2020.8.25 07:44/ Jun
あなたのプレゼンは「そして、そして」病にかかっていませんか?
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Randy Olson(著)、坪子理美 (訳)「なぜ科学はストーリーを必要としているのか」を読みました。
著者は、ハーバード大学で生物学の博士号を取得し、ニューハンプシャー大学でテニュアの教員になったにもかかわらず・・・その地位をあっさり、スコーンと捨て、ハリウッドで学び、現在は、数々の映画脚本などを執筆する方だそうです。ロックンロールな生き方です(笑)、まずはそこに興味を持ちました。
本書は、端的に申し上げれば、
科学者は、自らの発見を聴衆に「お届け」するために「物語(ストーリー)」をつくる力量をもつべきだ
ということになるのだと思います。
そして、
よい物語とは「簡潔」であること、繰り返しの構造をもっていること
を論じている本です。
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一般に、多くの科学者は、客観的かつデータに忠実でなくてはならないと自らに戒めているものです。そこでよかれと思って、さまざまなデータをむき出しのまま羅列し、複雑なものを複雑に描き出してしまいがちです。
もちろん、データに忠実であること、客観的であること自体は、わたしは否定されるべきものではないと思います。むしろ、大変重要な価値なのですが、科学者が自ら得た知見を「聴衆にお届けする」という観点になると、そこに加えてもうひとつの力量が必要になることがあります。
複雑なものを
むき出しのデータのまま
羅列する
のではなく、
構造を与え
簡潔に主張を繰り返すこと
が求められるのです。
簡潔さとは「究極の洗練」である
という本書の主張は、それを端的に物語ります。
本書は、こうした観点から、筆者独自のメソッドであるABTメソッド(And But Therefore : で、しかしながら、したがって法)などを論じ、紹介しています。
ABTメソッドは、僕の言葉でいえば、データや主張を羅列するのではなく、そこに構造をつくること。論理の展開がわかりやすいように「逆接(But)」「Therefore(順接)」のような接続詞によって、主張に起伏をもうけていくことではないか、と思いました。つまりは、データや主張のあいだに「ストーリー(起伏や論理)」をつくりだすのです。
一方、これに対して、聴衆に伝わらない、つまらないプレゼンは「AAA:Andの繰り返し」になります。
つまり、
データA そして データB そして データC そして データD
といった具合に。
「そしてね、そしてね、そしてね」と主張やデータが繰り返されます。
文章に慣れ親しんだ方なら、アタリマエのことですが、文章には構造や起伏が必要です。科学者も、そうしたものを理解しつつ、自らの主張を「お届けすること」が重要である、と筆者は論じているような気がします。
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本書の魅力は、バリバリの科学者でありながらも、ハリウッドに転身した著者の生き様。そして、その著者が、自然体の文体で、科学者にストーリーの効用を解くところかなと思います。
マニュアル本というよりは、ロックンロールな著者の生き様を論じた本。ストーリー本というよりは、科学論(科学コミュニケーション論)としても読めるのかな、と思いました。
あなたの主張は、聴衆に届いていますか?
あなたのプレゼンは「そして、そして」病にかかっていませんか?
そして人生はつづく
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