2021.7.29 08:09/ Jun
読みつづけるためには「自由に読むこと」である
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本や論文を読むことは、僕の仕事の基盤をつくる行動です。
そんなわたしは、端的にいってしまえば「活字中毒」
自宅のいくつかの部屋には、読まなければならない書籍などが、適当に積んであり、日々、家のなかを動き回る中で、何かの本を手に取っている状態です。
活字をくれー
活字をくれー
活字から離れると禁断症状がでます。もう、立派な中毒患者です。
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しかし、本を読むというのは、とくに「苦痛」であるときもあります。
著者が何をいっているかわからないとき、論旨を見失ってしまったとき、いくら読んでも残りのページが減らないと感じられているときには、とりわけ「苦痛」を感じます。
ひとびとのなかには、こうした経験を積み重ねているうちに、本を読むことから次第に「遠ざかっていくこと」もあるようです。
本を読むことがつまらなくなる。本を読むことが負担になる。そうやって、読書から遠ざかっていくのです。
これに対して、年間数百冊を読む人間から、(ほとんど役に立たない)アドバイスを、ひとつだけさせていただきますと、
本を読み続けるためには「自由に読んだほうがいい」
ということに尽きます。
要するに、
・最初から最後まで、ちゃんと読まなくてはならない
・著者の論理は、すべて追わなければならない
・興味のあるところだけつまみぐいしてはいけない
とは「1ミリも考えず」に、すなわち、読書にまつわる規範を「一切・鬼無視」して、自分の「お好きなよう」に、自由に読むことを重視した方が、結局、長く、楽しく、最後まで読み続けることができるのではないか、と思うのです。
このことは、様々な識者もすでに述べているようです。
せんだって読んでいた本には、米国・プラグマティズム思想の祖のひとりである、ウィリアム・ジェームズの名言がありました。
曰く
「読書のコツは拾い読みにある。賢明になるコツは何を捨てるかを知る術にある」
極東のなんちゃって研究者のわたくしに、言われるのは何だとは思いますが「ジェイムズ、いいこというじゃないの」(笑)。まったくの御意です。
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一方、我が国の文豪・夏目漱石は「草枕」のなかで、こんな台詞を書いています。
「ただ机の上へ、こう開あけて、開いた所をいい加減に読んでるんです」
「初から読まなけりゃならないとすると、しまいまで読まなけりゃならない訳になりましょう」
「筋を読まなけりゃ何を読むんです。筋のほかに何か読むものがありますか」
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そして、たしか漱石だったと思うのですが(これは本当に記憶に自信がない)・・・本が読んでいて途中でいやになったら、「読まないこと」「本を捨てること」を選択することもまた自由なのだ、と述べていた記憶があります。
おそらく15歳頃に僕は、この主張に出会い、ずいぶん、楽になった記憶があります。漱石じゃなかったら、ごめんなさい。エア漱石かもしれません。うん???森鴎外? まぁ、どっちでもいいや。要するに、文豪です。そして、趣旨は、明晰です。
読むことのなかで、読まないことを選ぶこと
読むところと、読まないところを決めること
筋を読んで、全部読まないこと
最初から最後まで、読まないこと
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要するに、
大の大人なのだから「本の読み方」なんか、他人にとやかく言われる筋合いはない。「お好きになさいな」でOKだと思うのです
国語の文章読解のテストやってるわけじゃないんだからね(笑)。
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今日は読書について書きました。
要するに、言いたいことは「規範なんか無視して、お好きになさいな」です。
あなたは、今週、どんな本を読みたいですか?
お好きになさいな。自由に読んで、自由に読むことをやめよう!
そして人生はつづく
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追伸.
12年前に、こんな文章を書いていました。この頃2歳だった、やらかしボーイのTAKUZOも、今年で15、中3です。時がたつのは早いものですね。
わたしの読書法
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/1895
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