2020.9.8 08:21/ Jun
「あいつ、地頭(じあたま)がいいね」という言葉ほど、何がいいんだか、さっぱり、わからない言葉はない
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地頭力(じあたまりょく)という言葉があります。
シャバのビジネスパーソンの一部の方々が、よく用いる言葉のひとつです。「仕事にとって大切ななんらかの能力・コンピテンシーらしきもの」を表現しているように、シャバでは用いられている気がします。
しかし・・・経験上、この言葉ほど、ひとによって定義がズレる言葉はありません。つまり、ひとによって、「地頭」というひとつの言葉で、イメージしている能力は異なる。
結局、「地頭」という言葉で、いったい、何を表現しているかを深掘りしない限り、本当の意味するところはわかりません。
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下記は、ちょっと前のことになりますが、ある会合で 「地頭」の定義を書いてもらったときの記録の一部です。
問いはシンプル。
「地頭力って、どんな能力ですか?」
です。
しかし、それに対する答えは、下記のようなものでした。あくまでN=10ですが、その多様性にびっくりしてしまうのではないでしょうか。
【答え】
地頭力=空気を読めるやつに使う言葉
地頭力=問題解決する力
地頭力=学校で学べない人間力
地頭力=俺のやりたいことを、素早くやってくれそうな能力
地頭力=生来の、素で、機転がきくこと
地頭力=情報処理力
地頭力=1を聞いて10を知る力
地頭力=情報を加工して、ぱっと出す力
地頭力=生まれながらにもっている能力
地頭力=管理職のやってほしいことを読んで、手をかけなくても、放置しとけること
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いかがでしょう?(笑)
この会合には他の方もいらっしゃいましたが、たいてい、回答はこの10パターンのどれかに該当する気がいたします。
ちなみに
あなた自身は「地頭力」という言葉で、いったい、どのようなイメージをもってきましたか?
それはN=10のどれに近いですか?
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結局、冒頭申し上げましたように、
「あいつ、地頭(じあたま)がいいね」という言葉ほど、何がいいんだか、わからない言葉はない
のだと、僕は思います(笑)
このことから敷衍するに・・・もし、あなたが
「おっ、中原くん、さすがに地頭いいね」
と褒められたとしても、それは「何を褒められている」んだかわからない(笑)。一歩踏み込んで、聞いてみなきゃ、わからないのです。
もしかすると、
「中原君は、放置しとけて、最高だね!」
と思われているかもしれない、ということですね。
また、こうもいえるでしょう。
もし採用の局面で、「地頭を見る」という課題があったとしたら、そこで何が測定されているかは、わからないことも多い。
もしかすると
地頭のいいやつ=俺のやりたいことを、素早くやってくれる、使い勝手のある便利なやつ
かもしれないんです。
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あなたの周囲で用いられる「地頭力」の用語は、いったい、何を示していますか?
そして人生はつづく
(このように、ひとびとが、どのように言語を用い、どのように、日常生活を組み立てているかに関して、僕は、学生時代から、非常に関心があります。この言語が、このひとにとっては、どのような意味をもち、どのように合理的に用いられているのかをみていくこことによって、さまざまな物事の背後を見ることができます。今から20年くらい前、構築主義、エスノメソドロジー、社会構成主義などの風に、ほんのすこしだけ触れていたことは、無駄ではなかったな、と思います、笑。ややこしいだけのやつかも、しれませんが)
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