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2020.2.17 06:17/ Jun

「大人の学びなおし」は「アート」からはじめよ!:末永幸歩著「自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考」書評

中原淳氏「爆発的に面白い!! 『図工2』の僕が、現代アートに惹かれる理由がわかった」
    
  
     
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 突然ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
 わたくし、かつて学生時代の成績で、「図工2」を頂戴していた中原淳(44歳)です。
 不肖・中原、まさか、この年になって、小学校・中学校時代、図工・美術が「大の苦手」であったことを「大暴露大会」して、「他人の書籍の帯の推薦文」を書くことになるとは思いませんでした(笑)。
  
 人生、長く、生きてみるものです(笑)。
 素晴らしき人生、まことに貴重な経験です(笑)。
      
 末永幸歩著「自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考」は、今年いちおしで、中原がおすすめしたい一冊です。この本を手にしたきっかけが、知り合いの編集者の藤田悠さん(本書の編集者です)からのご紹介であったことは、事実として認めます。
 しかし、どんなに藤田さんと僕が「仲良し」でも、僕は「自分の目」で作品を読み込み、「自分の頭」で考え判断します。自分の頭で「よい」と思わない本は、このブログやSNSでは、僕はぜったいに紹介しません。
  
 それほどまでに、本書は、面白いと思いました。わたしが、このブログで、他人の本をここまで大々的に推薦することは、これまで一度もございません。本書を読んで、僕は「アートにまつわる自らの黒歴史!?」に合点がいきましたし、これから美術館にいくときには、「こんな風に作品を鑑賞しよう」と思い立ちました。そんな未来を感じさせる本でした。
   
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 著者の末永幸歩さんは、現役の「美術の先生」であり、アーティストをなさっている方です。本書は、末永先生が実践なさる中高生向けの「美術」の授業をベースに、1)「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、2)「自分なりの答え」を生み出し、3)それによって「新たな問い」を生み出すような思考を教えることを目的にしています。「美術」の授業ではあるけれど、「見たものを写真のように描くこと」や「突然、わけもわからず、美術史のトリヴィアルな年号や技法を暗記させられる」ものとは、まったく違うのです。
     

末永幸歩著「自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考」
https://amzn.to/38wYopB
       
 くどいようですが、本書が「美術や「アート」を扱うといっても、それはわたしたちがよく知っていて、骨の髄までしみこんだ「アレ」ではありません。「遠近法」に従いながら「見たもの」を写真のように描くことが、「即・美術」「即・アート」かというと、それはあまりに近視眼的な見方です。
 本書を読んでいると、わたしたちが子どもの頃から翻弄されてきた美術、アートとのつきあい方が、非常に一面的で、非常に狭いものであったことがわかります。
   
 本書が伝えたいのは、むしろ、
  
 アートとは「思考」である
  
 ということになるのか、と思います。
  
 あるいは、
  
 アートとは「探究」である
  
 といってもよいかもしれない。
    

   
 本書のすすめる「アートとのつきあい方」を通して、
  
 自分らしいものの見方で
 自分らしい答えをつくる思考の習慣
    
 を身につけられたら、これ以上、幸せなことはありません。
     
 本書では、20世紀アートを代表する6作品の鑑賞をとおして「アーティストのように考える方法」を学ぶことができます。
   
 本書で鑑賞する作品のなかには、マティスありーの(笑)。
   

       
 ピカソありーの(笑)
     

   
 デュシャンの便器ありーの、です(笑)。
   

    
 ところで、これらの作品や作家を「頭の中」の座学的知識として「知っている」ひとは少なくないでしょう。
 マティスといえば、「フォービズム」
 ピカソといえば、「キュビズム」
 デュシャンといえば「現代アートの祖」とされる人物です。
    
 しかし、あなたは、これらの作家たちが、何を考えていたのか、思いをはせたことはありますか?
 彼らの思考の「根っこ」にあったものは、なんでしょうか?
 本書では、末永先生の授業を通して、通常の美術の授業では考えることのなかったことに、思いをはせることができます。
   
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 本書を読んで、僕は、
   
 自分が、「学校の授業」をとおして、なぜ「美術嫌い」になったのか?
 自分が、「学校の授業」をとおして、なぜ「ダークサイド」に落ちていったのか?
    
 その理由が、心の底から、わかりました。
 2020年現在、僕が受講したような「30年前の美術の授業」は行われていないと思いますけど、万が一、現代においても、そうした「美術の授業」に苦しむ子どもたちがいたとしたら、僕は、こう言ってあげたい。
   
 「それは、学校美術だ」
 「ほんとうのアートは、楽しいよ」
    
 実際に、著者は本書の冒頭、学研教育総合研究所の調査(2017年)を引用し、下記のような衝撃的なグラフを紹介します。
     

       
 上記のグラフでわかるように、美術は、小学生のときには「好きな科目」の3番目にかかげられているのに、中学生・13歳になったときには、それは大嫌いの科目に転化します。その下落幅は科目でワースト1。この「13歳」のあいだに何かが起こるのです。それが本書の書名「13歳からのアート思考」のルーツですね。30年前は、「写真があるように、あえて写真のように絵を描く授業」「わけもわからず、作品名や作家名を暗記させられる授業」が、「美術の授業」でした。そういう過去の黒歴史をもっている方は、少なくないと思います。
             
 しかし、学生時代、美術の劣等生だった僕は、今、その立場に甘んじていません。
 今の僕は、ほんの隙間時間を見つけては、美術館に出かけるほどの「下手の横好き的アートファン」です。いやー楽しくて、楽しくて、しょうがない。本当に忙しくて、鑑賞する時間はそう多くはとれないないけど、僕はアートが好きで好きでタマラない。
    
 ただね・・・「元・図工2」ですけど。
 それがなにか?(笑)
    
 僕自身も、下手くそな絵も描きます、書道も書きます、レタッチもしますし、写真もとりますし、動画も編集します。HTMLも書けますし、Webサイトもプロデュースしてきました。表現大好き、音楽だろうと、文章だろうと、何でもやります!
 でも、僕は「元・図工2」です(泣)。    
 それがなにか?(笑)
  
 ていうか、神様、わたしは、いったい「何」を測られていたんでしょうか?(爆笑)
        
 また、本書を読んでいると、
   
 なぜ、自分がアートを見に行くのか
  
 その理由もよくわかりました。
  
 僕は、「絵の美しさ」云々もさることながら、作家が「何を思考」して、「何に挑戦」したのか、を見に行っていたのです。当時の時代背景、時代の雰囲気に対して、作家が、どういう「ちゃぶ台がえし」を試みていたのかを、僕は見ていました。僕は、アートに「作家の生き様」をたしかに見ています。それが楽しくて、楽しくてしょうがない。

 なぜなら、それで己を奮い起こすのです。 
  
 おのれ、わかったふりして、慣れた口調で、いつものことを、いつものように言ってんじゃねーよ、と。
 おのれ、自分の頭で、何を考え、何に闘いを挑んでんだ、と。
 おのれ、短い人生で、この社会に何を残すのだ、と。
          
 もういいんです。図工2はもういい。過去のことは忘れましょう。
 僕の「学校美術」に対するルサンチマン(怨恨感情)はさておき(爆笑)、本書は、良質の「美術の授業」を受けているような、涼しげな読後感を私たちに提供してくれます。そして本質を問う。
  
 あなたも、アートとの「新しいつきあい方」を見つけてみませんか?
 大丈夫、まだ間に合う。ていうか、まだ、はじまっちゃいないよ
 そして、もっと自由奔放でいいんだよ
 
 おすすめの一冊です!
   
「すべての子どもは、アーティストである。問題なのは、どうすれば、大人になったときにも、アーティストでいられるかだ」
(パブロ・ピカソ)
    
 あなたもきっと、子どもの頃は「アーティスト」だった。
 いま、大人のあなたは「アーティスト」ですか?
     
 もう一度、あなたの人生を、生き直してみませんか?
   
 そして人生は「つづく
     

末永幸歩著「自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考」
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