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2023.2.9 06:27/ Jun

解像度の高い「ふりかえり」を行うための4つのポイント!?

 解像度の高い「ふりかえり」を行うための4つのポイント!?
     
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 仕事柄、学生さんやビジネスパーソンの皆さんに「振り返り(リフレクション)」を促す機会に恵まれることが多いものです。
   
 振り返りは「大人の学び」にとって「ごちそう」ですので、この部分は、個人的には、とても大事にしていきたい、と思っています。
   
 アタリマエダのクラッカーですが(死語)、
   
「さぁ、皆さん、振り返ってください!」
   
 という「劣等戦士・丸投げドン」的なファシリテーションでは、解像度の高い「振り返り」はまず期待できません。
 
 たぶん結果は散々です。
     
「今日はね、お味噌汁、みんなでつくったの、美味しかった」
   
 といった具合の「けんちゃんの絵日記」的な”振り返り”が出てきたり、「教員のしゃべったこと」を丸写ししたような「記憶テスト」のような”振り返り”が出てきたり、
   
「今日の授業でならった、ほげほげは・・・であるべきだ!けしからん!」
   
 みたいな「青年の主張」のような振り返りも出てきまます。
  
 端的に申し上げますが、
   
 大学時点で、振り返りは、多くの学生にとって、身についていません。
 何も指導しなければ、振り返りは、振り返りになりません。
     
  ▼
    
 それならば、どう指導するか?
   
 わたしは下記の4点かなと思っています。
   
 1.なぜするのか?を伝える
 (目的をきちんと伝える)
    
 2.何をしてほしいのか?(何を書いて欲しいのか?)を示す
 (振り返りの「型」を伝える)
      
 3.振り返ったら、フィードバックする
 (早期にレスを返して、やって良かった感をもってもらう)
    
 4.しょっちゅう、やらない
 (ここぞというタイミングにしぼる)
   
 以下、これを論じてみましょう。
    
  ▼
      
1.「なぜ、ふりかえりをするのかを伝える」は、いわゆる「目的の打ち込み」です。もっとも基本的なところですが、意外に「はしょられ」ます。
   
 教員の立場からは「さ、振り返りシートに書いといてね」とか「あとで振り返りをしておくように」といった具合に、ふんわりと、振り返りを指示します。つまり、教員は「振り返ることが当然」が「前提」になっているのです。
   
 このとき学生の頭にわいているのは、
  
「なんで、振り返りをしなくてはならないのか?かったりー」
「書いて、なんの意味があんの? しんどい」
  
 です。
  
 よって、手間はかかるとは思うのですが、そのプロジェクトで、「今、ここ」で「振り返り」を行う意味を打ち込まなければなりません。
  
「振り返りは、やって当然」を「前提」にしてはいけません。
  
 その「前提」にたっているのは、多くの場合、教員だけだからです。
   
  ▼
  
 次に「2.何をしてほしいのか?を示す」です。
 何かを書かせるのならば、振り返りのフォーマット「型」を指定します。
     
 わたしの場合は、
   
振り返りとは「これまで(過去)ー今、ここ(現在)ーこれから(未来)をつなぐストーリー」なんだよ
  
 と指導します。そのうえで、経験が浅い場合には、それぞれに、だいたい5行くらい書いて、という場合もあります。
    
 過去・現在・未来の3つの要素は下記の通りです。
   
1.これまで(過去)
 過去に何が起こったのか?:固有名詞・数字を出し、なるべく具体的に、時間軸にそって描写する)
   
2.今、ここ(現在)
 今、ここで、1の出来事をどのように感じ、考えているのか、何がよくて、何が悪いのか?
   
3.これから(未来)
 これから、どうしていくのか? 明日、何からはじめるか?
  
(※各項目の内部は、箇条書きは禁止。文章にしていただきます!)

 たったこれだけの「型」や「フォーマット」の提示ですが、解像度はグンと上がります。
 ちなみに、ビジネスパーソンも、振り返りは「苦手」です。ただ、このフォーマットを指定するだけで、以前の解像度よりも当社比2倍くらいは、解像度が上がります。
     
 もちろん、型やフォーマットを提示することには功罪、賛否両論もあるでしょう。
     
 しかし、
    
 多くのひとびとは、振り返りと言われても、何書いていいか、わかんない!
    
 なのです。
   
「振り返りとは、かくかくしかじかなものだ」という前提にたっているのは教員だけです。学生は、そんな「前提」にたっていません。
  
 ちなみに、この様相は、
   
 多くの子どもたちが、夏休みに、読書感想文を書けと言われても、何書いていいかわかんない!
  
 の嘆いていることにも、とても似ています。
   
 必要な型やフォーマットは、いったん渡す。それでいて、必要なければ、徐々に使わなくなればいいのです。
   
 読書感想文も、振り返りも「何を書いていいのか、わからない」のに「大事だから、書け」と言われる。しかし、「なぜ大事か?」は教えてくれない。
 こんなことを繰り返していたら、「読書感想文嫌い」や「振り返り嫌い」を大量に生み出してしまうもとになってしまいます。
   
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「3,振り返ったら、フィードバックする」は、大切なことです。本当に一言でもいいかもしれないけれど、ここぞというプロジェクトの終わりには、振り返りに目を通して、
   
「何が伸びたのか? 伸びしろは何か?」
   
 という観点から、できるだけフィードバックするようにします。
    
 時間の都合上、全員の振り返りに触れるのが無理なら、一部でもいいです。ハードルは下げましょう。ただ「読んでくれている」んだな、という安心感は伝えた方がいいです。
    
 結局、
   
 他人様に考えてもらい「振り返り」を求める、ということは、
 あなたも考え「フィードバック」する覚悟をもつ
   
 ということなのです。
   
 だから「大変」です。
  
  ▼
   
 というわけで、もう一度言いますが「大変」です。
 だから、わたしは「しょっちゅう、ふりかえりは、やりません」。聞くところによると「50分授業の毎回終わりに、振り返りをしている授業もあるようで」すが、それは先生の勝手なのですが、それだと、わたしの求める精度の振り返りは難しいのかなと思います。
   
 たとえば、学部ゼミならば、ひとつの大プロジェクトが終わったときに1回くらいでしょうか。このときには、学生にもコッテリと書いていただきます。
  
 そんなに振り返っていたら、身体持ちません。
    
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 今日は振り返りについて書きました。
  
 4つのポイントを述べましたが、共通していえそうなことは、
   
 ・教員の「前提」は、子どもの「前提」ではない
 ・渡すものは、きちんと渡して、ここぞというときに実践する
    
 ことかな、と思います。
    
 注意したいのは
    
 振り返り指導を「こなし」ていると、子どもも「振り返り」を「こなす」ようになります。
 振り返り指導を「はしょって」いると、子どもも「振り返り」を「はしょる」ようになります。
    
  振り返りは「伝染する」のです
    
 そして人生はつづく
     
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