2019.5.22 07:01/ Jun
ある男が、自分の息子を「車」に乗せて、自ら運転をしていた。
残念なことに、その「車」はダンプカーと激突して、大破したしまった
救急車で搬送中に、運転していた父親は死亡。
息子は意識不明の重体。
あまりに悲惨な事故だった。
救急病院の手術室で、運びこまれてきた後者の顔を見た外科医は息を呑む。
そして、つぎのような意味のことを口にした。
「自分はこの手術はできない、なぜならこの怪我人は自分の息子だから」
これはいったいどういうことか?
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上記は、千野帽子著「人はなぜ物語を求めるのか」のなかで紹介されるストーリーです。
皆さんは、このショートストーリーをお読みになり、どのように思われたでしょうか?
あれっ、という感覚が、生じましたか?
心にザワザワしたものが、生じましたか?
はたまた、一瞬わけがわからず、もう一度、文章を読み直しましたか?
それとも、すぐに合点がいきましたか。
皆さんは、いかが思われましたでしょうか?
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このショートストーリーは、
1.わたしたちが、いかに無意識のうちに「性別」と「職業」を結びつけて考えているか?
2.わたしたちが、ストーリーを読むときに、そこにアンコンシャスバイアス(無意識のバイアス:偏り)が入り込んでいるのか?
を如実に物語ってくれるような気がします。
もうおわかりでしょうか?
まだわからない?
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そうですね。
この外科医は「女医さん」だったのです。
上記の文章は「外科医=男性」が「前提」で読まれてしまうと、論理的に破綻してしまうのです。
もし上記の文章で「外科医=男性」であるならば、「死んだはずの男性=父親」が生き返り、「自分の息子を執刀できない」というのは、おかしな話です。
ところが、「外科医=男性」ではなく「女性」だったのです。
そう読んでしまえば、なんということはありません。引っかけを誘発するよう、すこしゴツゴツした文章にはなっているとは思いますが、論理的には合点がつきます。
いかがでしたでしょうか?
▼
わたしたちの日々の生活は、このようなアンコンシャスバイアスが、見事に、はびこっています。「無意識」であるがゆえに、さらにたちが悪い。それは無意識で生じているものだけに、あなたは、それを認識し、言表することすらできません。
話は変わりますが、今年から、細々とではありますが、武蔵野大学 島田徳子先生とともに、外国人労働の問題をとりあげ、共同研究を進めることになりました。わたしたちがテーマにするのは「アルバイトパート市場の外国人労働の採用・定着」の問題です。この問題の根っこには、みごとに、アンコンシャスバイアスの問題が多々存在しています。
何とか仮説らしきもののめどはたちはじめ、まずはそれを検証するために、着々とヒアリングをすすめます。
将来的には、どこか、志をともにする企業の皆さんとともに、調査研究を行っていきたい、と考えていきます。
研究をとおして、しっかりとした価値を、世の中にお届けしたいものです。
あなたには、どんなアンコンシャスバイアスに囚われていますか?
まぁ、それがわからないから、タチが悪いのだけれども。
そして人生はつづく
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