NAKAHARA-LAB.net

2022.4.13 08:12/ Jun

「形状記憶合金のような組織」における「オンライン研修」の行方はいかに!?

 コロナ禍は「人材開発の手段」を劇的に変えました。対面型研修からオンライン研修に「強制的」にスイッチがなされ、ひとびとも、事務局も、講師も、それに「慣れさせられる環境(別の言葉でいえば、オンライン研修を学習する機会)」が生まれました。
   
 問題は、コロナが少し落ち着いた(?)となんとなくひとびとが感じている「今」です(B.A.2やらXEやらの影響で、本当に落ち着いたとは言えないのですが・・・)。
   
 ここ数日、いろんなひとに(オンライン)でお会いするたびに、
     
「御社の研修、併用(オンライン+対面両方使う)ですか? 対面のみですか? それともオンラインのみですか?」
   
 と質問してみました。あくまでN=10くらいですが、だいたい、下記のような感じか、と思います。
(この数字に、さして意味はありません。あくまで、話のタネ程度です。皆さんの周囲はいかがですか?)
  
■新人研修の場合
 併用:対面のみ:オンラインのみ=3:4:3
  
■管理職研修の場合
 併用:対面のみ:オンラインのみ=2:2:6
  
 新人研修は「コミュニティへの参入」「同期の水平ネットワークの構築」という「別の要素」があるので、どうしても「対面」「併用」が増えていく印象があります。一方、管理職研修の場合には、忙しいこともあり、オンラインがより多くなる傾向があるようにも思えました。
(人材開発の担当者の多くは、無批判に対面に戻りたくないなぁ・・・と言っていました。アゴ・アシ・マクラ・机・印刷の地獄から、ようやく解放されたのに、また元に戻るのは、生産性が悪い、とおっしゃっておりました。アゴ=食事の手配、アシ=交通費精算、マクラ=宿泊手配、机=研修室内の机の移動・並べ替え、印刷=研修資料の印刷ですな・・・
 
 しかし、僕が個人的に驚いたのは、
  
「もっと対面にリバウンドしているだろうな」
  
 と思っていたのです。なんなら「オンライン:対面=1:9」くらいに・・・(笑)。
    
 どうせ、組織は「形状記憶合金」ですから。
 すぐに、元に戻ろう、元に戻ろう、とします。
        
 が、少なくとも僕の周囲に関する限りは、そういうことはありませんでした。むしろ、遠隔地・地方で採用した新人は、オンライン。教室と工場実習をつないで、やりとりをさせたり、かなり対面とオンラインを工夫なさっている様子が見て取れました。これは、管理職研修も同様です。数百人の管理職を集めて、情報伝達するような研修はオンライン。経営課題について話し合うようなものは対面、という風に、かなり使い分けがなされている気がします。
   
 オンラインも、対面も、併用も、所詮は「手段」です。
 目的は「別のところ」にあります。
 結局は、「目的を達成する」ために、どのような「手段」を用いるか。そのつどごとにベストなものを考える、ということに尽きるのかな、と思います。
    
 あなたの組織は「形状記憶合金」化していませんか?
 あなたの組織の研修は「併用:対面:オンライン」の落とし所は、どのあたりになりそうですか?
  
 そして人生はつづく
     
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