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2020.2.14 07:02/ Jun

「突然だけど、今日から、君、管理職ね、はい、よろしく」のリアル:「中小企業の人材開発」というブラックボックスを解明する!?

うちの会社の管理職登用は「突然だけど、今日から、君、管理職ね、はい、よろしく」ですからね・・・
   
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 ここ数年、ほそぼそと続けている研究に「中小企業の人材開発」研究があります(すみません・・・本当に難しい研究なのです)。ラーニングエージェンシーさん(調査時は、元・トーマツイノベーション)との共同研究で、保田江美さんと僕で、現在、「中小企業の人材開発」という書籍を出すべく、奮闘しています。
   
 せんだっては、最終の調査データを裏付ける、最終のヒアリング調査を実施させていただきました(真崎社長、伊藤さん、また、ヒアリングにご協力いただきました企業のみなさまには、心より感謝です!)。今月は7名、来月はやはり7名強の方におこしいただき、聞き取りを行わせていただきます。
  
 それらのデータを足して、最終章の6章を仕上げ、終了となります。東京大学出版会の木村さんに、はやく原稿を提出したいと願っております。
   
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 ところで、業種・業態もことなる、様々な会社の、「ひとと組織の問題」をうかがって、中小企業には中小企業なりの「人が育ちにくい構造」があるな、という実感を強く持ちました。これがわたしどもが行った定量データと非常に整合的なので、非常に興味深く思っています。
  
 その構造とは、下記に10点でまとめました。
 皆さん、いかがでしょうか?
  
1.経営者ないしは経営層が、トップダウンでの意志決定を行っているケースが多い。「社長が全部、引っ張って、真なせたり、育てたり」しているケースが少なくない。
  
   ↓(そうすると)
  
2.中間管理職のマネジメント能力が、あまり育成されないことになる(中間管理職は、経営者・経営層が企画した内容をはやく、無駄なく実行することには長けているが、下を動かせない)
    
   ↓(また)
   
3.中間管理職の思考力、企画力が、あまり育成されない。なぜなら、経営者・経営層が「すべてやってしまうため」に、「自分の頭で考える癖」がもてない。思考停止に陥りやすい
  
   ↓(加えて)
  
4.中間管理職の登用の仕組み、育成は、あまり存在していないか、ないしは機能不全に陥っている。冒頭述べたように「今日から、君、管理職ね。よろしく」という登用もありうる。そうなると、中間管理職になるための事前学習が機能不全に陥る。
  
   ↓(一方・・・)
  
5.中間管理職への、経営陣・経営層からのメンタリングは、運がよければ機能するが、厳しいことも多い。とりわけ組織が家族のようになっている場合、「自分の弟」や「自分の息子」のような人材にフィードバックを行うことが難しい。自分からフィードバックを求める中間管理職は、育つ。あるいは、外部の研修を受講して、その内容を転移さようとする中間管理職は育つ。しかしながら、その数は限定的である。
  
   ↓(その結果・・・)
  
6.2から5の状況を見て、中間管理職登用以前の、中堅人材が離職してしまっているところが少なくない。それでは仕事が回らないので、新卒・若年層を雇用する。中間管理職とは「干支ひとまわり」年齢が異なる若年層が雇用されている企業は少なくない。
 
   ↓(しかしながら・・・)
  
7.中間管理職のマネジメント能力が機能不全に陥っている場合には、新卒・若年層を育成することが難しくなる。それでも仕事を回さなくてはならないので、仕事が属人化し、「個人商店化」する。そうすると、外部からのフィードバックがさらにききにくくなる
  
   ↓(当然の帰結として・・・)
  
8.新卒・若年層の育成は、自分で経験学習を回せるひとが、育つ。そうでなければ、能力開発が機能不全に陥る。すべてが「個人商店内の自己努力」になってしまう
  
   ↓(ところで・・・)
  
9. 新卒・若年層の育成における経験学習を補完するのが、「顧客からの学習」である。客先で仕事をすることが多いこと、また、客にあわせる文化があるため、顧客からフィードバックをもらうことが多くなる。逆に「顧客」に依存するため、自社の育成文化を構築することが難しい
  
   ↓(最終的には・・・)
  
10.経験学習と顧客からの学習が機能不全に陥る場合、若年層は、転職などを選択するひともでてくる。しかし、経験学習を行えず、ジョブホッパーのように職を転々としても、能力形成は厳しい
  
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 まだまだお話を伺い始めたばかりなので、なんとも言えないのですが、中小企業には、中小企業なりの「ひとが育ちにくい構造」があるな、と思ってお話を伺っておりました。しかも冒頭申し上げましたように、この「構造」が、5000人以上の質問紙調査を用いて解析した結果と、かなり整合的なのです。
  
 みなさま、いかがでしょうか?
  
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 今日は「中小企業の人材開発」について書きました。この研究は、わたしがこれまで行ってきた仕事のなかで、もっとも苦労している研究のひとつです。先行研究も何もレビューできていないところから仕事をはじめ、定量調査をおえ、定性調査を終えようとしています。
  
 保田さんやラーニングエージェンシーのみなさまと協力を深めつつ、「ラストワンマイル」を書き切りたいと願っております。
  
 これまで中小企業の職場は「ブラックボックス」とされることが多い、そこでひとが育つメカニズムはあまり解明されていませんでした。わたしどもの取り組みがきっかけで、ここに関心をもっていただける方が増えることを、心より願っております。
    
 あなたの会社には「人が育ちにくい構造」はありますか?
  
 そして人生はつづく
  
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