2021.2.1 08:32/ Jun
学びがとまった「そのとき」 子どもには何が起こるのか?
学びを再びとめないためには、何をすればいいのか?
新刊「学校がとまった日ーウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦」がいよいよ刊行されました。
この本がテーマにしているのは「ウィルスや災害によって、教育の中断(学校の臨時休校)が起こったときに、子どもや親、学校にはいったい何が起こるのか」ということです。いつ、起こってもおかしくない教育中断に備えて、教育現場の方々が作戦会議を行えるように、編まれています。
新刊「学校がとまった日ーウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦」(AMAZON)
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立教大学共同研究「学びを支えるプロジェクト(代表:中原淳教授)」は2020年3月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大と同時に企画され、感染症対策としての「全国一斉休校」渦中の生徒、保護者、教員、NPO法人など、あらゆる当事者の証言とデータ分析による実態把握を行いました。
このたび、研究室の3人の若手研究者たち(田中智輝さん、村松灯さん、高崎美佐さん)らが編集の労をとり、わたしが監修者となることで、本書の刊行に至りました!
2021年2月1日現在・・・緊急事態宣言が続き、いつどの学校で「教育の中断」や「学びの中断」が起こってもおかしくない状態になっています。
そして、こんなご時世だからこそ、多くの方々にお読みいただきたい内容となっております。本書には、教育中断、学びの中断にまつわる、各種のデータ、事実が掲載されています。
ぜひ、多くの教育現場で、これらのデータ・事実を素材にして、対話を深めてみませんか?
いつ、自分の教室で感染拡大がおこりうるかわからない今だからこそ、その前に作戦会議をしてみませんか?
企業で人材開発に携わっている方にもおすすめの内容です。突然会社にこなくていいとなった御社の新入社員たちには、いったい何がおこるのか。そして、彼らは、どんなメンタルに追い込まれていくのか。ぜひ、4月以降の人材開発を構想する上でも、手に取っていただければと思います。
どうぞご笑覧くださいませ。
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本書「学校がとまった日」で提供さしあげているのは、わたしどもの研究チームが、昨年4月以降、新型コロナウイルスの感染拡大がとまらなくなってきた、そのさなかで取得し続けてきたデータです。データは「数字」と「物語」の2つです。
まず「数字」
このたびいくつかの調査を通じて、新型コロナウイルスが感染拡大し、学校が臨時休校した際に、親や子どもには何が起こっていたのかをうかびあがらせています。
まず、教育現場では「教員と子どものつながりが失われました」。学校は生徒に授業だけを提供しているのではなく、健康のリズムをととのえ、生活習慣を維持し、しんどい状態を見守る機能をもっています。これが、まず失われました。
そのことによって、子供には各種の変化が生まれました。メンタルにおいつめられる子ども。体調を崩していく子ども。本書の量的データは、そのことを克明にしるしていきます。
もちろん、ICTの進展状況等々によって、地域によって、また国立・公立・私立によって、その状況は異なりました。本書では、この「格差」を論じています。
もちろん、コロナウィルスは悲劇や葛藤をもたらしましたが、悪いことばかりではありませんでした。子どもたちのなかには、これを契機に新たな物事にチャレンジしたりするひともでてきました。いわゆる「ポスト・トラウマティック・グロウス(心的外傷後成長)」の様子も本書では論じています。
ちなみに、今回の調査では、災害時の「家庭でも養育」などにまつわるジェンダー差も論じています。
まず、家庭によって、子供への養育は、どのように異なっていたのか。そして、その養育を男性が支えていたのか、女性を支えていたのか。今後も、日本では、同様の災害が起こりうると思います。家庭内の性別役割分業を見直すことも、喫緊の課題かと思います。
ぜひ、教育現場の方々には、これらのファクトをとらえ、それぞれの教育現場で、何をなしたいのかに関する作戦会議を行っていただければと感じます。
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つぎに「物語」です。
この物語部分では、緊急一斉休校が、政策決定されてから、現場では、家庭では、何がおこっていたのかを、関係者のヒアリングによって、時系列で立体的に明らかにすることを目的としています。
現場では、多くの教員の方々は、そのとき何を感じていたのか。どのようにリスクが認知されていたのか。そして、現場のコミュニケーションの目詰まりはどこにあったのかを克明に記しています。
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巻末には、一昨年、オンラインで開催された「学びの中断」にまつわる対談の様子も収録されています。認定NPO法人カタリバの今村久美さん、加賀大資さん、東京都立日野台高等学校 佐々木宏先生、N高等学校 片野優さんなどが登壇してくれました。ありがとうございました。
教育中断において、何が現場では起こっていたのか。現役の高校生は、そのなかで何を感じていたのかを論じています。ここで再現されている物語のなかには、様々な葛藤や困惑が含まれます。そして、これらの葛藤や困惑は、今、ちゃんと準備をしていなければ、もう一度、繰り返されることになってしまいます。
本書のストーリーを通じて、多くの教育現場で作戦会議が進むことを願っております。
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新刊「学校がとまった日ーウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦」、いよいよ刊行です。編集の労をとってくださった東洋館出版社の河合麻衣さんに、心より感謝いたします。河合さんには関連書「ポスト・コロナショックの学校で教師が考えておきたいこと」でお世話になり、そのご縁から、今回からも編集をご担当いただくことになりました。グラフが多数入る、本当にややこしい本であったと思います。本当にありがとうございました。
また、調査にご協力くださいましたすべての皆さまにも、この場を借りて、心より感謝いたします。皆様から賜りましたデータを、現場にサーベイフィードバックでき、そのことで、現場の改善につながることがあったとしたら、望外の喜びです。
また手前味噌になりますが、3人の編集者の皆さん、田中智輝さん、村松灯さん、高崎美佐さんも本当にお疲れ様でした。2月以降、ほとんど顔をあわせることがないままに、リモートで各種の定量調査・定性調査に取り組み、書籍を編むという超絶ハードなプロジェクトを、ともに終えることができたことを心よりうれしく思います。
みなさま、本当にありがとうございました。
そして人生はつづく
ぜひご笑覧くださいませ!
学びを再びとめるな!
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