2008.3.14 08:45/ Jun
先日の会議で、リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長の講演を聴く機会に恵まれた。その中で興味深かったのは、「プロ領域を持たないゼネラリストが存在しうるか」という問いである。
大久保所長は、1980年代、日本企業が採用した複線型人事は失敗であったと説く。複線型人事とは、一言で言ってしまえば、「自分はプロフェッショナル(専門職)として生きていくのか、それとも領域に依存しないゼネラルマネジャーとして生きていくのか、をキャリアのある一時点で、決めなければならないという人事制度である(より正しくは、従来の職能資格人事制度に併存するかたちで、専門職のキャリアパスが設けられるような人事制度のこと)。
大久保所長によれば、この制度の落とし穴は、「プロフェッショナル」が、「マネジメントのできない人」という風に見なされ、よい待遇が与えられないことよった、、という。「今の時代、新入社員は全員プロになれ」という彼の持論は、非常に興味深かった。
そして彼は問う。
「プロ領域を持たないゼネラリストが存在しうるか」
—
僕の持論を言えば、「自分の専門性や拠り所を持たぬゼネラリストはきわめて難しい」と思っている。そのことは、かつて「中原ピポットターン理論!?」で述べた。
中原ピポットターン理論
http://www.nakahara-lab.net/blog/2007/06/post_899.html
領域に依存しない考え方、そして領域を越境するような思考は、自分の拠り所や専門性が完成して、はじめて発揮できるものであると僕は考える。
もちろん、こうした考え方には異論もたくさんあろう。僕はそれを否定しない。上記は僕の「わたしの教育論」であるし、僕が教育を行う際には、そのことを重視する、というだけである。
軸足を大切にしなければならない。そしていったん決めた軸足は安易に動かしてはいけない。
—
追伸.
昨日話題にしていた「人類学の調査手法を用いたコンサルティングファーム」であるが、大学院生のHさんが見つけてくれた。やっぱり僕の聞き違いかも・・・「エスノワーク」ではなかったので、これが先生の言っていたものと同じかどうかはわからないけれど。Hさん、ありがとうございました。
Ethnographic Insight
http://www.ethno-insight.com/
Ethnographic Research, Inc.
http://www.ethnographic-research.com/
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