのか、おそらく、彼らはたくさんの実験をしたものと思われます。
かくして、すべての対話参加者の対話過程は録画され、あとでリフレクションされます。「360度ZOOM録画・車座サークルシステム」は、受講生にとって、素晴らしい「成長の鏡」を提供してくれるものと思います。
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わたしは、この講座に半分運営側として、半分参加者として参加しています。
多くの受講生の対話過程をじっくり「観察」していると、いくつかのことが痛感させられます。
まず、真っ先に思ったことは
身体は「饒舌」である
ということです。
わたしたちの身体は、わたしたちが意図しようとも、意図せずとも、様々なメッセージを発しています。緊張しているひとは、どちらかというと、椅子の背もたれに深く腰をよこたえ、自分を守るように座っています。下を向いて、何かを書き付けているひとは、「わたしは、今は、発言しません」というメッセージを伝えています。
また、今からリーダーシップを発揮したり、ファシリテーションをしようとしているひとは、骨盤を立てて前のめりに座っています。身体はかくして、わたしたちに非言語のメッセージを発しているように感じられます。
メンバー間に緊張感が走ったり、一瞬グループが混乱するのは、この身体的メッセージと、言語で為されるメッセージが「相反」するときです。
たとえばファシリテータの場合、身体的には「ファシリテーションを降りている」のにもかかわらず、言葉の上では「ファシリテーションを積極的におこなっている言葉」が発せられるようなとき、そこにメタメッセージ(身体上のメッセージ)と、メッセージ(言葉として発せられる意味内容)の相克が生まれます。これが「二重拘束(ダブルバインド)」です。ダブルバインドがいったん生まれてしまうと、相手は、その後、どのように動いて良いのかわからなくなります。
逆に「身体的メッセージ」と「言語メッセージ」が同期している場合には、ファシリテーションが力強く「見えるよう」になります。このひとは「信頼できる」という感覚をメンバーに与えます。
ここに私たちが、対面でリアルにファシリテーションをおこなうときの「妙」が隠されています。
対面のワークショップとは、オンラインのワークショップに比べて、「情報量が多い=身体をもちいたパフォーマンスの余地が大きい」のです。
「Zoomの数センチ四方の画面」から発せられる「情報量」とは、たかがしれています。パフォーマンスを実施できたとしても、たかだか「ろくろを回す」くらいのパフォーマンスです(ろくろをまわす+IT系とかで、ぐぐってみてください・・・意味がおわかりいただけると思います)。
しかし、わたしたちが対面でおこなうときの「情報量」は、これに比べ、莫大です。逆にいうと、対面のワークショップでファシリテーションをおこなうとは、
わたしたちの身体を、わたしたちの思うように、使いこなさなければならない
ということです。オンラインのワークショップがうまくできるひとでも、対面のワークショップが同じようなレベルで遂行できるわけではありません。
わたしたちはコロナ禍で、一次的に「身体」を失いかけました。これを取り戻すことが重要です。
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ふたつめ。それは、
言語とは「遂行的」である
です。
わたしたちが日常でもちいる言語とは、決して、世界を写像(うつしだす)ための「曇りのない鏡」のようなものではありません。言語は、それ自体が、ひとの行為を喚起したり、自分自身の行為を伝えたりします。この意味で、言語とは「行為」です。言語には「行為遂行的」な側面をあわせもっているのです。
たとえば
「(ワークショップの残り時間は)5分です」
という発話は、文字通り「残り時間が5分」であることだけを伝えているわけではありません。そうではなく、「残り時間が5分であるけれど、わたしたちはこの範囲内で、あと・・・個の意思決定を行わなきゃならないよ」ということを伝えています。
コミュニケーションがうまくいっているグループは、この言語の「遂行性」をうまく感じ取り、お互いにフォローをしあったり、貢献の度合いを強めたりしながら課題に向き合います。
ファシリテータの側からいうと、いかに押しつけがましさを感じさせずに、言語の遂行性を行使し、「グループ全体の決断」に導くかが重要になります。
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みっつめ。
それは、
ファシリテータとして、話し合いのプロセスを子細に見つめ、かかわることは、即興的・多重ワークである
ということです。別の言葉でいえば、心身ともに疲れる(笑)
わたしは、昨日ファシリテータをおこなったわけではないですが、30分弱の対話セッションを見つめているだけでも、目が落ちくぼんでしまうほど、疲れました。
なぜなら
1.何(What)が語られているのか?(会話内容の意味的推移)
2.誰が(Who)、誰に対して(Whom)、いかに(How)語っているのか?
3.自分だったら、どのタイミングで、どのようにグループに介入するか?
という3点を同時に考え続けながら(=即興的多重ワーク)、グループを観察しなければならないからだと思います。
さらにこれら3つは、別々に存在しているわけではなく、1と2はまず連動しています。「厳しい意味内容」を伝えられるときには、2の伝え方も変わります。2の伝え方や対象が悪ければ、1の内容は伝わりません。これら2つをおっていくだけでもきついのに、3の介入のタイミングを同時におこなうのは、本当に大変です。
さらに、リアルな対話場面では、「時計の針は元に戻せません」。「あっ、あのとき介入しておけばよかった」「あのとき、あんなこと言わなければ良かった」と思っても、対話は常に進行していきます。適切なタイミングをとらえ、誰に対して、どのような深さのメッセージを伝えるかがポイントです。そこには「勇気」も必要です。
2日目の今日は、松本さんの指導のもと、受講生の皆さんが、グループに介入をおこなうのだと思いますが、ぜひ、これら3点の両立にチャレンジしていただければと思います。
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今日は現在進行形で進んでいるワークショップの内容を書かせていただきました。
受講生の皆さん、事務局の皆さん、そして松本さんと協力しながら、この3日間を実り多いものにしていきたい、と考えています。松本さん、今日もどうぞ宜しくお願いいたします。
そして人生はつづく
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Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
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短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/000HD6260/
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