2019.12.2 07:14/ Jun
「なんか、このグラフ、おかしくない? ここでは、折れ線グラフ、使えないよ」
「このグラフで何を伝えたいの? それなら、ここで使うのは散布図じゃないの?」
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経験の浅い学部生などを論文指導していると、よく出会うケースが「不適切なグラフを用いてしまっている」というものです。連続量を表現しなければならないのに、本来使えないグラフを用いていたり・・・カテゴリカル変数が横軸であるはずなのに折れ線グラフなどを用いていたりします。
いいえ、ちょっと気をつかって(!)学部生とはいったものの、大の大人、ビジネスパーソンのつくるプレゼンテーションにも、怪しいグラフが頻発します(ごめんなさい)。
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松本健太郎(著)「グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか」(技術評論社)を読みました。
本書は、1)グラフがそもそも何を表現するのに向いているのかを論じつつ、2)グラフが生まれた歴史をときおり差し挟みながら、3)適切なグラフ表現のあり方について論じた一般書です。非常に平易に書かれており、数式などもひとつも出てきませんので、おそらく、まったく経験のない学部生から読み進められると思います。
本書が主張する「グラフ表現のあり方」は、非常にシンプルです。
棒グラフは複数のデータ項目の「比較」が得意
折れ線グラフが得意なのは「データの推移」
円グラフが得意なのは「割合」
散布図が得意なのは「関係」
このように、シンプルにシンプルに、基本中の基本から、グラフ表現のあり方を学ぶことができます。
また興味深いのは、わたしたちが何気なく用いているグラフも、18世紀ー19世紀の「発明品」であった、という事実です。棒グラフ、折れ線グラフが、18世紀まで存在していなかった、ということが、衝撃でした。ときおり論じられるグラフ表現の歴史は、興味深いものです。
統計をひととおり学んだ方や、統計の授業についていける方には、基本的すぎる書籍かもしれません。
でもね・・・
「なんか、このグラフ、おかしくない? ここでは、折れ線グラフ、使えないよ」
「このグラフで何を伝えたいの? それなら、ここで使うのは散布図じゃないの?」
というミスは、僕の知る限り、頻発します。
もう一度復習のつもりで、グラフ表現を学んでみることも、また一計なのかもしれません。
そして人生はつづく
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