NAKAHARA-LAB.net

2021.6.29 07:50/ Jun

岸智子さんに学ぶ、誰でも楽しく描けるグラレコ講座!&中教審で議論が進む「教師の働き方と学び」

 昨夜は、グラフィックレコーダーの岸智子さんにお越しいただき、学部・ゼミ生、大学院生などにワークショップをご提供いただきました。
  
 名付けて「岸智子さんに学ぶグラレコ講座」!
  
 岸さんには、大変素晴らしい学びの場をつくっていただきました。この場を借りて、心より感謝いたします。
  
  ▼
  
 一般に、グラフィックレコーディングとは、
  
1.話しあいや出来事のプロセスを
  
2.グラフィック(絵)を用いて可視化し
  
3.ファシリテータのファシリテーションや
  
4.メンバーの深い理解につなげ(ノートテイキング)
  
5.よりよいリフレクション /話しあいのアウトプットをめざす試み
  
 と理解されています。
  
 そして、ここらあたりからが「ポイント」なのですが、グラフィックなのだから、それを行うひとは、
  
「絵がうまくなきゃ、ダメ」
「絵心がなきゃ、ダメ」
  
 と感じてしまいがちです。
  
 しかし、岸さんは、ここを「ひっくりかえし」ます。
  
 岸さんは、グラフィックレコーディングを「絵心がなくても描ける」として、「まる」と「さんかく」と「しかく」を組み合わせて、誰もが行える手法を提案なさっています。
  
 当日は、こうしたことを参加者一同、体験しながら、実際に「数分のストーリー」をグラレコしてみる、というアクティビティを体験しました。とても楽しいものでした。
  
 かつて「図工2」の不名誉を受けたことのある、小生も、とても楽しめました(笑)。
  
 きっと、今日から、中原ゼミ、中原研界隈では、明るく楽しくグラレコをする方が、増えていくものと思います。岸さんには、この場を借りて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
  
 下記は、当日の中原の資料です。
 たぶん、いらないとは思いますが、岸さんへの感謝を込めて、この場で公開させていただきます。
      
 
    
「岸智子さんに学ぶグラレコ講座」冒頭資料
http://www.nakahara-lab.net/blog/wp-content/uploads/2021/06/kishi_san.pdf
  
「岸智子さんに学ぶグラレコ講座」ラップアップ資料
 http://www.nakahara-lab.net/blog/wp-content/uploads/2021/06/wrapup.pdf
  
 また、岸さんはYoutubeチャンネルなどもお持ちのようです。ぜひ、こちらもご高覧くださいませ!
    

    
こちらは岸さんの連載です。グラレコについて学ぶことができます。
   
連載:グラフィックレコーディングのはじめかた
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2019/PA03350_05
      
岸智子さんのWebサイト
http://waku2kiroku.noor.jp/
   
 描くことは、楽しい!
 そして人生はつづく
   
  ーーー
  
追伸.
 昨日は「中央教育審議会」の部会でした。我らが町支大介先生(帝京大学)をお招きして(引きずり込んで・・・笑)、中原と共同で「教師の働き方・学び」に関する提案、意見を述べさせていただきました。町支さん、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
  
町支大介先生(帝京大学)のWebページ
https://cdai80.wordpress.com/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB/
    
中教審での報告を終えて:町支さんのリフレクション
https://cdai80.wordpress.com/2021/06/29/chukyo2/?fbclid=IwAR2yHoDs00WxSva_HWBRkhSvX9ZJ304DfooQk1cUwH8bKiqorRoUlyvEF4A
  
 下記に、資料がもう公開されていました。ご高覧くださいませ!
  
「変化」を生み出す教職員集団(町支、中原:文部科学省のWebサイトよりダウンロード可能)
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20210625-mxt_kyoikujinzai01-000016379-6.pdf?fbclid=IwAR29kdllOvFWcmZi81_8yCHf2zkTSejTz1KbVthk8xMx-LBimo0hewTBFJM
  
 要旨は下記のとおりです。
  
1.「教員の学び」の革新のためには長時間労働是正など、働き方の改善をはかることが重要 
 ・いまは、学び直すための資源が枯渇している
 ・両利きの学校経営を行うことが極めて重要
  
2.「大人の学び」の原点は「現場における経験と日々の振り返り」
 ・研修は「現場の学び」を動かすためにこそある
 ・必要のない研修は精選するべき
  
3.学習資源をつくりだすため「見直せるものはとことん見直す」
 免許更新制度の廃止
 研修の精選、e-learing化
  
4.教員の学びは、管理職の育成強化・支援とセットで!
 良き管理職あるところに、良き教師あり!
 良き教師あるところに、将来の良き管理者あり!
  
 この資料を、町支さんとあーだこーだ議論していて(深夜まで!、この小生が深夜まで起きていた!)「なんか、この10年間の横浜での取り組みの総まとめみたいな資料になったね」としみじみと話していました。
    
 横浜の先生方、教育委員会の方々、さまざまな調査にお答えいただいた皆さんのためにも、しっかりとお届けできたとしたらうれしいことです。
   
 なお、下記は昨日の部会における「中原のコメント」です
  
========================================
中央教育審議会・特別部会:中原の補足コメント
========================================
    
1.高度化していく子どもの学びのため、人手不足への対応のためにも「職場の見直し」が必須
  
 人手不足時代において「人的資源の確保」には3つしか方策はない
  
 0.ITなどの業務効率化導入(これは生産性を向上する)
 1.採用の増加(新規採用・中途採用数の増加)
 2.離職の防止(働きがいを高めて離職を防止する)
  
  ※1と2に最も影響するのは「職場環境のよさ」
  ※職場こそ「最大の採用メッセージ」
  
いずれにしても人手不足時代においては
  
 ・組織は、もはや「個人を選んでいる」のではない
 ・組織が「個人から選ばれていること」を認識するべき
  
 ゆえに、早急に、労働環境改善を行うべき
  
   ↓(そのためには・・・)
  
教員のウェルビーイング向上!
  
(ウェルビーイングに影響を与える要因)
  
 【高次の影響要因】
 ・仕事のなかで成長を実感できること
 ・エンゲージメント(熱意をもって働けること)
  etc…
  
 【低次の影響要因(衛生要因)】
  ・心理的安全性を確保できる職場風土(職員室風土)
  ・労働時間の適切さ(安心・安全で働けること)
   etc…
  
 ※教員のウェルビーイングは、子どものウェルビーイング
 につながる

  
========================================
  
2.そのためには「教師が日々の、仕事における成長能力向上を実感できることが重要
  
 1.日々の仕事の経験・悩み
 2.振り返り
 3.目標設定
  
※1on1を新たに制度として確立するべきだ、というわけではない
OJTでも、メンタリングでも、これまでの仕組みを活かしてもいい
  
※数年に一度、10年に一度の階層研修は・・・あまり意味がない
 ・日々の変化に対して、スパンが長い
 ・新卒一括採用、長期雇用が前提になっている
 ・中途採用、臨時採用が増えて、出入りが
  激しくなっている今、機能するのが難しい
  
※地に足をつけて、日本のデータに基づき、
日々の能力向上を実感できる方法を作り上げる必要がある
  
========================================
  
3.「管理職・リーダーの育成・支援」が必須である
  
 3−1.管理職・リーダー育成
  3−1−1腰をおちつけて組織を率いる時間がとれているか?
  
  例えば、管理職のキャリア・・・3年間隔の異動で
  変革できるか?・・・変革のための資源が足りない
  例えば、最低5年はかかるのではないだろうか?
  
  1年目:観察
  2年目:変革
  3年目:定着
  4年目:形式知化(育成)
  5年目:手離れ
  
 3−1−2.学び直しの機会が提供されているのか?
  
  管理職にたいして指導主事による学びの提供は
  年齢逆転などもあり厳しい
  大学院活用などもありえる
  リーダーは、組織の中核人材を
  いかに彼・彼女らに学習資源を提供できるかがポイント
  
※人材育成は「屋根瓦」方式
教師の学びと管理職・リーダーの学びは「セット」で考える
  
========================================
  
■「管理職になること」は「生まれ変わり」に近い
  
 ・中長期の時間がかかる
 ・学んだことが実践できるようになる(研修転移には時間がかかる)
  
「組織マネジメントについて知識を学ぶ」と
「組織マネジメントができるようになる」はまったく異なる
  
ワンショットの研修で、管理能力はあがらない!
  
研修で行うのであれば、半期ー1年かけて実践を含む。
学んで実践して、実践して学び、振り返ることを徹底的にやり
きることが必要
  
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■管理職に「誰」をあげるのか?
  
 ・その一歩手前のキャリアで「マネジメント」を実践して
  マネジメントの成果をあげられたひとをあげる
 ・マネジメントできるひとを「あげる」
  
  (これが原則:ただし中長期には下記が重要)
  
 ・管理職が世代継承の連鎖のなかで
  つぎつぎと生まれていく仕組み
  「リーダーシップパイプライン」をつくる
      
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