2019.10.2 06:49/ Jun
中原「将来は、どうするの?」
学生「うーん、やっぱ、コンサルですかね?」
中原「ふーん。なんで?」
学生「スキル身につきそうだし、お給料もね、いいですし」
中原「何やりたいの?」
学生「えっ?」
中原「誰の、どんな課題を解決したいの?」
学生「とくに、業界はないんですけど」
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きょうび、大学教員などをやっておりますと、こんな会話を、一年で、3000回くらい経験することになります。少なくとも、僕の場合は。
就職希望で、一定の人気をもっているのは、たぶん?コンサル?
やや戯画的に描き出しましたが、コンサル希望の学生との会話は、たいてい、こんな風に進みます。
学生がコンサルにもっているイメージは「スキルがつきそう」「給料が高そう」ということ。
その反面、コンサルティングの眼目である「誰の、どんな課題を解決したいのか?」に関してもっているイメージは、かなり曖昧な印象を持ちます。
ということは、コンサル希望の学生のなかには「まだ将来を決め切れていない学生が、お金をもらいながら、スキルを学ぶ、リアルビジネススクールのつもりで、コンサルを志望している」可能性が含まれているような気がします。
学生といっても、もう「大の大人」なので、「誰が、どんな仕事につこう」が、他人がとやかく言うことでは1ミリもございません。
お好きになさいな、大丈夫。
たいていのことは、なんとかなる。
ただ、よせばいいのに、ちょっぴり気になるのは、コンサルティングという仕事にまつわるイメージが、あまりにも曖昧なことです。
ていうか、コンサルって何?
誰に、どんな価値を提供するひとなの?
▼
コンサルタントの意味をネットにある辞書で検索してみますと、コンサル、すなわちコンサルタントとは、下記のようにあります。
ある特定分野において専門的知識と経験を有し
顧客の持込む問題に対して相談に応じたり
助言を提供したりすることを職業とする人
(ブリタニカ国際大百科事典)
極端にいうと、世の中では、コンサルタントとは「有能なひと」であり、コンサルティングとは「有能なひと」が「課題解決のすべを持たない依頼主」に対して、相談・助言を行うこと、と考えられているようです。
なるほど。
このような、かなり平板かつ一面的な「コンサルティング理解」に対して、経営学では、より詳細にコンサルティングのあり方について、議論がなされていたりします。
たとえば、もっとも有名なのはエドガー・シャインなどによる理論的整理。
彼によれば、コンサルティングのあり方については、いくつかのモード(モデル)があるとされてきました。それが下記の3つのモデルです。
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1.専門家モデル
顧客が抱えている課題に対して適切な情報を、コンサルタントが提供したり、問題解決方法を実施していく。顧客の状況を診断し、ひとつひとつにカスタマイズされた処方箋を提供する、というよりは、技術的合理性に基づき開発されたモデルや手法を「適用」していくモード
2.医師-患者モデル
顧客の現状や抱える課題を、コンサルタントが把握し、データ収集・分析を行うことで、処方箋(課題解決策)をクライアントに提案するモード
3.プロセスコンサルテーションモデル
「コンサルタントが顧客に何かを与える」のではなく、顧客自らの課題解決力・変革力を信じるモード。コンサルタントは顧客が自らの現状を把握し、データ収集・分析・解釈を行い、変革に向かっていくプロセスを手助けする。
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一口にコンサルティングといっても、いろいろある。
もちろん、これらは相互排他的ではなく、ひとりのコンサルタントが、ひとつの立場・役割を限定的かつ排他的に果たすと言うことではない。リアルな現実は、このモードの往還にこそあり、顧客の状況によって、自らのあり方を変化させることになるのでしょう。
で、君はどんなコンサルティングに興味がある?
で、もう一度聞くけど、誰の課題を解決したいの?
▼
今日はコンサルティングについて書きました。誤解を避けるために申し上げますが、「コンサルティングを学生が望むことが芳しくない」と申し上げているわけではございません。好きになさいな。僕だって、そうしてきた(笑)
そうではなくて、コンサルになりたいのだったら、
コンサルティングとは何か? それはどんな役割を担うのか?
誰に、どんな価値提供をしたいのか?
について一歩踏み込んで考えてみると、もう少し具体的な仕事のイメージがもてるのではないのかな、と申し上げたいのです。
ひと言でいえば、
もう少し調べてみようか・・・(笑)
そして人生はつづく
(コンサルティングの定義にあるように、コンサルタントは「ある特定分野において専門的知識と経験を有し」とあります。ということは、コンサルタントとは顧客よりもある特定の分野についての知識に精通していることが条件です。学部を出たばかりの業務知識やスキルを持たない学生が、それを担うことの意味も、一度考えてみると、よいのかなと思います)
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