2020.3.5 07:34/ Jun
心のなかにある「境界」ほど厄介なものはない
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ひとは、ひとたび「集団」ができてしまうと、「自分が所属している集団」を「特別視」し、「外の集団」よりも、「自分の所属している集団」を好意的に考えてしまいます。これは、伝統的には、内集団ひいき (ingroup favoritism:内集団バイアス)とよばれる現象です。
集団の分け方は、どんなに「恣意的」でもいい。
極端な話、階段の踊り場から、名刺をバーンとぶちまけて、飛んだ距離によって決めたっていい。
今、「ある集団に属するメンバー」を2つにわけて「ぶたさんグループ」「きりんさんグループ」という下位集団をつくる。そうすると、あら、まぁ不思議。さっきまでひとつだった集団は、あっという間に別れていく。
「ぶたさんグループのわたし」と「きりんさんグループのわたし」という風に、それぞれのメンバーには「異なった」アイデンティティが形成され、ふたつの集団のあいだには「境界」が生まれる。
ぶたさんも、きりんさんも、たいした変わらないはずなのに、ぶたさんはぶたさんを愛する。きりん、きりんさんを愛する。そして、相手よりも、自分たちを好意的に考える。場合によっては、相手を憎んでいく。
この、あまりに人間的で、ドロドロな研究領域の歴史はながく、先行研究を並べると、富士山3個分、東京ドーム2杯分くらいの研究があると思います(意味不明・・・そんなないか・・・でも、たくさんあるので、ぐぐって読んでみてください)。みんな、お外に出られず、時間がありますよね。
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内集団びいきの現象において、僕が、もっとも興味深いと思っていることは、集団をわける境界は、実は、どこに「実体」もない、ということです。
さぁ、境界くん、でてきてくれたまえ!!
と声を荒らげても、境界君はでてきません。
つまり、境界に「実体」はない。
じゃあ、どこに境界が存在しているのでしょうか?
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そうですね
内集団びいきの境界は、ひとびとの「心のなか」にある
ということになります。
内集団びいきの境界を、ひとびとは、心のなかにつくりあげ、勝手に強化し、恣意的に「わたし」と「あなた」をわけているのです。
そして、
「心のなか」にある境界ほど、厄介なものはありません
それを減じるためには、心のなかに境界をもっている「本人」が、自ら納得をしたり、気づいたり、その境界を書き換えるほかはないのです。
心のなかを「メス」でかっさばいて、トップナイフ(脳外科医)が手術をするわけにはいかない
のです(天海祐希さん、かっこいいですね。毎週土曜日が楽しみです)
僕はよく学生に、このようなことをいうことがあります
心のなかに存在する境界ほど、「厄介な問題」はない
できれば、自らがバイアスをただちに持ってしまう傾向があることを認識し、自ら内集団バイアスを補正できればいいのですが・・・なかなか、ねぇ。
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今日は内集団バイアスの話をしました。
あなたは、ただたんに「恣意的にわけられたグループ」に、勝手に愛情を感じていませんか?
あなたは、さしたる「根拠」もなく、きりんさんグループを憎んでいませんか?
あなたは、自分の心のなかに、勝手に「線」をひいていませんか?
あなたの心のなかは、バイアスにまみれていませんか?
自戒をこめて
そして人生はつづく
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