2022.7.15 07:34/ Jun
自ら「クライアント組織」を見つけ、
自ら「キーマン」と目的を握り、
自ら「人材開発・組織開発」をクライアントに提供し、
自らの成果を「評価」せよ!
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中原ゼミの4年生(3期生)は、今年、人材開発・組織開発のコンサルティングプロジェクトにチャレンジしました。その要諦は冒頭の4行に示したとおりです。
端的にいうと、チームを組んで、それぞれがプチ・コンサルタントになったつもりで、自分のクライアント組織を見つけ、人材開発・組織開発を、その組織に提供する実践を数ヶ月で実践いたしました。
学生から「やってみたい!」という声があがったとき、教員としては「これは学部生には少し難しい(大学院では1年生・秋学期に、そのはちゃめちゃ高度版をやっています)」かなと思い、正直、すこし躊躇しました。実践期間が短かったことも、その一因です。
やってみたいとは言ったものの、「何がはじまるんだろう、何からはじめればいいんだろう」と最初のうちは、彼らも戸惑っていた気もします。
が、何とか、かんとか(課題もたくさんありますが)、すべてのプロジェクトは「着地」できました(着地しかけているものもある・・・)。
4年生、就活と両立させるのは大変だったと思う。お疲れさんでした。クライアント組織の皆様も、御協力をありがとうございました。
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せんだって、このプロジェクトのリフレクションがありました。ひとりずつ数分にわたり、
1.これまで人材開発・組織開発をどのように思っていたのか?
2.この授業を通して、人材開発・組織開発をどのように思っていたのか?
3.これからの仕事人生に、この経験をどのように活かすのか?
を語ってもらいました。とりわけ興味深かったのは、「人材開発・組織開発」を「メタファ」で喩えさせるワークで、彼らがだしてきたイメージです。
「人材開発・組織開発とは・・・・・のようなものである」というセンテンスを完成させ、「その心は?(理由)」を書いてもらいました。その一部が、以下のとおりです(すべてをご紹介はできませんでした&一部わかりやすいように、わたしのほうで加筆・修正しています。ニュアンスは変えていないつもりです)。
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■人材開発・組織開発とは「マリオのラスボスのクリアの仕方」のようなものである
その心は・・・
クライアントに、一発で効く「魔法の杖」はない
地道に地道に、「ジャブ」を打ち続けなければならないと思います
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■人材開発・組織開発とは「イルカの調教師」のようなものである
その心は・・・
調教師はイルカを支援するけれど
結局、動くのはイルカです
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■人材開発・組織開発とは「スポーツ」のようなものである
その心は・・・
コンサルタントは、日々の練習や試合を通して
多種多様なスキルを身につけなければならない
そのうえで、相手によって戦術を変えなければならない
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■人材開発・組織開発とは「天気予報」のようなものである
その心は・・・
現状から仮説をたてることで
人々の行動に選択肢を提示する
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■人材開発・組織開発とは「雲」のようなものである
その心は・・・
組織の状況は常に変わるので、
その都度、現状把握をおこない
先に見通しておくことが大事
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■人材開発・組織開発とは「優れた芸術家」のようなものである
その心は・・・
クライアントに「何かを残すこと」が重要だと思う
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■人材開発・組織開発とは「サーフィン」のようなものである
その心は・・・
波と同じように組織もすぐに変化する
様子をうかがいタイミングを合わせないとならない
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■人材開発・組織開発とは「バイトの助っ人」のようなものである
その心は・・・
外部者(助っ人)として突然現場にはいっても、
組織のルールや雰囲気
関係性を理解し、成果をださなくてはならない
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■人材開発・組織開発とは「内科治療」のようなものである
その心は・・・
組織の負という目には見えない部分の治療を手伝う仕事
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■人材開発・組織開発とは「お豆腐料理」のようなものである
その心は・・・
クライアントに気を遣わないと崩れる
お豆腐にも様々な形がある、組織にも様々なかたちがある
でも、調理ができるとさまざまな味で楽しめる
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■人材開発・組織開発とは「理容師」のようなものである
その心は・・・
お客様の願望を実現しなくてはならない
客のベストコンディションをつくるのが理容師
ーーー
■人材開発・組織開発とは
「UFOキャッチャープレイヤーに遠くからかかわること」のようなものである
その心は・・・
コンサルタントは遠くからかかわるのだけれども
プレイヤーが試行錯誤しないと
相手はおもちゃをゲットできない
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いかがでしょうか。学生の答えは状況のようなものです
ちなみに、皆さんだったら、どのようにお答えになりますか?
人材開発・組織開発とは「 」のようなものである
その心は「 」である(だからである)
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ちなみに、このプロジェクトをやる「前」の、彼らの人材開発・組織開発のイメージは、
・一方向的にコンサルタントが、コンテンツを提供するもの
・コンサルタントが「鮮やかな解決策」をだすもの
・コンサルタントは魔法使いのようなもの
・理論に基づいて考えて実行してしまえば、いけちゃうもの
・パキッと問題解決が終わって、終わりがあるもの
・コンサルタント=すごいひと
だったようです。
おっかしいなぁ・・・そんなこと、一切、教えてないんだけどなぁ。むしろ、コンサルタントは「サーバントリーダー」のようなイメージで教えていたはずなんですが・・・。
しかし、授業はいつも「相手本位」。
相手に伝わっていないなら、悪いのはこっち。
僕の伝え方が悪かったのかな、と反省しておりました。
まぁ、ただね・・・僕は、今回の授業は「人材開発・組織開発」だけを教えたつもりはない。学生はこれから、多くの組織に参入し、かかわり、それらを渡り歩きながら、生きていく。家庭という組織。会社という組織。趣味の組織。親戚という組織。
端的にいえば、
生きていくということは、組織にかかわりつづけることだ。
なぜなら、ひとは、孤独では生きていけない。
だから、組織に関わらざるをえない以上「自分の組織は、自らよくすることができるはずだ」という「マインドセット」を持ってほしい。そして、それはちょっとした人材開発・組織開発の実践を行えば、培われるはずなんだ。
そういう思いで、わたしは、学部版の授業をしていました(大学院では、より高度なプロフェッショナル養成を行います。そこはさらにさらに理論ありーの、分析ありーので、超ハードです。学部は、逆に、小難しいことはやらない。むしろマインドセットに焦点をあてる)。
自分たちの組織は、自ら人材開発・組織開発せよ!
そして、
生きることとは、組織とうまくつきあうことだ!
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4年生はスケジュールの都合上、どうしても、この半期で、このプロジェクトを終える必要がありました。本来ならば、もう少し丁寧にフォローアップや評価を行えるとよかったのですが、それもやむを得ないと思いました。
興味深かったのは、何人かの学生が、今回の実践を通して、
ようやく学んだきた知識が、つながってきた気がする
とコメントしていたことや
ようやく「中原ゼミ生です!」と自信をもって言える気がする、とコメントしていたことです。
やはり知識は、実践してこそ、身になるものなのもしれませんね。いくら教科書・座学で学んでいても、それは「死んでいる知識」。実践してこそ「生きた知識」を学べるのかも知れないな、と思いました。
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彼らはあと半期で卒業です。
大学生最後の大学生活を楽しんでもらいたいです。
よき夏休みを!
そして人生はつづく
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立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース(以下、LDC)では、経営学を基盤にしながら、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進することのできる高度プロフェッショナル人材を育成しています。
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■立教大学大学院・採用情報発信サイト■
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在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
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『フィードバック入門』スピンアウト企画
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