2019.9.17 06:46/ Jun
本来、フィードバック(feedback)とは
1.よいことも、悪いこともふくめて、相手の行動がどのように見えるかを、相手に通知すること
2.相手の行動の立て直しをうながし、目標と現状のギャップを埋めるよう働きかけること
の2つのことをいいます。
別の言葉でいえば、
フィードバックとは「ズレ」による「ズレの補正」です(笑)
すなわち、
フィードバックとは「自分からみた自分」と「他人から見た自分」という「第一のズレ」を「きっかけ」に駆動します。「自分」を適切に認知したうえで、自らの行動を補正するために目標設定を行います。
その「目標」と「現在の自分」の「第二のズレ」を埋めるのが、フィードバックの目的です。すなわち「第一のズレ」による「第二のズレ」への補正こそが、フィードバックの眼目です。
だから、
フィードバックとは「ズレ」による「ズレの補正」
今日も、ズレズレしてるぜ(笑)。
そして、「ズレによるズレの補正」がこれほどまでに注目されるのは、人間の学習、成果に対する効果が高いからです。いくつものメタ分析論文では、フィードバックは、非常に効果が高い学習手法として知られています(Hattie 2011, Hattie and Timperley 2007)。
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かくして、フィードバックにとって、もっとも重要なのは、第一のズレにおいても、第二のズレにおいても、当人がなるべく「具体的」かつ「正しく」、自分の「ズレを認識すること」です。具体的であればあるほど、正確であればあるほどいい。
しかし、世にあるフィードバックは、これとは「真逆」になります。
むしろ、曖昧で、ふわっとしていて「まったく具体的ではない」。ときには擬音語と擬態語だらけのフィードバックが跳梁跋扈している(笑)。
「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の差を意識する「第一のズレ」の認識に至っては・・・
上司「うーん、きみさ、ここんとこ、前のめり感がないよね」
部下「前のめり感ですか? といいますと・・・」
上司「何ってわけじゃないんだけどさ・・・若いんだから、パコーンといけよ」
パコーン(笑)。
「目標」と「現在地」の「第二のズレ」においては・・・
上司「でさ、これからどうする?」
部下「そうですね」
上司「とにかく、がんばれよ」
部下「そうですね」
上司「がんばれよ、な」
部下「僕なりに、がんばります」
いったい、いつから、何を、どのように頑張るんだか・・・(笑)
たいてい、こういうときの上司と部下の「がんばる」の意味は、大きく、それこそ「ズレている」ことが多いものです。
▼
今日はフィードバックをなるべく具体的に書くことの意味を考えてみました。効果が高い方法であるからこそ、正しく用いたいものですね。
あなたが、最近、行ったフィードバックは「ふわっと」していませんか?
あなたが、最近、受けたフィードバックでは「ズレズレ」を具体的に認識できましたか?
そして人生はつづく
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日本の人事部「HRアワード」に拙著2冊「残業学」「組織開発の探究」がノミネートされたそうです。うれしいことです。
「残業学」(中原淳+パーソル総合研究所)
「組織開発の探究」(中原淳+中村和彦)
ここから最優秀を決める「投票」もあるようです!
「いいな」と思われた方は、どうぞ応援のほどお願い申し上げます!
【投票はこちら】
https://jinjibu.jp/gfrm/eventEnquete/award-19-0001/form/
【ノミネートリストはこちら】
https://hr-award.jp/nominate.php#shoseki
「残業学」は小林祐児さん、青山茜さん、渋谷和久さん、櫻井功さん、樋口健さん、井上佐保子さん、髙橋恒星さんらとのお仕事です。「組織開発の探究」は、中村和彦先生、間杉俊彦さん、井上佐保子さん、永田正樹さんらとのお仕事です。みなさま、お疲れ様でした!
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新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
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