2020.7.3 07:36/ Jun
「わたしは、卒業論文で、今年のコロナ禍におけるオンライン新人研修が、新人に与えた影響を研究したいんです。で、今年の新人さんたち4人くらいに、ヒアリングしてみたんですよ。
そしたら面白いことに気付きました。
それは、研修の効果を左右するのは、新人研修の出来・不出来が重要じゃないかもしれない、ということです。むしろ、新人のわたしたちのために、4月、人事の方々が、”オンライン研修”という慣れないことにチャレンジしてくれている、という事実や姿が重要かもしれない、ということです。
人事の皆さんが、すごく苦労してオンライン研修に挑戦していること自体が、新人の「会社に受け入れられている感」を高めていくことが言えそうなんですよ」
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昨日、中原ゼミの学部4年生の佐藤都美さんが、1on1のときに、こんなことをおっしゃっていました。
ゼミ生なので手前味噌ではありますが、彼女らしい、素晴らしい目の付け所だなと思いました。
以下、今日は、それについて書いていきましょう。
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まず、伝統的な研修評価研究、研修転移研究では、
研修の出来・不出来(原因) → 研修の成果(組織適応)
と考えます。
しかし、上記で佐藤さんがおっしゃっていたのは、
研修の出来(素晴らしい研修)→ 研修の成果(組織適応)
が必ずしも成立するわけではない、ということです。
むしろ、ここに「人事が私たちのためにチャレンジしてくれている姿」という要因が絡まってくる。そして、たとえ「研修の不出来」であったとしても、「人事が私たちのためにチャレンジしてくれている姿」というものがあれば、それが研修の成果につながるということです。
すなわち、下記がいえるのではないか、ということです。
研修の不出来 × 人事のチャレンジする姿 → 研修の成果(組織適応)
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これ、なかなか面白いと僕は思いました。
彼女には、ぜひ、これを実証して欲しいと思います。
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ちなみに、1on1において、彼女とは、その後、議論を進めました。
そして、ここにもうひとつの要因がありそうなことを考えつきました。
それは「学習者(新人)が研修づくりに協力・参加しているかどうか」という別の要因です。
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つまり、こういうことです。
今年のオンライン研修では、人事の皆さんも、なかなか余裕がなかった。
よって、人事が十分準備をしたんだけれども、それでも当日のオンライン研修には不足があった。そこで、会社によっては、人事が正直にそのことを打ち明け、腹をくくって、新人に「研修づくり」に協力・参加してもらえるように求めた事例もあったようです。
具体的には、研修の一部のデリバーを、新人に任せたり、新人研修のコンテンツをつくってくるように、お願いしたということです。
理論語でいうのであれば、
自分たちの研修コンテンツをつくらせることで、自分で自分を社会化する(能動的社会化)を促した
ということになりますね。その結果、研修コンテンツには、学習者や新人が協力・参加・貢献することが実現した。
そして、この「学習者(新人)が研修づくりに協力・参加しているかどうか」という要因が、研修の成果に与えた影響は少なくないようでした。
つまり
人事が用意した研修はたとえ不足があったことが、かえって、そこに学習者が関与・貢献する余地(スキマ)を与えて、そこによって、会社への参加観が高まったと言うことです。もしこれが「是」ならば、非常に面白い視点です。
先ほどの図式で書いてみますと、
研修の不出来 × 学習者の研修づくりへの参加 → 研修の成果(組織適応)
ということが言えそうな気もします。
人事のみなさま、ハダカン的にはいかがでしょうか?
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もちろん、もし、この仮説的妄想がたとえ「是」だとして、「来年」、これを「あざとく」狙っていっても、おそらく効果は期待できないと思いますよ(爆)。そういうのは「あざとく狙う」ものじゃない。来年ならば、単なる「手抜き」になってしまいます。
でも、一方で、
人事が自ら挑戦してくれている姿
学習者が研修に関与・貢献できるスキマ
というのは、研修づくりによって、重要な要因なのかもしれない、と思いました。
この仮説的妄想は、きっと、佐藤都美さんが、実証してくれることでしょう。
とても楽しみです。
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今日は、研修コンテンツの効果のお話をしました。
作り込まれている研修が、必ずしも、効果が高いわけではない(できるにこしたことはないけれど)。
むしろ、
パッションをもって挑戦する姿が、効果を生む
学習者が参加・貢献できるスキマが、効果を生む
のではないか、というお話でした。
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今年の新人のみなさん・・・
あなたの会社の人事は、緊急事態下のなかで、挑戦しておられましたか?
あなたの会社の新人研修には、あなた自身が参加・貢献できる余地はありましたか?
そして人生はつづく
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