2019.9.4 06:38/ Jun
組織や職場の「現状」を、組織調査などの手段をもちいて、何らかのかたちで「見える化」すること
見える化したデータを用いて、組織メンバーが「対話」を行うこと
対話を通して、自分の組織や職場の「未来」を、自分たちの意志で「決めること」
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これら3つの手法を用いた「組織変革の方法」を、今日ここでは「組織開発」と呼びましょう(他にもいろいろな手法がございますが、ここではこれを組織開発とよびましょう)。
いわゆる、
データによる組織開発
見える化による組織開発
は、近年、HRテック(人事に科学やテクノロジーを用いようとするムーヴンメント)の普及とともに注目されている領域のひとつだと思います。
が、あまりに注目されているがゆえに、安易に普及し、様々な問題を起こしていることも、また事実です。
今日は、「データによる組織開発」が「コケる」いくつかの典型的パターンを論じてみることにしましょう。あなたの会社のHRテック系サーベイが現場を1ミリも変えない理由ですね。これらの理由は、僕がいくつかの現場を回るなかで、いろいろ見聞きしてきた事例です。
思いつく限りざっとあげてみると、以下の5点になるかと思います。
1.データに「正解」を求める
2.データを「万能」だと思い込む
3.データを「やたらめったら」取り過ぎる
4.データを「放置」する
5.データが「マンネリ化」する
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まず、1の「データに正解を求める」は、一番よく起こる事例かと思います。
「データによる組織開発」は、たしかにデータをとりますが、そのデータそのものが、組織やチームの「未来のあり方」を教えてくれるわけではありません。
データそのものは「現場」を変えません
データは現場のひとびとに解釈され、意味づけられ、対話されてこそ「現場」を変えます。
図で示すと、下記の通りです。
決定的に重要なのは、ひとびとが、データをもとに「対話」することです。
しかし、ともすれば、データやHRテックを信奉しすぎる方の中には、どうやらこれを「誤解」してしまうようです。
端的に申し上げますと、
データが「正解」を教えてくれると思ってしまう
データそのものが「教えてくれる」と思ってしまいます
これが第一の「誤謬」です。
データは「正解を教えません」
データで「納得解を導く」のは組織メンバーの対話です
▼
次に2の「データを万能だと思い込む」です。
データは、現場の「一部」を切り取り、伝えます
見える化された「事実」とは、ひとつの角度から見たリアルです。
つまり、
データは「現場のリアル」を、そっくりそのまま「写像」できるわけではありません
どんなに数字を使おうとも、どんなに高度な計算をしようとも、データに写像できるのは「現場の一部」です。
つまり、
データには「限界」があるということです。
もちろん、データを高度に取り扱ったことのあるひとで、心あるひとは、そのことをよくわかっています。プロフェッショナルは、ここを誤解しません。
だから、
データに「期待」しつつも、
データに「期待しすぎること」はありません。
またプロフェッショナルは、
データでは「測れないもの」があることをよく知っています。
しかし、ともすれば、データやHRテックを信奉しすぎる方の中には、データが「万能」である、と思い込んでしまう方もいらっしゃいます。
みなさんは、調査者に
あなたが初恋のひとに抱いた思いを、1から10のリッカートスケールで表現してみてください。あてはまるものを1つに「まる」をつけてください
と問われたら、「ドン引き」するでしょう?
あなたが青春時代に感じた、あの甘酸っぱい淡い思いは、1から10のリッカートスケールで表現できますか?
データには「測れないもの」がある、とはそういうことです。
▼
3の「データをやたらめったら取り過ぎる」は、最近よく聞くことです。
パルスサーベイ(パルス=心拍のように、短い期間に高頻度で同じ設問を組織メンバーに答えさせること)の普及によって、最近、組織メンバーには、高頻度で「様々な調査」がよせられます。そのことも一因のひとつで、「データをやたらめったら取り過ぎる」という状況が生まれます。
「データをやたらめったら取り過ぎること」は、最悪の場合、4の「データを放置する」につながるので注意が必要です。
4の「データを放置する」とは読んで文字のとおりです。
1でも論じましたが、データは「組織メンバーに解釈され、意味づけられて、対話されてこそ」意味をもちます。つまり、
データは「フィードバック」されて意味をもちます
しかし、あまりにも高頻度でデータを取得したり、組織そのものにフィードバック文化がない場合には、せっかく取得されたデータも、現場には返されません。
かくして
データは「放置」されます
よって
現場は「1ミリも変わりません」
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最後に、5.データは「マンネリ化」するとは、文字の通り、データの取得が「マンネリ化する=飽きられる」ことです。
一番最初に、ひとがデータを「取得される」ときくと、たいていの場合は、「恐怖心」を「不安感」を抱き、抵抗をします。
このように、最初のうちは、ひとは
データに「びびり」ます
これは、想定の範囲内です。
しかし、たいていの場合、そうした「心理的抵抗」は、あっという間にやわらぎます。データを取得することが、それほど「自分に害をもたらさない」ということがわかると、今度は、逆に「緊張が弛緩」します。
たいてい長いあいだ、それを続けていくと、その先に起こるのは「マンネリ化」です。
つまり、
データの取得が「マンネリ化」する
具体的には、どんな調査をおこなっても、回答が「高ぶれ」してしまったり(社会調査をやっている方は、天井効果というものをご存じでしょう)、適当につけられたりしてしまう。
ひとが「データに抵抗」する期間は短いものです
しかし
いったん「マンネリ化したデータ取得」は、内省なき場合、中長期に続きます
適当につけているのだから、データは「ひずみます」
ひずんだデータなのだから、「現場を変えません」
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今日は「データによる組織開発」や「見える化による組織開発」がコケてしまう理由を5つ書いてみました。
みなさんの組織では、
データに「正解」を求めていませんか?
データを「万能」だと思いんでいませんか?
データを「取り過ぎて」いませんか?
データを「放置」していませんか?
データが「マンネリ化」していませんか?
すなわち、
データは「メンバーの対話」を促していますか?
データは「活かされています」か?
そして人生はつづく
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