2019.6.6 06:39/ Jun
「先生、大人向けに研修やワークショップをデザインするときとか、プレゼンをするときに、気をつけたらいいこと、ありますか?」
・
・
・
ちょっと前のことになりますが、ある方から、こんな質問をお受けしました。
「そう言われてみると、なんだろ?」
と思いながら、0.5秒くらいほど考えて、出した僕の答えは、これでした。
・
・
・
「聞いてもらえないことを前提に、コンテンツをつくること」
僕の答えを聞いた方は「きょとん」としておられましたが、僕なりの答えはこれでした。これは、どういう意味でしょうか。
大人に「聞いてもらえないこと」を前提に研修コンテンツをつくる?
これはどういう意味でしょう?
▼
といいますのは・・・常日頃、様々な研修をしておりますと、
「大人ほど、関心のないことを、聞かない人種はいない」
「大人ほど、聞きたくないことを、如実に拒否する人種はいない」
と思うからです(笑)。
関心のないことは、まったく聞いてません。
大人は、すぐにスマホをいじるし
ふんぞりかえるし、
はなくそをほじります(笑)
よく大人は、子どもに
「ちゃんと話を聞きなさい」
と怒ったりしますよね。
でも、子ども同様「ちゃんと話を聞かない」のは、大人も同じです。むしろ、その如実さは、大人の方が激しいくらいだとも思います。そして、そういう「話を聞かない」ときに、講師側がやれることはあまりありません。
子どもの場合には、極端な話、大人である先生は「権力」をもっておりますので(権力を持っている風に、子どもには見えておりますので)、場合によっては、「話を聞かない場合」でも、「権力」をちらつかせて、ねじ伏せる場合があります。「ちゃんと話を聞きなさい」という怒りに満ちた先ほどの発言は、その典型です。
しかし、大人向けの研修やワークショップだと、子どものときと同様というわけには、いきません。
大人向けの研修は「聞いている方も大人、話す方も大人」です。
ですので、子どものときほど「権力」を使って、ねじ伏せるわけにはいきません(程度の問題です)。
(子ども向けに教員をやっている方で、大人向けの授業や研修をやるのがイヤだ、とおっしゃる方は、こういう問題に直面しがちです。同じ「教える」でも、求められるスキルはすこし異なる可能性があります)
よって、冒頭の「僕の答え」に到達します。
「聞いてもらえないことを前提に、コンテンツをつくること」
関心や興味を引きつけないと、ただちに大人には「聞いてもらえなくなること」を「前提」にして、コンテンツを工夫し、様々なアクションやアクティビティをつくりだし、あの手、この手を使って、「理解」を生み出そうとするのです。
端的に申し上げれば、
大人に教えるのは、手間ひまかかるし、あの手この手を使う必要がある
ま、ここでちゃぶ台をひっくりかえしますけど・・・今日は便宜上、大人と子どもを分けましたが、このことは、実は「子ども」でもまったく同じだと思いますけれどもね。
子どもだって、関心・興味が持てないことは「聞いてもらえない」のではないかと思いますが・・・どうなんでしょう。
えっ、なになに?
大学生の場合はどうかって?
そうですね・・・
大学生の場合も同じだと思います。
大学生だって、わかんないときは、「わかんない、キリッ」って顔をしてますし
興味のないときには、「お地蔵さん」みたいに黙りこくってるし、
スマホをいじってます。
あのね・・・全部、見えてる(笑)。
ねーねー、タピオカ飲みにいかない?
いくいく
▼
今日は「大人向けに話すときに気をつけたらいいこと」を考えてみました。
あなたのプレゼンテーション、「聞いてもらえないこと」を「前提」にデザインされていますか?
そして人生はつづく
ーーー
「育児は仕事の役に立つーワンオペ育児からチーム育児へ」(浜屋祐子、中原淳著 光文社新書)、AMAZONカテゴリー1位(光文社新書)、経営学カテゴリー2位を記録しました。育児と仕事の良好な関係、ワンオペ育児を乗り越え、チーム育児に転換していくヒントがあふれる書籍です。浜屋祐子さんの修士論文の知見をモティーフにした、育児の科学。どうぞご笑覧くださいませ。
ーーー
新刊「データから考える教師の働き方入門」(辻和洋・町支大介編著、中原淳監修)好評発売中です。1日の労働時間が約12時間におよぶ、先生方。その働き方を見直し、いかに持続可能な職場をつくりだすのか、を考えます。「サーベイフィードバック方の組織開発を応用した働き方改革」の事例として、教育機関以外の組織でも応用可能です。どうぞご笑覧くださいませ
ーーー
新刊「残業学」重版出来、6刷決定です!(心より感謝です)。AMAZONの各カテゴリーで1位を記録しました(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳・ラーニングエージェンシー 旧:トーマツイノベーション著)が重版出来!1万部突破です!AMAZONカテゴリー1位「企業革新」「女性と仕事」を記録しました!。女性のキャリアや働くことを主題にしつつ、究極的には「誰もが働きやすい職場をつくること」を論じている書籍です。7000名を超える大規模調査からわかった、長くいきいきと働きやすい職場とは何でしょうか? 平易な表現をめざした一般書で、どなたでもお読みいただけます。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「組織開発の探究」発売中、重版4刷決定しました!AMAZONカテゴリー1位「マネジメント・人事管理」を獲得しています。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
【注目!:中原研究室のLINEを好評運用中です!】
中原研究室のLINEを運用しています。すでに約11000名の方々にご登録いただいております(もう少しで1万人!)。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
最新の記事
2024.11.22 08:33/ Jun
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)