2020.6.30 07:12/ Jun
「先生、大学の大人数講義に関しては、このままオンラインでやって欲しいです」
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このところ、あう学生、あう学生ごとに、僕は、質問をしています。
「君らさ、今、オンラインで授業を受けているよね。今後のことを聞かせてほしいんだけど、オンラインと対面授業、どっちがいい?(笑)」
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この質問に対して、学生によって答えはさまざま。もちろん、N=10くらいなので、一般化はできません。
ただ、わたしの周囲に関する限り、下記のようなことが言えると思います。
・「オンライン授業をすべてやめたい」という学生は、少なくとも、わたしの周囲にはいない。
・オンライン授業にして欲しいのは大人数講義、1限・5限の講義、土曜日の講義と述べる学生が多い
・すべての学生は「やっぱり、みんなと逢いたい」と述べる。対面授業ははやく復活してほしい。
・ゼミとか少人数授業は、対面がいいな、という学生が多い
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これらの意見は、わたしの周囲のN=10くらいの学生なので、一般化はできません。
が、皆さんのお近くの学生はいかがでしょうか?
(この回答は、立教経営の置かれている文脈も重要です。立教経営は、山口学部長のリーダーシップのもと、教職員一丸となって4月9日から授業のフルオンライン化をすすめました。授業の多くがZOOMのリアルタイム授業で提供されています。立教では、ひとりひとりの学生も、ZOOMアカウントをもっています。学生は、自分たちで会議を主催し、グループワークを進めることができます)
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一方、大学の先生方は、どう思っているのでしょうか?
これも、わたしの知人の学内外の、N=5くらいの先生方の意見ですが(笑)、
・大人数講義は、オンラインの方がいい。私語が減るし、質問もたくさんくるようになる。課題のクオリティも高い
・大人数講義のオンライン授業は、対面に戻して欲しくない
・課題の提出率、クオリティが高い
といった意見をお持ちの方も少なくない印象です。
とりわけ、(僕が思っていた以上に)大人数講義をお持ちの先生方に、
「自分の授業を、今後、対面ではなく、オンラインで提供したい」
という希望をお持ちの先生が多かったことが、とても印象的でした。
皆さんの大学ではいかがでしょうか?
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一方、学習効果の側面はどうでしょうか?
昭和女子大学が教員592名を対象に行った調査では、下記のことがわかっています。非常に興味深い調査です。
・58%の教員が「対面授業と違いはないかそれ以上の学習効果があがっている」と考えている
・対面授業より効果が低いと考えている教員は19%である
・一様に効果を感じているのが学生の課題提出率の高さである。「ほぼ全員が課題を提出している」と考えている教員の比率が85%である
オンライン授業3週間調査:リアルタイム双方向型が約6割に。課題提出型から移行
https://univ.swu.ac.jp/topics/2020/06/05/37945/
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上記の調査は教員の意識調査であって、学生の学習効果に関しては、今後、さらなる分析を待たなくてはなりません。
ただ、この調査にあらわれる先生方の感覚は、わたしのハダカンや、わたしの周囲におられる先生方の感覚に近いものがあります。
「最近、学生がよく勉強するようになった」
という先生が多い印象があります。
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このような状況から鑑みながら、今後の大学を「占う」とすると、おそらく今後の大学教育のあり方は、
ブレンディッドラーニング(オンラインとオフラインを混在化させたカリキュラムの実現)
に進むのではないか、という仮説的妄想も広がります。
なにせ、
大学生も、それを望み
教員も、それを望んでおり
学習効果も、同等ないしは下がっていない
のです。
これを妨げる積極的理由が、あまり見当たりません。
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しかし、これは一般論ですが、ネットなどを見ておりますと、昨今の大学には、これに「抗う」ような「意図しない反作用」もでてきているといったようなことも耳にします。
「意図しない」というところが、まことに大学っぽい。「明確にオンライン化やブレンディッドラーニング型に反対する」わけではないのだけれども、なんとなく、「もとに戻しましょうや」という雰囲気が、流れてきている大学が少なくないと聞きます。
この反作用は、これまで行ってきた「オンライン授業を一律に対面型に戻していきましょう」という「逆戻り現象」として、表面化しています。
そこにあるものは、
コロナ禍をきっかけに「大学の学びの革新」を行おうとする「オンライン戦略の欠如」
と
まぁ、対面に戻れるんだから、ここはみんな平等に戻りましょうよという「悪しき平等主義」
と
カリキュラムをいじるのは面倒くさいという「怠慢」
の3つが混ざり合った「負の交互作用」です。
この3つが「とぐろを巻きながら」、
戦略考えるの、面倒くさいっすよ。もとの大学に戻しましょうよー
あなただけオンラインでやるのは、抜け駆けっすよー
おててつないで、あの教室に戻りましょうよ
作業かったるいっすよ、対面で、またやりましょうよー
という雰囲気を醸し出し、それらがそこらじゅうに、日本全国に忖度を生み出していると耳にします。それはさしずめ「元にもどしましょうオバケ」のようです。やんや、やんや、と夜な夜な生まれて、「元に戻しましょう」を連呼している。別名「何事もなかったかのようにしましょうオバケ」ともいう。
(元ネタ、わかるかな?古い!たぶん、今の学生はわがんねー。わかんないひとは、もったいないオバケってググッてごらん。全然似てないから、笑)
あなたの大学は、いかがですか?
「元に戻しましょうオバケ」が生まれていませんか?
(ちなみに、これはテレワークやリモートワークでも同じですよね? あなたの会社には、元に戻しましょうオバケが生まれていませんか?笑)
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僕個人の意見としては、今後のさまざまなサーベイ、学習効果の分析、学習者・教授者のニーズをとらえたうえで、ここは「戦略性」を発揮し、「コロナ禍」を徹底的に「大学教育の革新へつなげるべきだ」と考えています。
もちろん、そのとき一番大切になってくるのは「学生本位(学習者本位)」という考え方でしょう。
学生のなかには、様々な支援を必要とするひともいるでしょう。その部分は、大学がしっかりカバーをしていって、彼らがもっとも学びやすい環境、確かな学習を確保できる環境をつくりだしていくことが、もっとも重要なことと思います。
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大学は、今後、どうなっていくのでしょうか。
そして、もし仮に、大学が「オンライン化」「ブレンディッドラーニング型」に変わりゆくとき、企業の人材開発や組織開発は、いかに変化をとげるのでしょうか。
いずれにしても、大切なのは「いま」です。
ここで「逆戻り」するのか?
ここで「変わる」のか?
個人的には、今回の「コロナ禍」をきっかけに「オンライン戦略」をたてて、学生本位の学習環境をつくりだしたところが、今後の躍進の切符を手にするのではないか、と思います。
そして人生はつづく
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