2019.11.19 07:08/ Jun
チームワークでは「役割分割」をしてはいけない!
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立教大学経営学部では、ビジネスリーダーシッププログラムという初年次教育でのプロジェクト学習が実施されています。
こちらのプログラムでは、5人くらいのチームを組んで、1年生から2年生からの学生数百名が、つねにチームで課題解決をしておりますので、そちらのカリキュラムを担当している時分には、教員として、まさに、数十の単位でチームワークのプロセスとアウトプットを見ることになります。
ここ数年、こちらのプログラムを担当していて、僕は、学生が陥りやすいチームワークの罠みたいなものを本当に体で「実感」するようになりました。もちろん、研究者としては、この「実感」をそのままほおっておくのではなく、しっかりとしたエビデンスにまとめることが重要です。
ここ数年、こちらの「実感」をJMAMさんの人材教育で「GOOD TEAMの作り方」という連載でまとめていたのですが、ここに助教の田中聡先生がジョインし、これからチームワークに関するまったく新しい考え方をご披露する本を企画しています。
JMAM出版の竹内さん、黒川さん、宮川さんらとの仕事で、いつものように井上さんがライティングのサポートに入ってくれています。うれしいことです。
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冒頭の
チームワークでは「役割分割」をしてはいけない!
というのも、わたしどもの書籍でぜひ扱いたい内容です。
チームで仕事をしていれば、よく全体の仕事を各人に分け与える、ということが行われるのですが、そのときには「役割分割」をしてはいけない。
要するに、あまり成果をあげないチームワークとは、
いったんチームの内部で、各人の「役割」を分け与えると、あとは、自分の仕事をするだけになってしまうチームです。
個人が、個々人のコンピュータで、目の前にあるタスクをこなすだけ。
そのときに、他の人の作業も、チーム全体の作業も、個人の視野からは消えてしまうチームは、たいてい、コケます。
つまりは、
役割を分割して、ハイ終了
になってしまうのです。
それでは、これがなぜうまくいかないか。
まず、役割分割で得られる個々のパーツというのは、どうしても、ヌケモレが発生します。
つまり、5人で1ずつ仕事をしていて、あわせてみても、0.8×5
=4になってしまうこともある。
つまり、本当はタスクとタスクのあいだに「相互依存関係(のりしろ)」をある程度つくらなくてはならないのですが、それがない場合には、つじつまがあわない。
あと、算用数字の1をひとりずつ分割して仕事をしていて、あわせてみても、5じゃなくて、漢数字の「五」というのか・・・びっくりする代物が生まれることもある。
「算用数字を足し算したはずなのに、漢数字がうまれちゃった・・・でも、同じ数字だから、まいっか」という感じです。これはチーム全体を見ていく視点が欠けている場合にうまれがちです。
つまりは、役割を分けたあとでも、お互いのあり方を見つめ、チーム全体の仕事を見つめる目をもたなければなりません。
要するに、
チームワークでは「役割分割」をしてはいけない
のです
つまるところ、よく一般にいう「役割分担」とか「役割を分ける」という言葉の意味を、もう一度問い直し、それが「何を意味するか」を意味の書き換えを行わないことには、まったくチームは良くなりません。
こういう問題は、「目標設定」も「情報共有」も、まったく同じように生じています。
よくものの本には、チームワークは「目標設定」や「情報共有」をしなくてはならない、と書いてありますが・・・
実は、
チームワークでは「目標設定」をしてはいけない
チームワークでは「情報共有」をしてはいけない
のです。
というよりも、目標設定とか、情報共有が、それぞれどのような意味をもっているかを問い直し、そのイメージを刷新しないことには、チームワークはうまくいきません。この詳細は、、書籍をぜひお待ちくださいませ(笑)。
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今日はチームワークのことについて書きました。
今日のお話は、本当に知見の一部なのですが、書籍では、これにエビデンスをからめ、また、フッサールの哲学などをまじえながら(最近凝ってる)、まったく新しいチームワーク本を書いてみたいなと思います。
そして人生はつづく
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『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
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残業学プロジェクトでご一緒させていただいてきた盟友の岩崎真也さんが(議論に議論を重ね、教材をつくりあげていきました!)、「職場に対話を促しながら、職場ぐるみの組織開発で、働き方を改革するやり方」について解説なさっています!
働き方改革から組織開発へ 本当の働き方改革に求められる「次の一手」とは~
https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201907020001.html
また残業学プロジェクトのスピンアウトツールである「OD-ATRAS」についても、ご紹介しています。職場の見える化をすすめ、現場マネジャーが職場で対話を生み出すためのTipsやツールが満載です。ご笑覧ください。
対話とフィードバックを促進するサーベイを用いたソリューション「OD-ATLAS」の詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/learning/od-atlas/
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