NAKAHARA-LAB.net

2022.4.27 08:40/ Jun

人材開発・組織開発のプロフェッショナルに必要な「曖昧さ耐性」とは何か?!

 人材開発・組織開発のプロフェッショナルに必要な「曖昧さ耐性」とは何か?!
     
  ・
  ・
  ・
     
 わたしが勤務する立教大学大学院 経営学研究科では、2020年より、
   
「経営学を基盤としつつ、人材開発・組織開発の実践知を実行できる高度プロフェッショナルを養成すること」
   
 を目的にして、大学院に新コース「リーダーシップ開発コース(LDC)」を、教員・職員・スタッフが一丸となって開設しました。
   
立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コース(LDC)
https://ldc.rikkyo.ac.jp/
   
 爾来2年、おかげさまで、毎年20名程度のコース満員御礼をいただき(入学辞退者も1名もおらず)、大学院も活況を呈しています。
 完成年度になる今年には、はじめての大学院修了生を出すことができました。本当におめでとうございます。修了生の声は(藤井貴志さん、嶋本泰子さん、感謝です!井上さんも記事ありがとうございます!)、下記でも読むことができますので、どうぞご覧ください。
   
修了生インタビュー「自分自身のリーダーシップが常に問われていた2年間でした」https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/2022/0420/
  
修了生インタビュー「大学院での勉強は本当に楽しかったです。純粋に学ぶことを楽しんだ2年間でした」
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/2022/0426/
   
  
  
  ▼
     
 このコースでは「ひとと組織のコンサルティング」に必要な科学知、実践知を、さまざまなチームプロジェクトによって、実践的に学んでいくのですが、そのなかで、学んでいただきたいと思っていることのひとつに
     
 曖昧さ耐性(Tolerance of Ambiguity)
    
 というものがあります。
    
 ここで「曖昧さ耐性」とは
     
「不確実で、見通しがみえないような状況におかれたとしても、その事態の推移そのものに、知的好奇心をもちつつ、耐久できること」
    
 をいいます。「曖昧さ耐性」には「個人的な差」があると言われますが、可能であるならば、様々なチームプロジェクトを通して、高めて行ってほしい、の願っているのです。
      
  ▼
   
 それはなぜでしょうか?
     
 それは「ひとと組織」なんていうものが、そもそもにして「曖昧さ」という粘土を「こねこね」して作られた「代物」のように思うからです。要するに、「曖昧さの塊」が「ひとと組織」。
    
 だって、そうでしょう。
  
・「人と組織」なんというものは「朝令暮改」は日常茶飯事。
  
・なかなか物事は決まらないし、決まったとしても、実行されるかわからない
   
・気持ちも上下が激しく、さっきまで元気だったものが、
 つぎの瞬間にはシオシオノパーになっていることも、よくあること
  
・常に矛盾を抱えて、シャキンとしない
  
  ・
  ・
  ・
  
 そういう移り気で、ゴタゴタしていて、つねに矛盾や葛藤をはらんでいる「極めて曖昧なもの」を、好き好んで「取り扱いたい」と願うのですから、しっかりとした「科学知」を背骨としてもつ一方で、「曖昧さ耐性」を高めて行ってほしい、と願います。少しくらい、不確実な状況に置かれても、毅然とした態度が保たれなければ、仕事になりません。
  
 なぜなら「曖昧さ耐性」が高くなければ「対象にかかわれない」のです。なぜなら対象は「曖昧さの塊」だからです。
 この大学院で学ぶ方には、曖昧耐性を発揮しつつ、対象にかかわりながら、対象とともに「納得解」を探していける「臨床知」を発揮してほしいと願っているのですが・・・いかがでしょうか。
    
 ▼
  
 今日は、ひとと組織のプロフェッショナルに必要な資質についてお話をしました。
   
 人材開発・組織開発に携わるあなたは「曖昧さ耐性」をもっていますか?
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
【本日どうぞご覧くださいませ】NHKクローズアップ現代「あなたの先生は大丈夫?教師の過重労働 その果てに何が」
2022年4月27日(NHK総合・明日19時30分ー)スタジオで、中原も少しだけコメントさせていただきます。わたしはともかく、この問題に多くの人々のご関心が集まりますように!ご高欄くださいませ!
  

NHK クローズアップ現代 Webサイト
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/episode/te/4J2L59JP5N/?fbclid=IwAR1H448tlGJh43zGmFJ1Ft3ElnDz21Gs-9t5CwWetZ2bTq-YY_w2Mr-8CCc
     
 ーーー
    

   
新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」発売中です。AMAZON「企業再生」カテゴリー1位を記録しました(感謝です!)。
  
これまで税務・法律の観点からしか語られなかった「企業合併(M&A)」の問題に対して、ひとと組織(人材開発・組織開発)の観点からアプローチし、シナジーを生み出す可能性を考えます。
  
M&Aという「巻き込まれ事故」に関わってしまった経営企画・人事・現場の管理者・リーダーの皆様にぜひお読み意いただきたい一冊です!
   

購入はこちら!「M&A後の組織・職場づくり入門」
https://amzn.to/3v0P0bE
      
 ーーー
          
【アンコンシャスバイアス研修・内製化ツールキット開発!】武蔵野大学・島田徳子先生、ダイヤモンド社の皆さん(広瀬一輝さん、永田正樹さん)との数年にわたる共同研究と、NPO法人日本ブラインドサッカー協会との連携で、スマホで手軽に受検できる「アンコンシャスバイアス測定テスト」と、内製化研修(プレゼンキット)を開発しました!。この問題は、学術的な背景などは、わたしどもが、テスト結果に基づき動画像(ビデオ)で解説させていただきます。ご利用くださいませ! ご自身の組織にもっともフィットしたアンコンシャスバイアス研修をつくることができます。どうぞご利用くださいませ!
      
  
■アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のWebページはこちら!■
https://jinzai.diamond.ne.jp/ub/unconscious-bias/
     
 ーーー
            
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください! 
      
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
     
 書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
     
    
 
https://amzn.to/3esCOrW
            
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!           
       
 ーーー
    
 職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
   

職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発) 
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
   
  ーーー
       
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
  
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
    
 ーーー
    
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
     

   
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
  
 ーーー
   
【泣くな!新米管理職!】
  
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
  

   
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
  
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
   
 ーーー 
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約37000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.11.9 09:03/ Jun

なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?

2024.10.31 08:30/ Jun

早いうちに社会にDiveせよ!:学生を「学問の入口」に立たせるためにはどうするか?

2024.10.23 18:07/ Jun

【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)

本当の自分の姿は「静止画」ではなく「動画」じゃなきゃわからない!?

2024.10.14 19:54/ Jun

本当の自分の姿は「静止画」ではなく「動画」じゃなきゃわからない!?

2024.9.28 17:02/ Jun

サーベイを用いた組織開発が「対話」につながらない理由とは何か?:忘れ去られた「今、ここ」の共有!?