2020.2.7 07:17/ Jun
「我思うゆえに、我あり」ではない
「我、他者とコミュニケーションする」、故に、我あり
Word creates world!
(やりとりされた言葉こそが、現実をつくる)
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これらは、いわゆる「社会構成主義」とよばれる思想の基本テーゼです。
ここで「社会構成主義」とは
1.意味や現実とは、個人の頭の中で、つくられるのではなく
2.ひとびとが物事をやりとりしているなかで、
3.ソーシャルにつくられていくのだYO!
という考え方のことをいいます。ここ数十年、もっとも注目される理論のひとつですね。
もちろん、これらの需要期の定義、「その筋の専門家」の耳に入ったとしたら、便所スリッパでカンチョーされて、さらにグリグリされそうな「3行要約」ですが、ここはブログ。どうかお許しください(笑)。
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ところで、社会構成主義のことを考えていて、いつも、「あるあるの事例だな」と妄想してしまうことのひとつに、「組織を小集団に分割した際に起こる、いざこざやコミュニケーションギャップの問題」を思いおこしてしまいます。
そうした局面では、
「言葉」こそが「組織の仲違い」をつくる
ことが多いような気がするのです。
より、具体的には、こういうこと。
皆さんは、ある程度、自分の所属する組織が大きくなったときに、よく「部門・グループ・ユニット」とよばれる下位集団(小集団)をつくりだし、名前をつけませんか?
もちろん、そうしたグループを名付け、つくりだすことは、管理上、やむを得ないことです。しかし、そのように「新たに作り出した言葉」こそが、ひとびとの心のなかにある「つながり」を分断し、ひとびとの「意思疎通」を機能不全に導いてしまう。私たちの生きるシャバワールドでは「言葉こそが、仲違いの元凶」につながってしまう事例が、多いような気がします。
つまり、
ひとびとをカテゴリー化(グループ化)する「言葉」を
自ら創りだして
その言葉によって、組織が機能しなくなっている
という悪循環に陥るということです。
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たとえば、皆さんのまわりに、こうした事例はないでしょうか?
今、ある集団が、昨日まで、9人のメンバーで、それなりにコミュニケーションをして、それなりに仲良く働いていた。
しかし、「9人で、何の部門やグループもないというのは、非効率だ」と誰かが言い出して、ここによせばいいのに、部門やグループなどの下位集団をつくることにした。9人なので、3人ずつ別のグループをつくり、仕事をすることにした。名前を「ぶたさんチーム」「きりんさんチーム」「おさるさんチーム」と名付けた。
「ぶたさんチーム」「きりんさんチーム」「おさるさんチーム」という名前は、「物理的な実体」を有するわけではない。しかしながら、この名前をつくりだすことによって、今まで、仲のよかったひとびとは「ぶたさんチームのじゅんさん」「きりんさんチームのKENZOさん」「おさるさんチームのTAKUZOさん」という風にアイデンティティをもつことになった。
この組織の悲劇は、ここから生まれる。集団内部のアイデンティティを有するようになったひとびとは、互いの集団を意識したり、悪く言ったりすることが増えていった。さらに、仕事をしていくにしたがって、お互いが競い合うようになったり、いがみ合うようになっていった。
仲の良かった9人は、お互いを蔑み、ののしりあう「3つの集団」になってしまった。
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この事例のポイントは、メンバーは、昨日とは何一つ変わっていないということであり、また、3つのグループは、なんら物理的実体を持たないということです。そこにあるのは、「ぶたさんチーム」「きりんさんチーム」「おさるさんチーム」という言語だけ。言語を介したやりとりこそが、メンバーの心のなかに「異なるアイデンティティ」をつくりだし、「集団間の競争や葛藤」をつくりだす。
Word creates world!
(やりとりされた言葉こそが、現実をつくる)
というのは、こういうことかもしれないな、と思います。
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今日は、社会構成主義を「枕」?「だき枕」?にしながら「集団づくり、チームづくりの罠」について妄想しました。もちろん、ここでチームが機能不全に陥ってしまう要因は「言語」だけではない。それだけじゃありません。
でも、私たちが想像する以上に、
言語は世界をつくりだし、世界を分断します
しかも、分断は「ひとびとの心の中」にできる。そういう要因は、決して無視はできない、ということです。
ちなみに、このことに関して、僕は、たまーに学生に申し上げているのは、
仲良くしたければ、言葉を減らせ!
ということです。
端的に申し上げると、たいした人数もいないのに、あえて「部門」をつくったり、「グループ」を名付けたりするな、と申し上げたいのですね。分断につながる「言葉」をたくさんつくるのではなく、言葉を減らしなさい、と申し上げたいのです。
言葉ができれば、分断が生まれます。その結果「内集団びいき」を引き起こしたり、「集団の葛藤」を生み出すことになる可能性が高いのです。過剰な言葉は、ひとびとの心のなかに、分断をつくりだしてしまいます。
そしてね・・・
ひとびとの「心の中」にあるものほど、厄介なんだよ
目に見えないものほど、深刻なんです
ただ、大学教員というものも多忙なもので、このシンプルなセンテンスだけーつまりは「言葉を減らせ!」とだけ学生には申し上げているので、
「はー、また先生、何か言ってるー」
「うけるー」
と思っているかもしれません(笑)。
実は、その背後には、実は「暗くて深い耳の穴」のような、深遠な哲学的世界があるということです。社会構成主義、興味持ったら、読んでみて。
そして人生はつづく
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