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2020.9.28 07:52/ Jun

仕事のパフォーマンスを最大化するために、あなたは、どんな仕事スタイルを「選択」しますか?

仕事のパフォーマンスを最大化するために、あなたは、どんな仕事スタイルを選びますか?
   
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 今年の大学院ゼミでは、「リモートワーク」や「バーチャルチーム」にまつわる英語文献を、ゼミ生みんなで輪読しています。
    
 バーチャルチームとは「相互に依存しながらも地理的に離れた場所で働き、テクノロジーを使って相互に作用する必要がある、ユニークなスキルを持つ人々のグループ」のことをいいます(Lipnack & Stamps, 2000)。
  
 要するに・・・と括ってしまうと怒られるかもしれませんが、バーチャルチームとは「ITツールを使ってリモートで仕事をしている職場」を思い浮かべればよろしいのかと思います。
   
 せんだっては、M2の伊倉さんが、「リモートワークと個人のパーソナリティの関係」を論じた文献(Luse, et al 2013)を報告してくれました(お疲れ様でした&感謝!)。
  
 論文の仮説は、下記の通りです。
  
1)パーソナリティは、バーチャルチームで働くことへの嗜好の変化を説明する。
  
2)認知スタイルは、バーチャルチームで働くことへの嗜好の変化を説明する。
  
 要するに、個人のパーソナリティや認知スタイルによって、バーチャルチームでの仕事の好き嫌いが変わる、ということですね。
   
 たとえば、「開放性」や「外向性」を有する個人は、バーチャルチームでの仕事を好む、などのことが説明されていました。
  
  ▼
  
 実は、この論文で、個人的に興味深いなと思ったことは、実は、この知見ではありません(笑)。
   
 そうではなく・・・
  
 海外では「個人の資質 × リモートワーク」の関係を調べる研究が存在しているけれど、日本では、あまり、こうした「問い」自体に注目が集まることがない、ように思えること
  
 です。これは本論文は直接関係はありません。が、この妄想が、個人的には興味深いなと思っていました。
   
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 といいますのは・・・日本では、バーチャルチームやリモートワークがよいか、どうかは、業種・職種による違いなどは注目されても、「個人の資質」による違いには、あまり注目されない気がします。
(日本のリモートワークの普及率を考えると、それ以前のような気がしますが・・・)
  
 日本では、管見ながら、
  
 わたしは、ほげほげのパーソナリティや、ちょめちょめの認知スタイル・仕事のスタイルをもっているから、リモートワークを選びたい
  
 わたしは、ちょめちょめの個人的資質をもっているので、リモートワークよりは、対面での仕事スタイルを好む
  
 のような議論をあまり見たことがありません(それ以前なのかもしれません)。
  
 ただ・・・この背景には、根深い問題があるようにも感じるのです。
  
 それは、
    
 1)自分という人間の特質を理解したうえで
 2)パフォーマンスを最大化するために
 3)どのような仕事のスタイルを行えばいいのか?
 4)を自分の頭で考えぬく、といった習慣
   
 が、まだ確立していない、のではないか、と妄想しておりました。
   
 逆に、リモートワークなどが常態化している、海外のIT業界では、もしかすると、
  
 パフォーマンスを最大化するために
 自分の仕事スタイルを
 自分で選ぶ
  
 という習慣が確立しかけているのかもしれません。
   
 以上は、いつもの「妄想爆走族」ですが、そんなことをかんがえながら論文購読の時間を楽しく過ごしていました。
   
 考えてみれば、リモートワークとか、バーチャルチームとかは、パフォーマンスをだすための「手段」や「機会」のひとつです。選択権があるならば、自分という人間の特質を理解したうえで、もっともパフォーマンスが高まる仕事のスタイルを選べばいい。
  
 あなたのパフォーマンスを最大化するのだとすれば
 あなたはどのような仕事スタイルを好みますか?
 そもそも、あなたは、どんな人間ですか?
  
 そして人生はつづく
   
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