NAKAHARA-LAB.net

2022.6.27 08:15/ Jun

「研修目的わかってるはずだろ前提」や「話を聞いてくれる前提」で研修を進めちゃうと「派手ゴケ」する理由!?

 研修は「目的わかってない前提」「聞いてくれない前提」で行わなければならない!?
   
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 せんだって、慶應丸の内シティキャンパスの僕の授業「ラーニングイノベーション論」にここ10年ほど、お仕事をご一緒させていただいている関根雅泰(ラーンウェル・元東大大学院 中原研究室OB)、鈴木英智佳さん(ラーニング・クリエイト・元花王人事)、島村公俊(講師ビジョン・元ソフトバンク人事)にご登壇いただき、
  
 ・研修転移とは何か?(研修で学んだことを現場に役立てること=研修転移)
 ・研修転移を促進するには何をすればいいのか?
 ・研修評価を行うためには何を行えばいいのか?
  
 について3時間でお話しいただくセッションを持ちました。
  
 ただでさえ少し難解な研修転移と研修評価。
 大学院ならば30コマ(45時間)ほど必要なその内容を、わずか3時間で、エッセンスを抽出していただき、素晴らしいセッションでした。この場を借りて、関根さん、鈴木さん、島村さんには、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
  
  ▼
   
 研修で学んだことを実践にうつす・・・いわゆる「研修転移」を促すために、研修講師側や研修提供側やらなくてはならないことは、それこそたくさんあるのですが、もっとも基本的なことは、
     
 受講生は「話」を聞いてくれて「アタリマエ」だと思わず
 愚直に愚直に、目的を打ち込み  
 地道に地道に、教え方を工夫すること
   
 に尽きるのだと思います。
  
 とかく、わたしたちは、研修を行う側になりますと、
  
「受講生の上司には研修を打ち込んであるから、その受講生も目的わかってるはずだろ」といったような「目的わかってるはずだろ前提」や、「研修なんだから、受講生は、研修講師の話は聞くだろ」といったような「聞いてくれる前提」に立ちたくなります。
       
 しかし、これが、見事にうまくいかない(泣)
   
 そうはいくかのイクラちゃん!(泣) 
    
 なんです。
    
 むしろ、
   
 受講生は「目的はまったく打ち込まれていない更地」である
 受講生は「研修講師の話なんて、聞きたいと思っていない」
        
 といったような「前提」で仕事をするくらいがちょうどいいのではないか、とすら思います(言い過ぎかもしれませんが、それくらいの緊張感でいれば、派手ゴケしない、ということですね・・・ま、これは大学生に授業をするときも、まったく同じことが言えますが。。。)
   
 そのくらい受講生から「目的」は「手放されて」おり、さして「話なんて聞きたくない」と思いながら、受講しているひとも少なくありません。正しくいえば、分散(ちらばり:差ですね)が激しいのです。
    
 かつ、以前どこかのタイミングで申し上げましたが、大の大人に教えるときには「権力」を使ってねじ伏せることは、ほぼ不可能です。権力を用いて「目的」をぐりぐりねじこむ、耳の穴をかっぽじって話を聞かせることは、できません(実は子どもにもできません)。
    
「子どもに教えるのはいいけど、大の大人に教えるのは苦手なんだよな」は、いったい「なぜ」なのか?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/13846
   
 よって、我々がなし得ることは地道なことです。
   
 愚直に愚直に、目的を打ち込み
 教える工夫をしていかなければならない
     
 のだと思います。
  
 結局・・・
  
「目的、わかってるはずだろ前提」「聞いてくれる前提」で研修しない
  
 むしろ
  
「聞いてくれない前提」「目的わすれてる前提」で話をする
  
 くらいがちょうどいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
   
  ▼
  
 今日は研修転移のことからはじまり、大人に教えるときのことをお話ししました。
 今週も暑くなりそうですね。
 どうかご自愛くださいませ!
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
   
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■各ワークショップの概要は、こちたをご覧ください!
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/14251
  

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