2020.6.4 08:13/ Jun
リモートワークは「組織記憶」と「組織学習」の危機かもしれない!?
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経営学には「組織記憶」と「組織学習」という概念があります。
ここで「組織記憶」とは、「組織のメンバーが何らかの知識を獲得し、それらが共有され、記憶されたもの」と定義します。
このように組織メンバーが、「組織記憶」をつくりあげていく過程で起こるのが「組織学習」です。「組織学習」とは「組織メンバーで生まれた知識などが、組織メンバーに共有され、組織の決まり事になり、活用されていくプロセス」のことをいいます。組織学習の結果、生まれるもののひとつが「組織記憶」です。
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たとえば、今、10人で構成される職場のうちの「Aさん」が、何かの「仕事のやり方」を学んだ、とします。
Aさんが、Bさんにそのことを、それとなくお話し、「それ、いいね」ということになり、「Aさんのやり方」が「Bさん」に伝播します。Aさんと、Bさんが最近、活躍している様子を見て、残りのメンバーの多くも「それ、いいね」ということになります。
かくして、ひとりのメンバーに学ばれた知識は、次第に共有され、「組織のなか」に「記憶されていきます」。
これが、いわゆる「組織記憶」というものです。こうして組織記憶をつくりあげていく過程でおこるのが「組織学習」ということになります。
ところで、こういう組織メンバーの「学習」や「記憶」は、いったい、どこで為されるのでしょうか。
「会議での報告」とか「ミーティングのとき」ということもありましょう。そうした形式的な場でも、もちろん、組織の学習は起こります。
しかし、もっとも多いのは「それ、いいね」といった発話がなされるような、ふだんの「何気ない会話」や「観察」ではないかと思うのです。
Bさんが、Aさんの仕事の様子を見ていて、「おおっ」と思う。で、気心のしれた「Aさん」に聞いてみる。すると「Aさん」が「教えてくれる」
かくして、Aさんの個人の知識が、職場・チームに伝播する可能性が開かれます。
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しかし・・・もうおわかりですね。
リモートワークというのは「合目的的なコミュニケーション」が主体になります。
何時何分に、なったら、会議開始の「URL」をクリックして、会議がはじまり、アジェンダに基づいてやりとりがなされ、会議が追われた「退出」ボタンを押すだけです。
そこには「それ、いいね」的な「合目的的ではないコミュニケーション」が入り込む隙はありません。リモートワークを行えば、たしかに生産性はあがるけれど、仕事のコミュニケーションも、仕事外のコミュニケーションも減る可能性があることは、多くの調査が示しています。
そもそも、リモートワークでは、相互の仕事の様子というものを「観察」するということもできません。
リモートワークでは、お互いに遠隔地で仕事をするため「相互の仕事のプロセス」が見えません。そもそも「Bさん」が「Aさん」の仕事の様子を、チラ見して、「おおっ」と思うタイミングすらないのです。つまり、リモートワークでは「観察学習」が生まれないのです。
ということは・・・リモートワークは組織メンバー間の学習である「組織学習」があまり起きなくなる可能性があります。
結果として、組織記憶といったものも、持ちにくい。
中長期には、おそらく、組織の業績やパフォーマンスに陰りも見えてくる可能性がある。
何もしなければ・・・ですが。
もちろん、これらは実証を経ていないので「仮説的妄想」に過ぎませんが、おそらく、そうなるのではないか、と僕は思っています。
逆にいうと、相当「意図的」に組織のメンバー間で情報共有を行ったり、それらを交換し合う場を持たないと、次第に、組織メンバー間の知識レベルの差は拡大していくのではないか、と推察します。
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加えて、組織記憶の観点でいえば、
リモートワークでは、組織メンバー間の「認識の一致度」も、次第に薄まる可能性があります。
「組織メンバーが、仕事などに関する様々な情報を、頭の中でどのように整理し、どのように関係づけられているか、それらが組織メンバー間でどの程度一致しているかどうか」を示す言葉に「シェアードメンタルモデル(Shared Mental Model)」という概念があります。
経営学(チーム研究)では、組織メンバー間で、シェアードメンタルモデルの一致の程度が高ければ高いほど、組織は高い業績をだすことがよく知られています。
それでは、こうした「メンタルモデル」は何をきっかけとして「Shared(共有)」されるのでしょうか。
もちろん「会議での報告」とか「ミーティングのとき」ということもありましょう。しかし、より多いのは、職場における非言語コミュニケーション、非目的志向的なコミュニケーション、インフォーマルなやりとりの場や観察を通してではないでしょうか。
たとえば、組織が掲げる方向性、戦略、ビジョン。
そして、戦略やビジョンに、組織の仕事がどのように結びついているのか、という関係性。
こうしたものが組織メンバーのなかで、しっかり「一致していること」は重要なのですが、この「シェアードメンタルモデル」の維持も課題になりうるということだと思います。
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今日はリモートワークのもつネガティブな側面、リスクについて、敢えて、書きました。
物事には必ず、ポジの側面も、ネガの側面もございます。
今、ネガの側面やリスクについて妄想することができたので、課題は、これを乗り越える方法ややり方を考えればいいだけの話です。
ちなみに、僕自身は「リモートワーク」が「好き」です。
そして、中長期にみれば、リモートワークは、ニッポンの会社の「生産性」を高めるだろうと僕は思っています。
どうか誤解なされませんように(笑)。
リモートワークを「攻撃」する意図は、僕には1ミリもありません(笑)。
どうか、今日の僕のブログの文章を
「ITに疎く、家庭にもあまり居場所がなく、だからこそリモートワークを拒否していて、やっぱ仕事はオフィスで、顔と顔を合わさなきゃな、とうそぶいているオッサン」を擁護する理論
として「読まないでいただきたい」と思います。
また、今日を境に、そういうオジサマたちが、「それ見たことか」と、急に「組織記憶」とか「組織学習」とか「シェアードリメンタルモデル」とかいう言葉を使って「オフィスワーク」を強要してきたり、「リモートワーク」を攻撃しだしたら、「プププ」とひそかに微笑みながら、
著者は、リモートワーク好きだそうですよ(笑)
リモートワークのリスクを正しく知って、乗り越えればいいだけの話だ、と書いてありました
と言ってあげてください。
くどいようですが、
リモートワークのリスクを正しくして、正しく対処すればいいだけ
です。
あなたの会社では、最近、メンバー間での「組織記憶」が薄まっていませんか?
あなたの会社のメンバーは、認識を一致させ、「同じ船」にのって仕事ができていますか?
そして人生はつづく
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