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2019.7.18 06:02/ Jun

世界初!?「言う言う、もやもや」理論:あなたの「思い」が言えば言うほど、相手に「伝わらない」メカニズムとは何か?

 管理職が、言えばいうほど、伝わらないんですよ
 管理職が、言えばいうほど、部下は「もやもや」するんです
  
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 昨日、ある自動車関連企業の人事の方々とお話ししていた際(Kさん、Nさん、ありがとうございました!)、非常に興味深い話題について話し合いました。
  
 その話題とは、
  
 「管理職がメンバーに、自職場の方針や戦略を伝えるには、どうすればいいのか?」
  
 ということです。
  
 管理職がメンバーに思いや目標を「伝えよう」と思っても、なかなか、それは「伝わらない」。そこには、どのようなメカニズムが働いているのか、を話し合いました。
  
 Kさん曰く、
  

「管理職は、自分の言葉が、なかなかメンバーに伝わらない、と思うから、長い時間をかけて「言う」んです。でも、言ってばかりだから、メンバーは「もやっと」するんです。話のなかに疑問が生まれても、質問はできない。
  
このメンバーの「もやっと」した顔をみた管理職は、今度は、焦るんです。メンバーに自分の思いが伝わってないと思うんですね。そうすると、「さらに言う、言う」になります。そうすると、さらにメンバーは「もや、もや」しだすんです。あとは、この繰り返しです。
  
もやもやしたメンバーを見た管理職は、さらに、言い続ける。今度は「言う、言う、言う」ですね。そうすると、メンバーは「もや、もや、もや」なんです」

  
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 要するに、管理職とメンバーの間には「ループ」が存在していている(笑)。
 このループを抜けない限り、決して、問題は解決しない。
 むしろ「もや」が増し、イライラしながら「言う」が増えていくだけ、悪化する。
   
 非常に興味深いと思いませんか?
 以上のやりとりは、ICレコーダを持っていたわけではございませんので、一言一句同じというわけではございませんが、Kさん、Nさんとの会話の趣旨は表現できていると思います。非常に面白いものでした。ありがとうございました。「言う言う、もやもや」理論の誕生ですね。世界初?(言ったもん勝ち?、笑)
  
 おそらく、この状態を抜け出す・・・つなわち「解決」のためにできることの1つは、最初の「言う」のあとの「もや」のあとで、「もやを聞く」「もやを話し合う」なんでしょうね。
  
 最初に「もや」が生まれていたとしても、ここで「聞く」ことで話し合いができていれば「もや」はなくなる。でも、管理職は、圧倒した方が早い、言った方が早い、と思うから「言う、言う」になる。
  
 あのね・・・
 僕、書いていて、自分が痛すぎる(泣)。
  
 だって、この無限ループは、親子の関係も同じ、夫婦関係も同じだと思うんです。
    
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 親が「言う」
 子どもは「もや」
  
 親が「言う、言う」
 子どもは「もや、もや」
  
 親が「言う、言う、言う」
 子どもは「もや、もや、もや」

  
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 妻が「言う」
 夫は「もや」
 形勢逆転
 夫が「言う」
 妻が「もや」
  
 妻が「言う、言う」
 夫は「もや、もや」
 形勢逆転
 夫が「言う、言う」
 妻は「もや、もや」
  
 妻が「言う、言う、言う」
 夫は「もや、もや、もや」
 形勢逆転
 夫が「言う、言う、言う」
 妻は「もや、もや、もや」

   
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 自爆(ちゅどーん)
  
 要するにマクロにみれば、この「無限ループ」を抜けない限り、お互いに「相互理解」には至らない。
 頭ではわかってる・・・。
 でも、見事に、このループに僕は、はまっているときがあります。
  
 頭では、そうしちゃいかんと思っているのにな。
 どうしてループにはまってしまうんだろう。
 ダメな父、ダメな夫です。
    
 ごめん、TAKUZO、KENZO
 ごめん、カミサン
  
 自爆(ちゅどーん、ちゅどーん、ちゅどーん)
  
  ▼
  
 今日は「言う」と「もや」の無限ループ・・・「伝わらない」を生み出す無限ループについてお話をしました。
  
 あなたは「言う、言う」と「もや、もや」の無限ループにはまっていませんか?
 あなたのメッセージは相手に「伝わって」いますか?
  
 そして人生はつづく
  
 ーーー
    
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