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2022.12.12 08:19/ Jun

人材開発・組織開発にとって「理論」の役割とは何か?:理論は「ホームラン」を約束するのか?

 人材開発・組織開発にとって「理論」の役割とは何か?
   
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 このことについて、最近、うすらぼんやり(すみません)考えたりします。
  
 まず、人材開発・組織開発の実践においては、
  
 正しく理論どおりに人材開発を実践しても
 成果があがらなければ、価値はゼロ

  
 正しく理論どおりに組織開発を実践しても
 成果があがらなければ、価値はゼロ

     
 このことに間違いはありません。
    
「正しく理論どおりに実践すること」は、必ず成果・価値を創出するとは限らないのです。そして成果こそが、実践現場では求められます。「理論どおりに正しく行うこと」には意味はありません。実践現場では。
    
 極端な話をいえば、理論なんぞ、まったく知らなくても、実践を行うことはできます。
   
 理論と「対照」になる言葉を「野生」とするならば、
  
「野生の人材開発・組織開発」でも成果をあげる可能性はあります
   
 まずは、ここを認めなくてはなりません。極端な言い方をするなら、成果がだせるなら、科学的である必要も、論理的である必要もまったくない。これが実践の現場です。
   
  ▼
   
 それでは、わたしたちは、なぜ「理論を学ぶ必要」があるのでしょうか。
 わたしは、これまで過去20年、「理論の世界」と「実践の世界」を寄り道しながら仕事をしてきましたが、その立場からすると、やはり「理論は役に立つな」と思います。
    
 それは理論を知っていると、
  
 1.過去の先人たちの「先行」する考察・事例を知ることができる
   
 2.ある程度、現場の今後を「予測すること」ができる
  
 3.物事を整理するための「ものの味方」を獲得することができる
  
 4.自分の実践を理論に照らして「意味付けること」ができる
  
 からだと思います。
  
 さらに、あなたがもし「書き手」でもあるならば、
  
 5.自分の実践を通して「過去の理論」をアップデートすることもできる
   
 ということもありえるかもしれません。
  
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 しかし、これらのメリットは、結局は、何を「実践者に提供する」でしょうか。
   
 ここには様々なご意見があるでしょうが、わたしの結論としては、
  
 理論は「派手な失敗」の確率を減らし、成果を「地道」にだせる確率を上げる
    
 ということに尽きます。
    
 ここでのポイントは、
   
 理論は必ずしも「ホームラン!」を保障するわけではない
   
 ということです。
   
 もちろん理論を知っていて「ホームラン!」を果たすこともできます(すべては確率的です。ホームランの確率が0ではありません)。
 ただし「ホームラン!」は理論によるものというよりは、現場の運、現場の人々との協働の質に依存するように思います。理論は「ホームラン!」の確率を上昇させるよりは「地道な成果創出を保障すること」に寄与するといった方がいいように思います。
      
 逆にいうと、先ほど述べた「野生の人材開発・組織開発」は「はちゃめちゃリスキー」です。
 もちろん「野生の人材開発・組織開発」が成果創出につながる可能性もありますが、それよりは「派手な失敗」につながったりするケースの方が多いように思います。
     
 過去の先人に学べず、今後も予測できず、物事も整理できず、自分の現在地がわからないまま、徒手空拳で、自分一人で課題解決を行わなければならないのですから、それも、むべなるかなではないでしょうか。
        
  ▼
    
 今日は人材開発・組織開発における「理論」の役割について書きました。
 この議論の難しさは「煮え切らないこと」だと思います。
   
 すなわち、
   
 理論を学べば、キャッチオールで「大成功」
 理論を学ばなければ、ぺんぺん草もはえないような「大失敗」
    
 という二項対立でこれを論じることができれば、もっとわかりやすいのですが、事態はそれほど簡単ではありません。
    
 実際、「二項対立」はわかりやすいですが、頭を悪くします。
   
 世の中の、たいていの真実は「確率論的」です。
   
 つまり、
  
 理論を学べば、「派手な失敗」をする「確率」が下がり、
 地道に成果創出する「確率」が上がる

  
 確率論的な、あまりに確率論的な
   
 そして人生はつづく
   
  ーーー
        
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