2020.8.6 08:56/ Jun
今から17年前、僕は、フルブライト奨学生として、米国・マサチューセッツ工科大学に客員研究員として籍をいただいていた。1年弱の、本当に短い間の留学だったけれど、ここで得た刺激は、こののちの僕の研究に大きな影響を与えている。
せんだって、ある理由があって、この当時の書類やら、写真などを整理していた。留学時代にもやはりブログ(日記)などを書いていて、長い時間かけて、当時のことを思い出していた。
写真やらブログやらを長いあいだ、見続けていて、ふと、気付いたことがある。
それは、
当時の僕は、「わらしべ長者」のごとく、他人に「ぜひ逢ったらいいひと」を紹介されて、人との出会いを続けていた
ということだ。
17年後に残された、多くの写真や記録が、それを物語っていた。
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出会いは、すべて自分が「起点」である。
「自分としては、こんな研究をしてみたい」
「自分は、こんなことに興味がある」
まず、すべては、自分のことを説明するところからはじまる。
そうすると、それを聞いてくれていた友人は、たいていの場合、こんな風に「出会い」をつくってくれる。
「OK、Jun、君の研究なら、僕の知り合いに、こんなひとがいるよ。あってみるといい」
「ありがとう」
「あとで、emailするよ」
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学生の街だからなのか、町の気風なのか。
僕にとって、米国ボストン・ケンブリッジは、
「ひとと出会うときの敷居が低い街」
であった。それが事実かどうかわからぬ。僕は、そういう印象をもった、というだけだ。
つまり、かの街で、出会いは「伝染」していた
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面白いもので「出会い」はたいていの場合、連鎖する。
新たに出会ったひとと、ハーバードスクエアやケンダルのカフェ(オーボンパンというカフェがありました。今でもあるかな?)で談笑していて、大抵、こんな風に会話が終息する。
「今日はありがとう。Jun、楽しかったよ。そうだ、君の研究なら、僕の知り合いに、こんなひとがいるよ。今度、あってみるといい」
「ありがとう」
「じゃあね、また」
かくして、僕は幸せなことに、わらしべ長者のように、人脈や己の世界を広げていった。
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もちろん、すべての出会いが、自分にとってジャストミートするわけではない。
なかには「なんで、あのひとは、このひとを僕に紹介したんだろう。全然、お畑違いじゃないかな・・・」という時もあった。
でも、人の出会いに「ジャストミート」を求める方が間違いだ。
出会いは「打算」ではない。
そして
出会いに「ROI(投資対効果)」は求めてはいけない
実際、自分にとって「異質の出会い」があるからこそ、自分のことがわかる側面もあるだろう。
出会いとは、そういう偶然に満ちたものだと思う。
だから、世界は広がる。
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それから17年たって・・・僕は今年45歳になろうとしている。
当時は助教で学生指導はしていなかったが、今では、少なくない数の学生を抱えている。
教員としての僕にできることは、まずは「教えること」であり、学生を「考えさせること」だ。
しかし、それと同等くらいにパワフルなことは、かつての僕が、誰かに手助けされていたように、僕が学生に、社会のひととの「出会い」を提供することだと思う。そういう思いで、さまざまな学生に出会いを提供しようとしつづけてきた。
学生指導をしていると、ひとつの事実に気付く。
それは、
学生には2種類のタイプがいる
ということだ。
ひとつのタイプは、出会いを提供しても、いろいろな理由をつけず、逢おうとしないひとだ。
もうひとつのタイプは、何が起こるかは少し不安だろうけど、エイヤッと自ら出会おうとする学生だ。
もちろん、どちらがいいとか、悪いとか、ではない。
大人なのだから、自分で決めればいい、それだけだ。
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出会いの機会はいくら作れても、それを活かせるか、どうかは自分の心持ち一つだ、と思う。
出会いは、いつだって「偶然」に満ちている。
「ひょんなことから生まれそうな出会い」を、自ら「活かす」ひとになって欲しいな、と僕は思う。
出会いは、ひとを変えることもある。
あなたがたは「まだ、何者でもない」
「何者でもない」からこそ「何にでもなれる」
この出会いが、あなたを変えることも、あるだろう。
そして人生はつづく
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