2021.9.6 07:46/ Jun
【事業部人事】はふだん、どのような仕事をしているのか?
【事業部人事】は組織・経営にどのようなインパクトをもたらしているのか?
・
・
・
中原研究室では、ダイヤモンド社との共同研究で【事業部人事の調査】というものをスタートさせています。
すでに調査には多くの方々にご回答いただき(心より感謝いたします!ありがとうございました)。いよいよ分析を開始し始めています(ひとり分析プロジェクトだけど・・・)。
先週末は、すこし時間がとれたので、「外資系企業の事業部人事」と「日本企業の事業部人事」の比較を行っていました。なかなか興味深い結果でしたので、すこし、この場でもご報告させていただきます。
まず、事業部人事の仕事において「とくに、何を重要な仕事だと考えておられるか」その比較をしてみたのが、下記のグラフです。仕事の中身に関しては、全部で23の仕事内容をとっていますが、今回は外資系企業と、非外資系企業において、実践の度合いに差が大きかったものを取り上げます。これらの項目は、結果として、外資系企業>非外資系企業の傾向があります。
グラフを見てわかりますように、外資系企業 / 非外資系企業の事業部人事において、どちらも「事業部の人事戦略づくり」がもっとも重要で、「事業部の中途採用支援」「事業部の管理職支援」「事業部の従業員調査企画」などがそれにつづきます。
要するに、事業部において「ひとをいかに供給し、マネジメントの質をあげるのか」そして「ひとの現状を把握し、ひとにまつわる戦略をいかにたてるか」が重要であるということです。
先ほど申し上げましたが、外資系企業 / 非外資系企業を比較いたしますと、総じて、外資系企業の方が、値が高い傾向があります。
▼
次に、事業部人事の仕事においては、「どのような仕事を実際に行っているか / 実践しているか」の比較をしてみたのが、下記のグラフです。先ほどが「重要度」でしたが、こんどは「実践度」です。
この分析においては、外資系企業 / 非外資系企業の値の差に「統計的有意な差」が認められることがありました(一元配置分散分析:グラフはわかりやすさを考え、度数で表示しています)。
とりわけ「事業部の人事戦略づくり」の差が大きく、非外資系企業においては外資系企業よりも、これに貢献できていないことがわかります。
その他は「事業部の管理職支援」「事業部の360度調査企画」「事業部の従業員調査企画」「本社人事への企画立案」などにも大きな差が認められます。
いずれにしても、外資系企業と非外資系企業の事業部人事の違いは「人事戦略・企画立案への貢献」と「360度・調査などのデータまわりの仕事」にあるようです。
▼
最後に「日本企業」だけに焦点をあて、事業部人事の仕事の「重要度」と「実践度」の違いを比較してみました。要するに「重要だと思っているけれど、実践できていないもの」をあぶり出そうということです。結果は下記の通りです。
青い部分が「重要だと思っている仕事」。オレンジ色が「実践の程度」です。結果、「事業部の人事戦略づくり」「事業部の管理職支援」「事業部の従業員調査企画」などの差が大きく、「重要だとは思っているものの、実践にはいたっていないこと」がわかりました。
▼
今日は、外資系企業 / 非外資系企業という回答者の所属の違いをもとに、事業部人事にスポットライトをあててみました。もちろん、これだけで、過剰な一般化はさけるべきですが、
事業部人事が何をしているかは「ブラックボックス」であることが多い
ものの、その仕事の「違い」がすこし見えてきたような気もします。
事業部では、さまざまな「ひとと組織」の問題が、今日も、明日も、あさってもおこっており、それにあたっておられる事業部人事の方々の奮闘があるにもかかわらず、本社人事に比べて、あまり「学問の光」があたっていません。
少しずつではありますが、ここに「学問の光」をあてていきたいと思っています。
人事制度が機能するかどうかは、ほぼ「現場にかかっている」からです。だから、事業部人事の活性化は、非常に重要な課題であるとわたしは思っています。
▼
なお、今回の研究は、ダイヤモンド社との共同研究です。ダイヤモンド社のご担当者は、蓬田尚志さん、小川敦行さん、永田正樹さん、井上直さん、田村淳一さん、広瀬一輝さんです。心より感謝いたします。
一昨年の夏頃から、わたしたちは数十名の事業部人事をなさっている方にヒアリングをさせていただきました。この場を借りて感謝いたします。今回の調査は、このヒアリングの知見をもとに作成されています。
ご回答をお寄せいただいた皆様にも(ありがとうございました!)、近いうちに報告会などを実施させていただきますし、またコミュニティなどもつくっていきたいと願っております。
そして人生はつづく
ーーー
新刊「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。さらに、新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください!
https://amzn.to/3esCOrW
新リリースしました! 「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/course/training/twk.html
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!
ーーー
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コースでは、経営学を基盤にしながら、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実践できるアカデミックプラクティショナーを養成しています。別名、「ひとづくり・組織づくりの大学院」です。
授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。
リーダーシップ開発コースの入試説明会を2021年9月18日(土曜)午前中に開催させていただきます。来年2月の入試・コースのご説明をさせていただきます!3期生の募集になります!ご興味がおありの方は、ぜひ、お申し込みくださいませ!
【お申し込みはこちら!】2021年9月 リーダーシップ開発コース説明会開催・申込み方法について
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/2021/20210730/
なお、在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
ーーー
新刊「働くみんなの必修講義 転職学」好評発売中です!どうかご高覧くださいませ! ひとが会社を辞めなくなるのはなぜか(それを防止するためにはどうすればいいのか)?、どのような転職活動を行えば、納得のいく転職が可能になるのか、そして、どのように新たな組織に自ら適応するのか。転職にまつわる、これらの「問い」に対して、1万2000人の大調査を通して答えをだしました。パーソル総合研究所、パーソルキャリア、中原の共同研究成果です。ご高覧くださいませ!
ーーー
拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
ーーー
【好評発売中】1on1の失敗・成功ケースをまとめ、映像教材を中原とPHP研究所さんとで開発しました。失敗しない1on1について、具体的なイメージをもって学ぶことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
ーーー
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます!
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q
ーーー
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
拙著「職場学習論」(東京大学出版会)のカバー・装いが10年ぶりに変わりました(内容は変わっていませんのであしからず!)。ひとは、職場でどのようにして学ぶのか、というテーマを考察しています。どうぞご高欄くださいませ!
ーーー
新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
ーーー
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
ーーー
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約34000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun
最新の記事
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)
2024.10.14 19:54/ Jun