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2020.3.26 08:27/ Jun

オンライン授業を楽しくするための「たったひとつの工夫」!? : アクティブティーチングのすすめ!?

 コロナウィルス禍で、大学のなかには、4月からの授業を「オンライン」に切り替える、という選択をとりはじめているところもございます。
 「オフラインでなければ伝わらないもの」「対面授業でなければできない教育内容」はあることは十分認めたうえで、僕個人としては、これは「やむをえない措置」だと思います。
  
 コロナウィルス禍の終息は、思っていたよりも長く時間がかかるでしょう。
 そのあいだ、大学における「学び」をピタリと、とめるわけにはいきません。
  
 学習者の「学びたい」という気持ちがあるなら、どんな手段をとっても、それに応えていくことが教育機関にとって、「理念的」に大切なことだと思います。可能な限り「学生の学び」に応える。教育機関として「学びをとめない」。この理念を守り抜くことは、大切なことなのではないか、と思います。
   
 一方、下世話な話をすれば、コロナウィルス禍という圧倒的危機を前に「授業継続ができるかどうか」「学びを継続できたかどうか」は、来年度の学生募集、来年度の入試のあり方にも、一定の影響を与えるのではないか、と思います。つまり、先ほど、わたしは「理念的」と述べましたが、これは「経営的」にも、これは重要なことのように思います。
  
 コロナウィルス禍への組織対応は、その組織がもつ危機管理能力、組織メンバーの危機察知能力、事業継続計画(Business Continuity Planing)の構築能力、さらには、ITやオンラインなど、新たな物事に対するチャレンジ精神を「これでもか」というほど、白日のもとに晒します。
   
 あのー、授業料、払ったよね
 で、「まったく授業がない」って、どういうこと?
   
 えっ、その「体制」がない?
 ていうか、それ、つくんの、あんたの仕事だよね? 
     
 あのー
 ここって「学べる教育機関」なんですか?
 それとも「学びをとめる教育機関」なんですか?
   
 長期化して、授業停止期間が長引けば長引くほど、こういう声が聞こえてくることになるのだと思います。すなわち「選択肢」はあるようでいて、あまりないのです(泣)すくなくとも中長期の視野にたてば、あまりない。
    
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 さて・・・とはいえ・・・いまや、現場は「大混乱」(号泣)。
  
「オンラインで授業をせい」と突然言われても、そんなこと、やったこともなければ、できる自信もさしてない(号泣)。かくして、ひーこらひーこらと授業準備を進める一方で、試行錯誤が今日も続きます。
  
 僕自身も、授業をオンラインだけで行ったことはありません。
 だから「試行錯誤」。猛烈に効率わるし。今日も、オンライン授業のリハーサルがこれからあります。
 しかし、試行錯誤しながらも、教員の皆さん、スタッフの皆さんとコラボして、毎日、自分なりにノウハウをためて、何とかかんとか、前に進んでいる。
  
 すなわち
   
 オンライン授業、日々、是、経験学習
  
 僕自身も、今、そういう状況にあります。
   
 しかしながら「オンライン授業の日々、是、経験学習」のなかで、自分なりにだんだんとわかってきたこともあります。このブログでは、こうしたネタ?実践知も、これから紹介させていただこうと思います。
  
  ▼
  
 さて、今日のお題。
 まずは問題です。
  
 ZOOMなどのメディアを用いて、遠隔で授業・研修・セミナーなどを行ったことのある方なら、誰もが経験する「残念な事態」といったら、いったいぜんたい、何でしょうか?
   
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 それは「学習者の無反応」と「圧倒的な孤独」です。
  
 一生懸命話していても、学習者の顔がみな、無表情に「見える」
 本当に聞こえているんだか、いないんだか、全然わからない。 
  
 もしかしたら、自分の話は聞こえていないんじゃないか、と急に不安になる。
  
 次第に「圧倒的な孤独」を感じてくる。
 誰も聞いていない環境で、自分1人がマイクの前で話しているような感覚に陥る。
 いいや、もうヤケクソ。
 このまま、1時間、話たれ。
 気づけば、自分自身が疲弊して、白目を向いてる。
  
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 ZOOMなどで授業を行えば、多くの講師の方々は、かくして「学習者の無反応」と「圧倒的な孤独」を感じることになるのです。そして「白目」をむく。おそらく類似の経験を、お持ちの方も、少なくないでしょう。
  
 しかし、正確にいうと「遠隔にいる学習者が、まったく無反応」であるわけではありません。
 学習者は、実際は、授業者の話に「目を動かしたり」「細かくうなずいて」いたりしているのです。
  
 しかし「反応」はしているのだけれども、オンラインではそれが「見えにくい」のですね。
 カメラと視線があうことは「希」ですし、細かいうなずきや視線の動きまでは、解像度の低い動画ではつたわりにくいものです。
  
 というわけで、講師からは、いつものように学習者が「見えない」
  
 学習者の反応が感じられない
 だから不安になる
 不安になるから、「聴いてますか?」と連呼する
 連呼しても、確認する手段がないので、さらに不安になる
 不安が孤独に転じる
 ヤケクソになって、マイクにむかって、ひとり孤独にしゃべくりまくる
 しだいに疲弊して、白目をむきはじめる。
 いつのまにか、ZOOMを恨みはじめる
  
  ・
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 かくしてこうした事態が生まれます。
  
 逆に、ZOOMで授業をしていると、「ふだん、わたしたちが授業をしているときに、いかに高度な推論を行っているか」がわかります。
  
 まず、わたしたちは、対面状況下で授業をしているとき、学習者をつねに「観察」しています。その観察を通して、学習者から「手がかり(Clue)」を自然と得ているのです。
 おのずとはいってくる、手がかりを得ることを通して、相手がどんな状況にあるのか、聴いているのかきいていないのか、わかっているのかいないのかを、常に「推論」しながら授業をしているのです。ZOOMでの授業は、こうした「手がかり」を感じ取れなくしてしまうのですね。
  
 あべし
  
 ▼
  
 しかし、だとすれば、こうした環境下でやむをえず授業をしなければならないのだとしたら、ここはパラダイムを転換しなくてはなりません。パラダイム転換? わかりにくいですね。要するに、「ちゃぶ台がえし」ということでしょうか?
  

   
 その「パラダイム転換」とは・・・
  
 これまでのように「学習者の反応」という「手がかり」を、講師が「受動的」に受けて、授業をする
  
 のではなく、
  
 講師自らが「手がかり」を積極的にと取りに行き、自ら「学習者の反応」をつくりだして、授業をすること
  
 です。
  
 つまり、教師は「アクティブティーチング(Active Teaching)」をしなくてはなりません。
 学習者の反応をつくりだし、学習者の手がかりをとりにいき、授業をすることが重要なのです。僕は、これを「アクティブティーチング」と呼びました。ていうか、さっき、コーヒーを飲みながら、思いつきました。
  
 ダバダー。
   
 
  
 いや、吐いてないけど。
    
 ていうか、数年前、前職時代に「インタラクティブティーチング」という概念を思いついた。これは「インタラクティブ・ラーニング」と「アクティブラーニング」という概念があったので、そこに「ティーチング」を掛け合わせるとおもしろいかな、と思った。で、前者にひっかけて「インタラクティブティーチング」になった。今度は「後者」・・・で、「アクティブティーチング」。安易すぎる(爆笑)
  
 ▼
  
 さて、それでは、具体的に
  
 講師自らが「手がかり」を積極的にと取りに行き、自ら「学習者の反応」をつくりだして、授業をすること
  
 とは、いったいぜんたい、どういうことでしょうか。
  
 とても簡単なことです。
 目安5分から10分に1度は、「学生の反応」を自ら求めるのです。
  
 方法は、「学生のビデオ映像から手がかりを得る方法」と「投票機能・マイクを使う方法」の2つがあります。たとえば、こんなことです。たいしたことではありません。ほんとうにたいしたことじゃないんです。
    
【1.学生のビデオ映像から手がかりを得る方法】
  
・「はーい、聞こえてるよってひとは、ビデオのまえで拍手をしよう」
  
・「はーい、ここまでで、わかったよ、自信があるよってひと、OKマークだしてみて」
  
・「はーい、じゃあ、この問題に対して、1だとおもうひとは、グーをだそう。2だとおもうひとはチョキね。3だとおもうひとは、はいパーよ」
  
 ーーー
  
【2.投票機能を使う方法(要するにレスポンスアナライザ)】
  
・「はーい、じゃあ、今から投票機能を使うからね。選択肢は5つあります。これだって思うものを1つ選んでね。はい、じゃあ、選んでください。30秒後に集計します」
  
 ーーー
   
【3.マイクを使う方法(要するに発問)】
・「はい、ミュートしてるマイクを、今からひとりだけ復活させます。じゃあ、中原君、あなたのマイクは、今からミュート解除されました。じゃあ、この問題に対して、どう思うか、意見を聞かせて」
  
 ・
 ・  
 ・
 
 なんだ、そんなことかいな、と思われる方もいるかもしれませんが、これを5分ー10分程度に入れていくだけで、あら不思議、オンライン授業で感じていた重苦しい感じは、かなり解消されます。孤独感もなくなるので、ぜひ試していただければと思います。とくに1は、いつでも、だれでもできるのです。きもち、これを、いつもの授業よりも高頻度で行った方がいいです。
  
 やり方は簡単です。
    
 学生にビデオの前で行動することを求めるだけ
  
 ですので・・・
  
 もちろん、こうした工夫は、いくらでもあるんじゃないかと思います。たぶん、このブログを読みながら、「思いついちゃった」ひともいらっしゃるでしょう。
  
 100年に1度の未曾有の困難をまえに、皆さんで、こうした実践知を共有していければいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  
  ▼
  
 今日は、オンライン授業をよくするための「ちょっとした工夫」についてお話をしました。
 実は、もうひとつだけ、劇的にオンライン授業をよくする方法がありますが・・・それを最後にお話ししましょう。
  
 それは
  
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 講師自身が「オンライン授業」を「楽しむ」ことです。
  
 講師が「下」を向かない。
 講師が「不安」をださない。
 講師が「諦めない」
 どんなに失敗しても、めげない。
 そして
 講師が「言い訳しない」
  
 失敗するかどうか、不安に思っていては、その不安は、学習者に伝わる。
 だから、こんなときは、人一倍明るく、楽しく、授業をする。
  
 「オンライン授業」という無茶ブリ(無理難題)を前にひるまない。
 楽しみながら、学習者に反応をもとめ、
 ともに無理難題を乗り越えようというマインドさえあれば、それは学習者に伝わる
  
 わたしはそう信じています。
 自戒を込めて、わたしは4月から、かくありたい、と願っています。
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
追伸.
  
4年生の皆さん、卒業おめでとうございます!昨日は、2年生向けリーダーシッププログラムの学生アシスタントの皆さんが、研究室に僕を呼びに来てくれました。ぼくが立教に移籍して、はじめて一緒に働いたSA、CAの皆さんです。一緒に写真をとりました。本当におめでとう!昨日お会いできなかった4年生の皆さんも、本当におめでとう! 皆さんの門出を心より祝福いたします。
  

  
さいごに、社会に出られる皆さんに、僕は、3つことをお伝えします。
  
ひとつ・・・「仕事を楽しむ工夫」をしてください。
社会には、楽しい仕事はなかなかないです。
が、楽しもうというマインドがあれば仕事は楽しくもなります。
仕事を楽しくする工夫を、常に発想しましょう。
  
ふたつめ・・・「ときには、贅沢をしてください」。
仕事に疲れたり、一仕事成し遂げたりしたときには、
心の底から、自分を褒めてあげてください。
自分を褒めることも、自分に贅沢をさせてあげることも、仕事のうちです。
モティベーションを自ら管理することも仕事のうちです。
そんなときは、
いつもより、おいしいものを、気の置けない仲間と食べに行きましょう。
ときには、そうした贅沢な時間をお過ごしください。
  
みっつめ・・・「いつでも大学に遊びに来てください」
初心を思い出したくなったら、
大学に遊びに来てください
いつか、また再会できる日を楽しみにしています!
  
教室を出たら、事を為すのみ!
社会は、大学よりも、ずっとずっと、楽しいところです。
   
心ゆくまで暴れよ!

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新刊「サーベイフィードバック入門ーデータと対話で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」が好評発売中です。AMAZON人事・マネジメントカテゴリー1位を記録しました。組織調査を用いながら、いかに組織を改善・変革していくのかを論じた本です。従業員調査、HRテック、エンゲージメント調査、教学IRなど、組織調査にかかわる多くの人事担当者、現場の管理職の皆様にお読みいただきたい一冊です!
  

  
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