2022.10.14 08:27/ Jun
その仕事は「ジャズ」のように進む!?
・
・
・
せんだって、組織学習の勉強会で「組織的即興(Organizational Improvization)」という概念を耳にしました。
ここで「組織的即興」とは、
・計画や実行の時間が極端に短かったとしても、
・ひとびとが、自発的、かつ、自然なかたちで、直感にもとづき
・目的達成・課題解決してしまうこと
だとします。
あたかもジャズのインプロヴィゼーション(即興)のように、すべての奏者が互いのタイミングを読み、良質の心地よい音楽を、あっという間に奏でてしまう。
もちろん、すこしの計画はあるのだろうけれども、そういうものを最小限にしてでも、ひとびとの貢献により、場を成立させてしまう。
そういう瞬間が、組織において、仕事の現場で達成されるのだとしたら、それは「組織的即興」と形容してもよろしいのではないか、と思います。
▼
わたしの仕事でいえば、おかげさまで、大変ありがたいことに、「組織的即興」に近いクオリティで、運用できているチームや現場に恵まれています(心より感謝です!)。
(今日は、教育現場の組織的即興の話をとりあげます。共同研究や出版など、わたしの仕事の周囲には、他にもさまざまな組織的即興を奏でてくれる方々があふれています。本当にありがたいことです)
・
・
・
たとえば、経営学習研究所のメンバーの皆さん。
彼らと行うワークショップでは、最低限の「タイムスケジュール」はありますが、ワークショップ内部での出来事をお互いに観察し合いながら、みなで貢献し合い、即興的にプログラムを組み立てていけます。
たとえば、慶應丸の内シティキャンパスのラーニングファシリテータの皆さん。
わたしが登壇しているとき、目をあわせたり、すこし耳打ちするだけで、臨機応変に動き、講師とともにプログラムを進行させています。わたしは慶應MCCの教壇にたっているとき、受講生に対してTT(Team Teaching)を行っていると思って仕事をしています。
たとえば、立教大学大学院LDCコースの事務局の皆さん。
オンライン授業中であれば、裏側にたてたSlack上で連絡を密にとりあい、授業を進行します。対面授業であれば、それぞれが臨機応変に、授業を何事もなく進行させます。授業の前には、皆で授業スライドをつくり、加筆・修正し、アップロードします。
立教大学大学院の仕事は、わたしにとっては「教職協働」などという言葉で形容する必要はありません。そんな厳つい言葉を使わなくても、あたかもあたりまえに、教員・職員すべてのスタッフは協力しあっているからです。
たとえば、パーソル研究所のHRLFのスタッフの皆さん。
30人の課題解決を着実に達成できるよう、講師の裏側で、様々な調整を行い、必要な情報を的確なタイミングであげてきていただけます。このプログラムも登壇講師の数、課題解決数は非常に多いものです。しかし、それをものともせず、着実に受講生たちをフォローしつづけています。
・
・
・
いや、本当にありがたいことです。こうしたチームや職場に恵まれたことは、わたしにとってかけがえなのない財産です。
しかし、どうして、このような組織的即興が可能になっているのかは、振り返ってみても、なかなかわかりません。
ただ、おそらくなのですが、
・学習者(受講生)の学びのクオリティを最大限にしたいという思い(信念)
・どのような出来事が起こっても、誰かが一歩前にでてひろえるよう
常に場を見続ける観察力
・学習者が次にどのように動くのかを推定する予測力
・誰がどのように動いたとしても、他者が、それをカバーできるように動く行動力
・学びの場を「こなさない」、ぜったいに「落とさない」というプロ意識
があるのだとは思います。
よい組織的即興のためには、高い専門性を持つ人々による、多様な知識やスキル、価値観が絶対に必要になります。それらを基盤として、組織的即興が成し遂げられます。
多くのチームでは、そうしたものを、長年にわたって蓄積してきたのではないか、と推察します。まことにありがたいことです。わたしは本当に仕事仲間の皆さんに恵まれています。
▼
今日は、わたしの身近にある(主に教育関係の仕事の)「組織的即興」の話をしました。組織的即興とは「相手をリスペクトし、相手に気持ちよく音をだしてもらえる環境」のことだ、と思います。
ベースのないジャズは、どこか心許ないものです
ドラムのいないジャズには、ビートがありません
ジャズにはサックスの音色があったほうがいいし
トロンボーンの響きも捨てがたいものです
すべての楽器が強みをいかし、目の前にいるお客さんの方を向いて、仕事をする。どの楽器がかけても、味気ない音楽になるものです。
これからも、多くの人々との組織的即興を楽しみにしています。
そのためには、僕も、自分自身の楽器の腕を磨かなければなりませんね。
人生、即、学び!
そして人生はつづく
ーーー
【ご案内】新刊「話し合いの作法」!:すべてのひとびとに、対話し、合意して、決断できるスキルを! 人事パーソンはもとより、現場のマネジャー、現場の先生方などなど「話し合い」のスキルを高めたいすべての方々にお読みいただきたい一冊です!
新刊「話し合いの作法」(AMAZON予約)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4569851843/nakaharalabne-22
同書の内容をサクっと学べる動画も公開されています。どうぞご笑覧くださいませ!
■仲が良くても心理的安全性が低い残念な理由【中原淳 立教大学経営学部教授】
■“残念な話し合い”5つの病【中原淳 立教大学経営学部教授】
ーーー
【人事・採用ご担当者さまへ】御社で人材開発・組織開発のプロフェッショナルを採用しませんか?
立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース(以下、LDC)では、経営学を基盤にしながら、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進することのできる高度プロフェッショナル人材を育成しています。
このたび、このコースを修了した大学院生の皆さん(卒業生ネットワーク:アルムナイネットワークのメーリングリスト:アルムナイネットワークは、卒業生の自主的な活動です)に対して、企業人事の皆様が「採用情報」をお届けいただけるサイトを開設いたしました!。利用上の注意をご高欄いただき、適宜、ぜひ、ご利用くださいませ。無料で情報を送付いただけます。
■立教大学大学院・採用情報発信サイト■
https://ldc.rikkyo.ac.jp/recruit/
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。来年1月に願書提出、2月に入試が予定されています。
在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
ーーー
【アンコンシャスバイアス研修・内製化ツールキット開発!】武蔵野大学・島田徳子先生、ダイヤモンド社の皆さん(広瀬一輝さん、永田正樹さん)との数年にわたる共同研究と、NPO法人日本ブラインドサッカー協会との連携で、スマホで手軽に受検できる「アンコンシャスバイアス測定テスト」と、内製化研修(プレゼンキット)を開発しました!。この問題は、学術的な背景などは、わたしどもが、テスト結果に基づき動画像(ビデオ)で解説させていただきます。ご利用くださいませ! ご自身の組織にもっともフィットしたアンコンシャスバイアス研修をつくることができます。どうぞご利用くださいませ!
■アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のWebページはこちら!■
https://jinzai.diamond.ne.jp/ub/unconscious-bias/
ーーー
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
「チームワーキング研修版」リリースされました!
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
「チームワーキング」が「アセスメントを絡めた管理職研修」として利用されております。モニター利用各社の人事担当者の皆様、開発担当者の堀尾さんと、座談会をさせていただきました。ぜひご覧くださいませ!
チームワーキング座談会
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/case/index.html
書籍「チームワーキング」の方も、おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
https://amzn.to/3esCOrW
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
ーーー
研修開発ラボ(2022年度開講)募集中!
【全5回 6日間】第1回:2022年10月18日(火)第2回:2022年11月8日(火)第3回:2022年12月13日(火)第4回:2023年1月30日(月)&1月31日(火)第5回:2023年2月28日(火)
研修開発ラボは、組織や現場のニーズ、経営戦略をふまえ、経営に資する社内研修を構築することを目的としたセミナーです。最新のアカデミックな知見やエビデンス、研修開発に役立つヒントを随所に散りばめたプログラムになっています。
全5回6日間のオンライン研修を通して、継続的なアウトプットと講師陣によるフィードバックを繰り返しながら、研修の企画・設計・実施までの「研修開発プロセス」を実践的に学ぶことが可能です。
設計編では、実際の自社課題・ニーズに基づいて研修プログラムを作成いただきます。中原による公開ゼミナール&講師陣による個別コンサルティングによって、効果的な研修プログラムの開発とアップデートを支援します。
研修開発ラボ
https://jinzai.diamond.ne.jp/lab/
ーーー
立教大学経営学部 中原ゼミ、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中! 内定者の論理思考力、質問力などの工場、強みの発見、内定者同士の関係構築を、オンライン・オフラインで行えます。スライド、ワークシート、動画など完全完備。企業ごとに内製化してお使いいただけます。
立教大学経営学部 中原ゼミ、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中!
https://jinzai.diamond.ne.jp/rp/prospective-employee-workshop/
ーーー
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発)
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
ーーー
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
ーーー
【泣くな!新米管理職!】
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
ーーー
Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
「新人研修をアップデートするための5つのコンセプト」に基づいて開発された、中原が監修をつとめる新人研修プログラムです。全4回にわたって実施する「オンライン研修」と「現場での実践&振り返り」を往還することによって、新人期に直面する壁を乗り越え、トランジションを果たせるよう手厚くサポートできるようになっています。経験学習を習慣化するほか、ストレスマネジメント、フィードバック、ジョブクラフティングなどについて学ぶことができます。
Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
OJT指導員向け・短時間&動画で学べる 部下育成スキルの動画もございます。中原が新人育成のポイントについて解説しています!
短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/000HD6260/
ーーー
新刊「研修評価の教科書」好評発売中です。アカデミックな知見に根ざしつつも、実際の企業のなかで実践可能な研修評価とは、いかにあるべきか。「企業における」研修評価のあり方を論じた本です。質問事例などのワークシートなどもついております。3つの企業事例も含まれています。どうぞご笑覧くださいませ。
新刊「研修評価の教科書:数字と物語で経営・現場を変える」
https://amzn.to/3ta9mhf
ーーー
新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」発売中です。AMAZON「企業再生」カテゴリー1位を記録しました(感謝です!)。
これまで税務・法律の観点からしか語られなかった「企業合併(M&A)」の問題に対して、ひとと組織(人材開発・組織開発)の観点からアプローチし、シナジーを生み出す可能性を考えます。
M&Aという「巻き込まれ事故」に関わってしまった経営企画・人事・現場の管理者・リーダーの皆様にぜひお読み意いただきたい一冊です!
購入はこちら!「M&A後の組織・職場づくり入門」
https://amzn.to/3v0P0bE
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約38000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)
2024.10.14 19:54/ Jun
2024.9.28 17:02/ Jun
2024.9.2 12:20/ Jun