2022.9.3 16:53/ Jun
Learning 【Offline】 Fes!の時代だ!
(ラーニング・オフライン・フェス)
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昨今、大学や企業などで授業やワークショップをしていて、とても気になっていることがあります。それはコロナ禍にまつわる「コミュニケーションの劣化」のことです。
わたしの仮説を端的に申し上げますと、コロナ禍の数年を過ごすうちに、わたしたちは(少なくともN=1、わたしの周りは)、
1.対面で教える技術
2.生身の人間を前にプレゼンする技術
3.息づかいのある人間同士の会話をファシリテーションする技術
4.葛藤を感じながら、対話することの技術
などなど、要するに「オフライン(対面)でのコミュニケーション技術」の一部を「退化」させてしまったのではないか、という仮説です。
「退化」というと、すこし大げさかもしれませんので「忘却」ないしは「一時的忘却」くらいがよいのかもしれませんが、わたしは、教育現場に立ちながら、最近、そのことを強く実感します。
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たとえば、対面でグループワークしている学生同士の会話に耳を傾けていると、
「どう考えても、会話相手に聞こえない、小さなボリュームでしか話せていない学生」
をよく見かけます。
彼 / 彼女らは、声が出ないわけでも、小さいわけでもありません。あきらかに「自分の声が届いているのか、どうか」に意識が回っていないのです。「自分の声が聞こえていないこと」を想定できていない、という風にも見えます。
しかし、このことで彼らを責めるのは酷です。
なぜなら、これまで彼らは「画面が学校だった時代=オンラインでの学び」が長く続いたからです。
いつも行っているオンラインの会話ならば、そもそも声を遮るマスクは必要がありませんし、高感度のマイクがあるので、小さなボリュームでも、会話相手には、伝わります。部屋のノイズも、極力、ゼロに近いものです。
しかし、オフラインはそうはいきません。
まずマスクがあります。かつ、空間には様々なノイズがあふれており、かつ、マイクはありません。オフラインでは、より意識して、声を「相手に届けること」が必要になります。
しかし、こうした状況下においても、多くの場合、対面で話す学生は
「自分の声が、相手に届いていないことに、気づいていない」
ケースがほとんどです。
ここから、わたしは、ひとつの「妄想」にたどり着きます。
ひとびとは、オンラインでの会話に慣れ親しみすぎて、オフラインでのコミュニケーションを一時的に忘却してしまっているのではないか
ということです。
皆さんはどう思われますか?
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ちなみに、これに類することなら、枚挙にいとまがありません。たとえば、プレゼンテーションもまったく同じことが言えます。
最近、あるところで、久しぶりに、対面で行われるプレゼンテーションにフィードバックする機会を得ました。プレゼンテーションの内容は素晴らしいものでしたが、少し気になったのは、プレゼンターの身体的パフォーマンスです。
わたしがとても気になったのは、
身体をあまり動かさず(棒立ちで)、プレゼンをなさる方が多いな
ということです(N=10なので、もちろん、一般化はできません)。
この方々なら、ふだんから、百名規模のオンライン講演や研修などを行っているだろうに、どうして、こんなに身体を動かさないのかな、と訝って拝見させていただいておりました。
こうした事態が、なぜ起こりうるのかを、自分なりに考えてみて、わたしはひとつの事実を想起しました。
それは、このコロナ禍において、
ひとは、みな「数センチの画面」のなかで、さして身体を動かさず、座りながらプレゼンしてきた
ということです。「小さな画面」のなかで「ロクロ」を回すような動作を行うことが、オンラインプレゼンで駆使できる、身体的パフォーマンスでした。
もしかすると、ひとびとは、
1. 生身の人間が出会う、かかわる学び
2. 身体を動かす学び
3. 声を届け合い、応答しあう学び
などなど、ではないか、と思っています。
十分な感染対策と理解を得た上で、そうした「学び」の大切さをもう一度認識し、社会に発信していくような対面の学習機会・・・Learning 【Offline】 Fes!(ラーニング・オフライン・フェス!)を、多くの人々の知恵と協力をいただきながら、何とか実現できないものかと最近思案しております。せんだっての経営学習研究所のミーティングでは、メンバーの皆さんに、こんなご提案をさせていただきました。
こういうと
コロナ禍の最たる時に「学びを止めないこと」を最重視し、一時期、「オンラインでの学び」を実現する運動を、多くのひとびととともに、行っていたのは、おまえ(中原)だろ!
とご指摘をうけるのかもしれません。
しかし、2年前は「子ども・学生の学び」を止めないために、わたしたちがなし得るものは、オンラインをしかありませんでした。オンラインをもちいて学ぶこと、つながること、声をかけることを実現できなければ、様々なかたちでこぼれ落ちてしまう子どもや学生がいました。一時期、オンラインの学びを推進する運動を行ったことに、わたしは、いささかの後悔もありません。
(誤解を避けるために申し上げますが、わたしはオンラインでの学びがNGだといっているわけではありません。何なら毎週、フルオンラインで授業をしている、わたしが、そんなことを言うわけがありません。笑。オンラインでの学びは、オフラインでの学びと、同等くらいの学習効果があると思っています。ただ、わたしが申し上げたいのは、そのバランスと、片方だけの学びが肥大化したときに見失われるものの大きさです。今は、オンラインが全盛だからこそ、オフラインでの学びにおいて得られるものを大切にしたいと思います)
しかし、当初の想定通りコロナ禍が2年たち、また時代が動きつつあります。最近、新たな課題が、学びの現場に押し寄せているような気がします。
あなたの周囲で、「対面でコミュニケーションする技術」「対面で対話する技術」「対面でプレゼンテーションする技術」は失われていませんか?
そして人生はつづく
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【9月17日・入学説明会・参加者募集中!】
ひとづくり・組織づくりの大学院:立教大学大学院 リーダーシップ開発コースでは、 経営学研究科経営学専攻リーダーシップ開発コースで学ぶことを考えている皆さまを対象として、当コースについて理解を深めていただくための説明会を開催します。当日は、コースの特色やカリキュラム、入試制度に加えて、在学生・修了生の声もご紹介できればと考えております。
【リーダーシップ開発コース説明会】
■開催日時:2022年9月17日(土曜)10:30~12:15(10:20開場)
■会場: Zoomウェビナーでの開催を予定
ID等はお申込みいただいた方にメールにてお知らせいたします
■申し込み方法:以下リンク先のフォームよりお申込みください。
https://ldcrikkyo.syd1.qualtrics.com/jfe/form/SV_6hbMFSQAaBMlXFk
申込締切日:9月8日(木)23:59
定員:350名
※定員に達し次第、申込は締め切ります
※事情があり当日ご参加いただけない方のために
内容の一部は後日レポート記事として本ページに掲載予定です
■申込後キャンセル:キャンセルされる場合は、以下フォームからお願いいたします。
https://ldcrikkyo.syd1.qualtrics.com/jfe/form/SV_bDu1y2op33nWFNA
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このたび、このコースを修了した大学院生の皆さん(卒業生ネットワーク:アルムナイネットワークのメーリングリスト:アルムナイネットワークは、卒業生の自主的な活動です)に対して、企業人事の皆様が「採用情報」をお届けいただけるサイトを開設いたしました!。利用上の注意をご高欄いただき、適宜、ぜひ、ご利用くださいませ。無料で情報を送付いただけます。
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授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。今年は9月17日にオンライン説明会、来年1月に願書提出、2月に入試が予定されています。
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ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
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新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
「チームワーキング研修版」リリースされました!
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「チームワーキング」が「アセスメントを絡めた管理職研修」として利用されております。モニター利用各社の人事担当者の皆様、開発担当者の堀尾さんと、座談会をさせていただきました。ぜひご覧くださいませ!
チームワーキング座談会
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書籍「チームワーキング」の方も、おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
https://amzn.to/3esCOrW
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
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研修開発ラボ(2022年度開講)募集中!
【全5回 6日間】第1回:2022年10月18日(火)第2回:2022年11月8日(火)第3回:2022年12月13日(火)第4回:2023年1月30日(月)&1月31日(火)第5回:2023年2月28日(火)
研修開発ラボは、組織や現場のニーズ、経営戦略をふまえ、経営に資する社内研修を構築することを目的としたセミナーです。最新のアカデミックな知見やエビデンス、研修開発に役立つヒントを随所に散りばめたプログラムになっています。
全5回6日間のオンライン研修を通して、継続的なアウトプットと講師陣によるフィードバックを繰り返しながら、研修の企画・設計・実施までの「研修開発プロセス」を実践的に学ぶことが可能です。
設計編では、実際の自社課題・ニーズに基づいて研修プログラムを作成いただきます。中原による公開ゼミナール&講師陣による個別コンサルティングによって、効果的な研修プログラムの開発とアップデートを支援します。
研修開発ラボ
https://jinzai.diamond.ne.jp/lab/
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立教大学経営学部 中原ゼミ、ゲームなどを活用した「内定者フォローワークショップ」を共同開発! ダイヤモンド社・ダイヤモンドヒューマンリソースさまから発売中! 内定者の論理思考力、質問力などの工場、強みの発見、内定者同士の関係構築を、オンライン・オフラインで行えます。スライド、ワークシート、動画など完全完備。企業ごとに内製化してお使いいただけます。
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職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発)
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
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【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
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【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
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新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
『フィードバック入門』スピンアウト企画
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【泣くな!新米管理職!】
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
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Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
「新人研修をアップデートするための5つのコンセプト」に基づいて開発された、中原が監修をつとめる新人研修プログラムです。全4回にわたって実施する「オンライン研修」と「現場での実践&振り返り」を往還することによって、新人期に直面する壁を乗り越え、トランジションを果たせるよう手厚くサポートできるようになっています。経験学習を習慣化するほか、ストレスマネジメント、フィードバック、ジョブクラフティングなどについて学ぶことができます。
Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
OJT指導員向け・短時間&動画で学べる 部下育成スキルの動画もございます。中原が新人育成のポイントについて解説しています!
短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/000HD6260/
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