2019.11.20 08:40/ Jun
大人を相手にした「研修」で講師をつとめ、場を全うすることは、僕だけかもしれませんが、本当に「気疲れ」します。
相手は「大の大人」です。それも忙しい相手、必ずしもやる気に満ちているわけではない「大の大人」を、あの手、この手を使って、動機付け、動かしていかなければなりません。
一般に、小学校・中学校・高校・大学などの教育現場では
先生(講師)>受講生
という権力構図が、意図しようとも、意図せずとも、作動しています。
その根源は、先生(講師)が、評価の権限を握っているということに由来します。受講生は、おいそれと、先生に露骨な拒否の姿勢をとることはできません。
しかし、大人を相手にした研修では、これが作動しません。
極端な話、受講生は、研修に来なくてもいいし、その場を立ち去ってもいいのです。それで、自らの「生存」が脅かされているわけではありませんし、先生(講師)に生殺与奪を握られているわけではありません。
ということは、「大の大人」を対象にした研修では、あの手この手を使って、相手を動機付け、動かしていくスキルが求められます。単純に、「権力」によりかかるわけにはいかないのです。
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かなり前のことになりますが、ある現場の先生が研究室にこられて、ある相談をしてくださったことがあります。
曰く
「僕は、子どもを対象にした授業なら、自信がある。だけれども、自分も経験を積んで、校内や校外で、大人を相手(若い先生)に研修をすることがある。でも、これがさっぱりうまくいかない。相手がそっぽを向いてしまうこともある。どうしたらいいだろう? 僕は子どもに教えるのはいいけれど、大人に教えるのは怖い」
あまりにも自信を失われているようなので、思わず、いてもたってもいられなくなって、僕は、ついつい声をかけてしまいました。
「教えることに向いていないってことはないと思いますよ。じゃあ、こうしませんか。今度、先生が、大人を対象に研修をなさるときに、わたしも見学させてください。そこで見たものをフィードバックさせていただきますので・・・」
かくして、一度、先生が行う研修に参加させていただきました。
その結論は
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その先生の授業は1点をのぞき、とてもよく練られたものでした。ほんのひとつだけ、見直したらいいことをのぞいては。。。
僕が、その先生にフィードバックさせていただいた内容は下記の通りです。かなり前のことになりますので、うろ覚えですが、趣旨はハズしていないと思います。
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「先生の授業は、すごくよく練られているし、僕は面白かったです。
でも、ひとつだけ僕からフィードバックさせていただくのだとしたら、僕の目には、先生は、受講生を、子どものように扱い、子どもと同じように動かしているように見えました。
たとえば、先生はよかれと思って受講生を「あだ名」で呼んでいましたが、それは相手を「子ども」のように扱っている象徴のように見えます。それで親近感を感じる大人と、そうでない大人はいます。
あと、指示はすべて「命令形」でしたが、「・・・しましょう」という形式でいうと、もう少し柔らかくなります。
授業の内容ももう少し「一緒に考える」形式がよいかもしれません。
今回の研修の場合、答えはひとつに決まっていません。そういうものを教えるときには、「ともに答えを考える」くらいのスタンスで教えた方がいいのではないでしょうか。
このことに、答えはない。だけれども、僕だったら、こう考える。若い先生方ならどう考えるか。そこでディスカッションしてみるといいと思います。
伝えていることは素晴らしいことです。しかし、その「伝え方」が、少し「上から目線」に感じるのです。
先生が目の前にしているのは、先生と同じ大人です。子どもではありません」
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今日は「子どもに教えること」と対照づけて「大の大人に教えること」の難しさについて書きました。あえて戯画的に、二項対立的に「子ども」と「大人」を対照づけましたが、ここで言っていることは、子どもを教えることにも言えるかもしれません。
大の大人を教えるとは「あの手、この手」です。
あなたには、「あの手、この手」として「どんな工夫」をしていますか?
そして人生はつづく
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