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2020.11.2 07:55/ Jun

日本全国に蔓延中!? 「乗っ取り1on1・武勇伝1on1・沈黙1on1」の3点セット!?

「先生、聞いてくださいよ。うちの上司の1on1は、乗っ取り、武勇伝、沈黙の3点セットなんですよ」
   
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 かなり前のことになりますが、あるところで講演した際、ある方が、講演終了後に声をかけてくれました。
   
 自社で、1on1(上司と部下のあいだで行われる、隔週・月1程度の振り返りミーティング)の施策がはじまったのだけれども、その上司の1on1が「プチ残念だ」というお話でした。
   
 本来、1on1は「部下が、振り返りたいことを、振り返り、その内容を言葉にする時間」のはず。
 しかし、この方の上司の場合、「言葉を発している」のは90%以上が上司なのだそうです。
  
 その様相を端的に申し上げますと、
  
 「乗っ取り1on1」にはじまり(部下の話題は、上司に奪われ)
 「武勇伝1on1」がパンパカパーンと生まれ(上司の過去の成功体験を聞かされ)
 「沈黙1on1」に終う(もう何も言えなくなり、と沈黙が支配する・・・笑)
  
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 まず、最初にはじまるのは「乗っ取り1on1」攻撃。要するに、上司が部下の「話題」を「乗っ取り」、マウンティングをしかけます。
  
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部下「先週は・・・の件があったのですが、この件に関しては・・」
   
上司「おーおーおー、それな、それな。おれはさ・・・・(話題を乗っ取り、以降そのまま10分間、上司がしゃべくりまくる)・・・てことなんだよ」(乗っ取り1on1)
  
部下「は、はい・・・そうですね。それについて、ぼくは・・・」
  
上司「ていうかさ・・・そういうときはさ、こうやらなきゃだめなのよ。おれが、まだ現役だったときはさ・・・・(過去の上司の成功体験が語られる武勇伝1on1がはじまる・・・以降そのまま15分)」
  
部下「了解です・・・・(かくして部下の「沈黙1on1」)」
  
上司「OK?」
  
部下「はい」
  
上司「・・・・あっ、そう。あっ、もう時間の30分だね。今日は、相談してくれてありがとう。じゃ、またね」

   
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 本来、部下が話すべき時間が、上司に奪われ・・「乗っ取り1on1」
 ここぞとばかり「過去の成功体験」が語られる・・・「武勇伝1on1」
 ここまで来ると、もう誰も上司の語りを止められない・・・「沈黙1on1」

 3点セット、以上。
  
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 今日は、日本全国に広がっているかもしれない「残念な1on1」のお話をいたしました。
 こうした1on1を避けるためにも、リーダーや管理職になる方には、しっかりとした部下育成の手法を身につけてもらうことが重要なのだと思いました。
   
 あなたの上司の1on1は「乗っ取り、武勇伝、沈黙1on1」に陥っていませんか?
  
 そして人生はつづく
  
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