2020.1.8 06:58/ Jun
「うちの会社は、受け身な社員が多くて困っているんですよ」
「うちの職場のメンバーは、本当に受け身人材ばかりでしてね。言われたことしかやらない。本当に、何とかなりませんかね」
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人材開発、リーダーシップ開発などの研究をしていると、仕事柄、こうした現場の嘆きに、年間に3万6千回くらい出会います(笑)。ここで「受け身な社員」とか「受け身人材」と呼ばれているものは、「主体的であること」「能動的であること」の逆の意味だと思います。
すなわち
・自分から進んで仕事を探して、やりぬこうとしない非主体的な人材
・自分から動いて物事を探索し、成長しようとしない非能動的な人材
のことを形容して「受け身」ないしは「受け身人材」と呼んでいるのでしょう。
こうした嘆きに共感しつつも(本当に、ひとと組織の仕事、マネジメントは大変ですよね・・・)、こうした言葉を聞くと、僕の脳裏には、1つの問いが浮かびます。
それは、
「社内に受け身人材が多いのはわかりました。でも、御社では、採用のときに、受け身人材を敢えてチョイスして、採用なさったのですか?」
という問いです。
もちろん、多くの場合、そうではありません。
「そんなわけないじゃないですか。主体的で能動的な人材を採用してますよ。新入社員の頃は、みな、目がキラキラしてるんです。」
と多くのビジネスパーソンはおっしゃいます。
まぁ、それはそうでしょう(笑)。
この世の中に、「受け身人材」を敢えてチョイスして採用する希有な会社は、多くはないものと思われます。
しかし、だとすれば、ありえる可能性は2つ。
ひとつめは「採用のミス」の可能性
すなわち、
本当は採用するべきではなかった受け身人材を、採用手段のミスにより、選択してしまったという可能性。
つまり「受け身は、採用場面で見抜けなかったミスの結果である」ということです。
もうふたつめは、
採用のときには、主体的で能動的であった人材を、受け身人材に仕立て上げてしまう「負の人材育成力」が、組織・職場内に存在していること
です。つまり「受け身は学習された結果である」ということです。
このふたつの可能性のうち、前者の採用ミスの可能性は「ないわけではありません」。しかし、このふたつの要因のうち、どちらが影響力が強いか、というと、僕は、おそらく後者ではないかと思います。
すなわち
「主体的で能動的であった人材は、社内の「負の人材育成」により、「受け身の姿勢」を「学習」してしてしまった
ということです。
学習というメカニズムには、本来、「正」も「負」もございません。
「望ましいもの」が学ばれることもあれば、意図せず「望ましくないもの」が学ばれてしまうこともある。
また、世の中に起こっていることは、たいていの場合は「合理的」です。
つまり、この2つのテーゼを敷衍すれば、
主体的で能動的であった人材は、この組織において、「受け身の姿勢」で振る舞っていた方が「合理的」だから(メリットがあるから)、「受け身の姿勢」を学んでしまった
ということになります。
たとえば、「受け身でいても、能動的でいても、給与が変わらない、評価は変わらない」「能動的でいると、周りから疎まれる、出る杭は打たれる」「主体的で能動的であれ、と口ではマネジャーは言っていても、ゴリゴリの権力を振りかざしたトップダウンマネジメントを行っている」という場にいれば、「受け身であること」は「合理的」に「学習」されてしまうということになりますね。
だって、その方が「得」じゃん。
少なくとも「受け身でいること」にデメリットがない。
まことに嘆かわしい「仕事への受け身姿勢」は「学習された結果」なのです。
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今日は「受け身」は学ばれてしまう、というお話をしました。つくづく、ひとと組織、マネジメントは難しいと深く現場のご苦労に共感しつつも、ここから議論をはじめることが、真に強い組織、強い職場をつくっていく基盤になるのかな、と思っております。
あなたの会社は「受け身社員」は多いですか?
あなたの会社の「受け身社員」は、何をきっかけに「受け身」を学んでしまいましたか?
あなたは「受け身社員」ですか?
あなたが「受け身社員」ならば、何をきっかけに「受け身」を学びましたか?
起きていることは、いつも「合理的」
そして、目の前の問題行動は「学習された結果」
そして人生はつづく
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