NAKAHARA-LAB.net

2021.3.1 07:54/ Jun

イノベータたちは「ファッション」をいかに「革新」したのか?:中野香織著「イノベーターで読むアパレル全史」書評

「わたしがファッションに携わる唯一の理由は、Comformity(みんなと同じ)という言葉を撲滅するためよ」
(ヴィヴィアン・ウェストウッド)
   
  ・
  ・
  ・
     
 中野香織著「イノベーターで読む アパレル全史」を読みました。
  

  
 本書は、19世紀から21世紀までのアパレル業界・ファッション業界の歴史を、僕のような門外漢にもわかりやすく読み解いた本です。
  
 本書の特徴は、綴られている歴史が「単なる歴史」ではないことにあります。ファッション業界を革新した「イノベータ―」の観点から、歴史を読み解く、という知的挑戦にチャレンジしています。なかなか興味深い視点です。
  
 歴史をひもとけば、シャネル、ディオール、サンローラン、アルマーニ・・・誰もが知っているブランドは、それぞれに、ある思想や理想をもったイノベータが牽引して誕生しました。
   
 たとえば、ココ・シャネル。
 よく知られているように、シャネルのファッションは、女性が自由に働き、主体的に生きていくことを支援するべく誕生しました。
  
 そこには、女性の経済的自由など、夢のまた夢の時代に、シャネルが見ていた「光景」があるのだと思います。

 着たいものを着ること  
 束縛されないこと。
 自由に身体を動かせること
 主体的に生きること
  
 いわば「着る」とは「思想」なのです
  
  ・
  ・
  ・
  
 本書では、このほか、様々なファッション業界のイノベータたちの思想、歴史、活動がおさめられています。
 三宅一生(小生が敬愛しております)など、日本のアーティストも紹介されておりますので、ぜひ。
  
 夢は見なかった
 毎日を楽しむことが大切
(ポール・スミス)
 
  ・
  ・
  ・  
  
「着る」とは「思想」
 そして人生はつづく
  

  
  ーーー
  
※雑談
 わたくし、書店に出かけて、一番行かない書棚は、経営・教育の書棚です。自分の専門の書棚には、最後に、ちょろんと行く程度。自分の専門からはもっとも遠い書棚から、元気のあるうちに攻めていく、眺めていきます。自分の研究とはもっとも遠い書棚から出かけます。ファッション、演劇、看護、哲学、社会学・・・などが最近のお気に入りでしょうか。新しいものを生み出すヒントは、慣れ親しんだ領域にはないですからね(自分の専門領域の書籍は、読んでいてアタリマエなのです・・・)。

 よく知られているように、経済学者のヨーゼフ・シュンペータは、かつて経済発展の基礎、イノベーションの源泉を「新結合」に求めました。新結合は、慣れ親しんだものと、慣れ親しんでいない領域の結びつきによっても生み出されますね。新結合とは「慣れ親しんだもの」との決別なのかな、と思います。 
  
  ーーー
     
【新刊予約発売中】
新刊「学校がとまった日」の特設サイト完成!&予約販売開始中! 緊急事態宣言・全国一斉休校で「学びを継続できた子どもの特徴」は?学びをとめないために学校にできることは?:書籍の内容が概観できます!どうぞご覧くださいませ!
   

新刊「学校がとまった日」の特設サイト
http://toyokan-publishing.jp/stop/index.html
  
新刊「学校がとまった日」予約販売開始中(AMAZON)

   
  ーーー
     
【好評発売中】1on1の失敗・成功ケースをまとめ、映像教材を中原とPHP研究所さんとで開発しました。失敗しない1on1について、具体的なイメージをもって学ぶことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
   
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
   
  ーーー
  
ラーニングエージェンシーさんと中原研究室の共同研究により開発した「女性の視点で見直す人材育成:トランジションサポートプログラム」のご提供がはじまっています。ライフステージに応じて、役割移行を支援する、きめ細かい研修となっています。共同研究の成果は書籍「女性の視点で見直す人材育成」としても刊行されています。
  
女性の視点で見直す研修 トランジション サポート プログラム
https://www.learningagency.co.jp/service/transition/
 

 
 ーーー
    
。AMAZONの各カテゴリーで1位記録!(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。
長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
また残業学プロジェクトのスピンアウトツールである「OD-ATRAS」についても、ご紹介しています。職場の見える化をすすめ、現場マネジャーが職場で対話を生み出すためのTipsやツールが満載です。ご笑覧ください。
    

対話とフィードバックを促進するサーベイを用いたソリューション「OD-ATLAS」の詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/learning/od-atlas/
   
  ーーー
   
「研修開発ラボ」(ダイヤモンド社)が、フルオンライン化して大幅リニューアルしました。人材開発の「基礎の原理」を学ぶことのできるトレーニングプログラムです。どうぞお越しくださいませ!
    
研修開発ラボ 特別講座「人材育成の原理・原則を学ぶ」
https://jinzai.diamond.ne.jp/seminar/SEMINAR0495/
  
 ーーー
   

     
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

    
 ーーー
  
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
      
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。利用人数20名までは「無料」だそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
    
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
   
 ーーー 
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約31000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.10.31 08:30/ Jun

早いうちに社会にDiveせよ!:学生を「学問の入口」に立たせるためにはどうするか?

2024.10.23 18:07/ Jun

【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)

本当の自分の姿は「静止画」ではなく「動画」じゃなきゃわからない!?

2024.10.14 19:54/ Jun

本当の自分の姿は「静止画」ではなく「動画」じゃなきゃわからない!?

2024.9.28 17:02/ Jun

サーベイを用いた組織開発が「対話」につながらない理由とは何か?:忘れ去られた「今、ここ」の共有!?

2024.9.2 12:20/ Jun

【参加者募集中】研修開発ラボで「研修開発・評価の基礎」をすべて学びませんか?