2022.1.26 08:31/ Jun
「うちのメンバーは、会議で、なかなか発言しないんですよね。内気なひとが多いのか、すぐに黙っちゃう。なんでも発言していいんだよ、といっても、僕ばっかり喋ることになっちゃう。どうしたらいいんですかね」
・
・
・
かなり前のことになりますが、こうしたお悩みをお持ちの管理職の方に、こんなご相談を受けたことがあります。ここでは仮にAさんとしておきましょう。Aさんと僕のやりとりは、さらに続きます。
僕「そうなんですねぇ・・・大変ですねぇ」
Aさん「そうなんですよ。先生に一度、見てもらいたいくらいです」
僕「見るとは、外部から参加する、ということですか?」
Aさん「そうです。いつでもいいですよ。どうせ、たいした話はしてないんだし。先生さえよければ、うちの職場のミーティングに参加しませんか?」
・
・
・
当時は、僕も、それなりに時間もあったのでしょう。
「あれよ、あれよ」という具合に話がまとまり、結局、僕は、この方の部門の会議に外部から参加させていただくことになりました。そこで僕が見たものは。。。
結論から申し上げますと、
1. Aさんの部下(メンバー)は、内気でもなんでもなかった
2. Aさんが、メンバーに対して話を振るときの振り方が「ざっくり」しすぎていて、何を話していいか、考えるのに、時間かかった
(例. ちょめちょめさん的には、今のどう?)
(例. ほげほげさんは、どんな感じ?)
3. Aさんのメンバーが自分の意見をまとめているのにかかる時間を、Aさんはどうしても「待てなかった」。誰も何も言わない「間」が怖かったし、いやだった。
4. この「間」をAさんは「忌み嫌った」。そして、その「間」を埋めるべく、自分の意見や考えを述べて「間」を消した。
5. メンバーは自分が考えているあいだに、Aさんが管理職としての自分の意見や考えをすでに述べてしまうことに戸惑っていた。もう答えは、Aさんから出たものと思って、黙っていた。
6. かくして、Aさんからみれば「メンバーは何も言わない」ように見えた。メンバーから見れば「Aさんが間髪入れず、喋っていて、すでに答えはでているので、何も言えなかった」
・
・
・
「問いがざっくり」「待てない性格」「間が怖い」「間を埋める」の先に広がる世界は、たいてい、このようなものです。
そして、このような職場やチームは、日本社会には36万チームくらいあるような気がしています。みなさんの職場やチームはいかがでしょうか? 考えるためには「間」がいります。その「間」に耐えられないで、待てないでいると、自ら「間」を埋めることになる。それが、「リーダー・管理職だけがしゃべっている」の原因だったりすることは、ままあるものです。
あなたのまわりのリーダー・管理職は「間」に耐えられず、自ら、しゃべくり倒していませんか?
そして人生はつづく
ーーー
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
ーーー
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約35000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)
2024.10.14 19:54/ Jun
2024.9.28 17:02/ Jun
2024.9.2 12:20/ Jun