2019.11.11 06:41/ Jun
「目的」を問わないイベントは「慣性」にしたがう
「意義ある集まり」の大敵は「慣れ」なのだ
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しょっぱなから「ガツン」とやられました。
数行読んで「名著」の予感。
プリヤ・パーカー(著)、関美和(訳)「最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする」(プレジデント)を読みました。著者は、紛争解決や人種問題などの修羅場でファシリテートを行ってきた、プロのファシリテータの方です。
本書は、「ひとは集うのか?」というそもそもの議論から出発し、「意義のある集い方」を行うためには、どのような点に留意すべきかを、著者の経験といくつものエピソードに基づき論じた書籍です。
人材開発、組織開発、リーダーシップ開発といった人事領域の方はもとより、広報、営業など、さまざまなイベントを主催する人々には、ぜひ読んでいただきたい本です。
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「ひとは考える葦である」といったのはパスカル。
同時に、ひとは「集う動物」でもあります。つまり、ひとは、どこまでいっても、「社会的な動物」であるということです。ひとは、生けとし生きる限り、様々な場で集い、さまざまな人々と交流をしています。
しかし、わたしたちの周囲を見渡していると、「フィジカルには、多くのひとびとが集ってはいるけれども、そこに心が集っていないような集団・集まり」は、多くはないでしょうか。
誰も発言しない会議
お決まりのアジェンダと議事が進行するミーティング
紋切り型のイベント
なんの工夫もないパーティや披露の宴
そう、わたしたちの周囲には「本質的には、役目が終わっている集い」や「フィジカルには集えていても、心ここにあらずの集い」が「ゴマン」とあるのです。
著者は、そうした「集い」に鋭く切り込みます。
曰く、そうした「集い」は、「長年同じ事を繰り返しているうちに形式そのものに価値が置かれる」ようになったのであり、「参加者の価値観や心情とずれていても、慣習と違うことはやりにくい」から残存している、のだと。
さらに曰く、
「慣習的な集まりは、はじめから慣習だったわけではない / そもそもの目的は、なんらかの問題を解決するためだったはずだ」と。
もう、その通り過ぎて、ぐうの音も出ません。
要するに、そうした集いは「慣習化」し、もうひとびとの心を捉え切れていないのです。
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本書では、こうした慣習的、かつ形骸化した「集い」に対して、著者が様々なアドバイスを行っているのですが、その「根本」となっているのは、「目的」です。
つまり、
この集まりは、「何のため」にあるのか
という「目的」を押さえることが徹底的に重要であるということです。
曰く、
「人と集まる前に自問してみよう。この集まりは、あなたがひらく他の集まりとなぜ違うのだろうか? ほかのひとが開く同じような種類の集まりと、どう違うのだろう? この集まりにあって、ほかの集まりにないものは何だろう?」
「あなたの集まりが社会に何をできるか考えよう / あなたの集まりが世の中のどんなニーズを満たすのかを俯瞰して考えて欲しい」
「目的をあなたの企画する会合のお守りにしてほしい。 / 集まりに何を組み入れるか、いれないかは、目的が決めてくれる」
「ゲストが最後に何を得たら、このディナーパーティの目的が達成できたことになると思うのか?」
もう問いが、根源的過ぎて、泣きそうです。
しかし、そのとおり。
しかししかし、こうした「目的」や「違い」が失われた集まりが、わたしたちの周りには、いかに多いことか。
本書は、会議・イベントなどを企画したことのある方ならば、深い自戒とともに読むことができます。同時に、あの会議、あのイベント、このままじゃイケないな、と深い勇気をもって、何かを変える気持ちにさせてくれます。
これからイベントをひらく方ならば、ラッキーでした。もういちど、そもそもに戻って、「目的」を押さえることです。目的を押さえるならば、会議の形式も、招待客も、場所も、すべておのずときまってしまうのだから。
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本書は、さまざまな現場で「ひとが集うこと」に関わる方には、ぜひご一読いただければと思います。自分のまわりの会議、自分の周囲のイベントや寄り合い・・・すこしでもよくなるかもしれない。
あなたの周りには「形骸化しすぎてペンペン草すらはえない集い」はありませんか?
その「集い」の目的は、そもそも何ですか?
そして人生はつづく
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