2022.3.10 08:01/ Jun
「サーベイフィードバックの結果を、現場の管理職に返すとですね・・・学校の内申書(通知表)をもらったかのように感じるひとがいるんですよ。数字に囚われて、結果を、0.1でもあげることに血眼になっちゃう」
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仕事柄、多くの組織で、サーベイフィードバック(組織開発)の現場に立ち会ったりすることも多いのですが、最近、よく聞く困った事例が、これです。
ざくっと傾向を申しますと、
1.頭のよいひとが集う組織で
2.数字に細かく
3.ハードワーカーで真面目な管理職のいる職場
でよく起こる事例かと思います。
ま、過剰な一般化はできませんが(笑)。
そうした組織の管理職は、受け取った職場のサーベイフィードバックを、どこか「内申書=自分のマネジメントの数値評価」のように感じます。学校で学期末に内申書を受け取るときのような、あのいやーな感じを想起しつつ、年に一度のサーベイフィードバック結果を受け取るのです。
冷静に考えれば、メンバーが、そのつどの気持ちで答えている場合も多いので、正直、「0.1」とか「0.2」とか数値が変わることなんか「誤差の範囲」です。しかし、真面目で数字に細かいので、そうは思いません。
そして、
「職場のメンバーの声に耳を傾けるのではなく、数字を見つめます」
「職場のメンバーの顔を観察するのではなく、数字に一喜一憂します」
「職場を変えようとするのではなく、数字そのものを直接上げようとする」
のです。
非常に対処の難しい「難治性・管理職が多い組織」では、これが頻発します。
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こうしたことを防止するためには、いくつか方法があります。
時間がないので、下記に3点だけ書きました。
1.誤差があることを周知する
2.メタファの説明をする:「内申書」ではなく「体重計」
3.数字を語らせない、職場を語らせる:数字は「きっかけ」
まず、「1.誤差があることを周知する」はわかりやすいですね。どんな調査にも、どんなサーベイにも「誤差」があります。誤差がどの程度かは、一概にはいえないのですが「0.1」とか「0.2」とかあがった、下がったと一喜一憂することには、さして意味はありません。それは「誤差」です。
むしろ、たとえば、「昔はよかった数字が、ここ数回、毎回低迷し続けている」といったような時系列での比較の方が意味があります。
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2の「メタファの説明をする」は、扱うメタファを変えることです。たとえば「内申書」というメタファではなく「体重計」と言ったりすることも、そのひとつでしょう。
たかが言葉ですが、されど、言葉です。
「ダイエットや健康な生活を維持する」という目的遂行のためには「体重計にたまに乗る」という経験は、非常に重要です。
そして体重は、日々、変動があるものです。朝はかるのと、夜はかるのでは違った数字がでますし、前の日に食べたものでも、変わります。大切なのは数値が云々ではなく、その目的です。「ダイエットや健康な生活を維持すること」が目的であって、数字はそれを行うための「指標」なのです。
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3.わたしがサーベイフィードバックを行うときには、最初に数字をざっと見てもらいます。そのうえで、3つだけ心にひっかかりを感じた数字を選んでもらいます。すべて見ようとしません。あえてフォーカスを絞ります。どうせ、あれも、これも、変えることなんか、どだい無理なのです。
そのうえで、その3つの質問項目を付箋紙に書き付けてもらい、そのあとは、サーベイフィードバック結果表を閉じてもらい、数字には一切触れません。あとは、数字ではなく、職場を語ってもらいます。
数字は、あくまで「考えるきっかけ」です
別の言葉でいえば
数字は「呼び水」
なのです。
もっとも大切なことは、
数字と「お別れ」し
職場そのものを「語ること」であり
職場をよりよくする方法を「決めること」
です。
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今日はサーベイフィードバック結果を「内申書」のように感じてしまう、難治性管理職のたくさんいる「頭のよい組織」について、その対処法を書きました。
これ以外にも、たくさん方法はあると思います。ぜひ、難治性組織を対処している、多くの実践家の方々のあいだで、ノウハウが共有できるといいですね。
そして人生はつづく
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自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
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http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
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