2022.3.11 08:13/ Jun
「チームの状態」を表現するための「言葉」を発達させなければならない
・
・
・
ある社会集団は、その社会集団にとって、最も大切なものを「表現する」ための「言葉(ボキャブラリー)」を、長い時間をかけて、とりわけよく発達させる、のだと言われることがあります。
もっともよく知られているのは、「エスキモーによる雪のボキャブラリー」の仮説。
これには諸説あるようで、何が原典か真偽のほどもわかりませんが・・・俗には、
(わたしは専門ではないので、下記はよく聞くね、程度の雑談を紹介しているものとして読んでください)
「エスキモーは雪を表現する言葉を、50以上を持っていた」
とか
「いやいや、エスキモーがもっていたボキャブラリーは100くらいあったのだ」
とか、言われることがあります。
エスキモーにとって、ふだん慣れ親しんでいる「雪」は、極めて重要なものです。長い期間かけて、彼らが、「雪」を語る言葉をとりわけ発達させてきた、というのは、どことなく、そうかもな、と思わせる仮説です。
▼
これに引きつけて、わたしの専門の「ひと・組織」のことを考えますと、もっとも、よく思うのは
日本には「チームの状態」を語りあうボキャブラリーがとても少ない
のではないか、という「妄想」です。振り返ってみれば、わたしは、子供の頃から、妄想少年でした。今となっては、妄想中年ですが。
しかし、僕は思うのです。
日本人がチームの状態を語るときに、よく用いるボキャブラリーは
チームは「一致団結」
チームは「まとまっていた」
チーム「みんなで頑張れ」
くらいしかないのではないでしょうか。
要するに、
米粒ひとつひとつが溶解しあい
ひとつの個体をなしている
いわゆる「餅」のような状態
を「チームの理想状態」として語る言葉しか、日本にはチームを語る言葉がない。それ以外の言葉が、あまり「用いられていない」というのが現状なのではないか、と思うのです。
・
・
・
もし、これが仮に「是」とした場合に、この問題に対して「チームを語る言葉」を増やすべく書いた本が「チームワーキング」という本です。田中聡さんと中原の共著で、一昨年、刊行され、すでに何度か重版を重ねています。ご支持・お読みいただいた皆様に心より御礼を申し上げます。
https://amzn.to/3esCOrW
新刊「チームワーキング」では、
「チーム視点」
「ゴール・ホールディング(Goal Holding)」
「フィードバッキング(Feedbacking)」
「タスクワーキング(Task working)」
「チームワーキング(Team working)」
という新たなボキャブラリーをたくさん紹介しました。こうした言葉をたくさん用いることで、「チームの状態」をより解像度をあげて「見える化」することができるのではないか、という思いがありました。
もし、チームで、こうした新たな言葉を用いて、
「自分のチームの状態を表現することができたとしたら、解像度の高いチームマネジメントが可能になるのではないか」
と思うのです。
わたしどもの著書で紹介した言葉はともかく、ぜひ、この国にも、チームを語る言葉を増やしていきたいものです。だって、言葉こそが現実をつくるのでしょう? あえて社会構成主義を持ち出すまでもなく、
Words create world(言葉こそが、現実世界をつくりだす)
のですから。
▼
今日はチームについて書きました。
日本の職場も、雇用形態、リモート・対面、国籍、ジェンダーなど、多種多様なひとが出会い、混じり、出入りする時代にはいっています。そのようななかで、チームを前に動かし、成果を出すスキルは、より必要になってくるでしょう。
あなたは「自分のチームの状態」を表現するボキャブラリーを、どの程度、もっていますか?
あなたは、チームを語る言葉の「ボキャブラリー貧困」に陥っていませんか?
そして人生はつづく
ーーー
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
https://amzn.to/3esCOrW
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
ーーー
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約36000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)
2024.10.14 19:54/ Jun
2024.9.28 17:02/ Jun