NAKAHARA-LAB.net

2020.2.18 06:59/ Jun

コロナウィルス対応が生み出した「本当にオフィスって必要なんだっけ?」という根源的な問い!?

本当にオフィスって必要なんだっけ?
ひとが集まることの意味って、何だっけ?
   
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 コロナウィルスへの対応、それにまつわる諸事雑務で、ここ数日、朝から晩まで終われている中原です。なにせ、年度末は、イベントが多いのです。そんな時期に、痛恨の一撃、コロナウィルス。「ひとが集まること」への社会からの懸念・警戒が増しており、それに対する対応が増えています。
  
 おそらく、そのようなお立場におられる方は、日本中に、少なくないと思います。本当にお疲れ様です。
 トホホ・・・
 
  ▼
  
 ところで、コロナウィルスが引き金となって、企業では、勤務形態が在宅勤務に転換する企業が増えているといいます。出張などを手控えて、会議などをオンラインにする動きも広まりつつあります。もちろん、すべての業種・業界ではありません。それが出来る企業もできない企業もございます。
  
 実施を行っているのは、IT企業など、まだ一部の先進的企業ですが、そのような企業では、冒頭に述べたような問いが生まれてきている、といいます。
  
本当にオフィスって必要なんだっけ?
ひとが集まることの意味って、何だっけ?
  
 たとえば、下記のNHKの記事をご覧ください。
  

  
急増!在宅勤務 背景はやっぱり “新型ウイルス”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200217/k10012289201000.html?fbclid=IwAR3tR0O32NpZZmiBkVT7dxYYc1rontHggJ3gj7URwT_j71yUCpRVxWIW7fc
   
 こちらの記事では、全体のほぼすべての社員約4000人を対象として2週間の在宅勤務に転換したGMOインターネットさんの事例が紹介されています。
  
 興味深いのは下記の指摘です。社員の方や、経営層から下記のような問いや感想が生まれているのだといいます。
    
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9割ぐらいの社員が「よかった」と回答し、「大きな支障はない」とか「困ったことはない」
  
「在宅勤務開始から3週間。何がすごいかと言うと、業績に影響がほぼ無い。この結果を見て、そもそもオフィスが必要なのか真剣に考えている」
  
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 まことに興味深いことです。
  
 まだ施策がはじまって、すこしの時間しかたっていないので、その成果が問われるのは今後かと思うのですが、それでも「在宅勤務で支障はない」「在宅勤務でも業績が下がらない」という感想が生まれうるのであれば、
  
 本当にオフィスって必要なんだっけ?
 ひとが集まることの意味って、何だっけ?
  
 という問いが生まれ出てくるのは、当然のことかと思います。
(都内には、まだオフィスビルがガンガンたっておりますが、、、大丈夫でしょうか? 僕は数年前から、その様子を見るたびに、なんで、オフィスをまだ増やすのかなぁ・・・・と思っておりました)
  
 もちろん、このようなことをいうと、
   
 テレワークを行うと「上司ー部下の関係性」が失われる
 テレワークを行うと「職場の人間関係」が失われる
  
 という方もいらっしゃるかと思います。
  
 ただ、実際問題、対面状況で仕事をしていても、上司と部下、ないしは部下同士できちんと向き合い、対話ができていたか、というと、怪しい職場も少なくありません。
   
 また、テレワークをすすめる工夫として、記事にもあるように、「毎日3回のウェブ会議で互いの顔を確認しながら情報を共有」するのであれば、対面状況よりも、コミュニケ−ションが密になることも少なくないのではないかと思います。
    
 また、対面状況でなければ、イノベーションは生まれない
     
 という方もいらっしゃるかと思います。
   
 もちろん、仮想環境では「作業」はできるけれど、ひととひとがぶつかり合って、議論を尽くし、あらたな物事をつくりあげるような相互作用は難しいかもしれません。ただ一方で・・・対面状況でいても、イノベーションもクソもへったくりもない「無縁企業」も少なくありません。
   
 もちろん、実施できているのは一部の企業であり、IT環境にも様々ございます。また、さまざまな成果や影響を長期的に見ていく必要もあります。が、しかしながら、現段階の短期的結論としては「さして悪影響はない」「工夫次第で何とでもなる」という感じに見えますが、いかがでしょうか? 
 もちろん、新入社員の組織社会化はどうなるんだ?とか、目標管理はどうするんだ、など、中長期の視野にたてば、難しいことは言うまでもありません。100%オフィスが必要ない、という結論を出す方は、極めて少ないでしょう。
   
 しかし、コロナウィルスがきっかけとなって生まれた2つの問い
  
 本当にオフィスって必要なんだっけ?
 ひとが集まることの意味って、何だっけ?
  
 この問いに対する答えの、モデルなき模索が、しばらく続きそうです。
  
 ちなみに、この問いは、実は、我々大学人にも投げかけれている問いですね。
   
 授業って、本当に、教室でやる必要あるんだっけ?
 授業やゼミで、ひとが集まることの意味って、何だっけ?
  
 ちゅどーん。
 自爆
  
 ウィルスは、ひとからひとに感染する「ソーシャルな病」です。
 問われているのは、ひとが顔をあわせ「ソーシャル」に集まること、交流することの、根源的な意味なのか、と思います。
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  

  
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